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第4章
10 多幸の令嬢と駄犬ワンコ◇
しおりを挟む「服、脱がしますね」
慣れた手つきで彼は汗でじっとりと濡れた私のドレスを丁寧に脱がしていく。恥ずかしいから自分で脱げると何度も言ったのに、ファルクスは「俺にやらせてください」といってきかなかったのだ。正直、彼に服を脱がされるのはいつになっても慣れなかった。
バサッとドレスを床に落として下着姿にされた私をファルクスは抱きしめる。下着を外さず、彼は背中に手を回して下着の上から背中を撫で上げるように触れていく。
「ああ、スティーリアはいつ見ても綺麗だ」
「ふぁっ」
素肌に触れる冷たい感触に私の身体が自然とビクンッと揺れる。ぞくりとして冷たかったのも一瞬で彼の手が触れた場所は熱を持ち始めていた。ブラ越しに胸を揉まれて、時折乳首を指でコリコリといじられるだけで強い快感に襲われる。こんな刺激じゃ足りないと思ってしまうぐらいで自分から腰が揺れてしまうけど、彼は腫れ物を扱うように私の身体に指を這わせる。前よりも媚薬の効果が薄いのか理性がはじめから飛んでいるわけではないけれど、熱を帯びた身体は彼が触れるたび、過敏に反応してしまう。
「ファル、そんな、ゆっくりしなくていいから」
「味合わせてください。スティーリアは、求められるの好きでしょ?」
「つ、都合のいいときだけ……あっ」
夜色の瞳で射貫かれれば、何も言えなくなってしまう。
下着をずらされ、彼に胸をやわやわと揉みしだかれながら片方の胸は口で愛撫されてて私は甘い声を上げる。やっぱり直接感じる刺激の方が強くてすぐに私の思考も溶かされていく。それでもファルクスは我慢しているのか私に触れていくのがいつもよりゆっくりで、もどかしいと思ってしまうほどだった。
「ファル……もっと」
「だめです、傷付けたくない……」
そういって彼はまた私の胸に顔を埋めるといったんと口を離した。そして片方は指先で愛撫しながら、もう片方を口に含むと軽く歯を立ててきた。
敏感になっていた私の身体には刺激が強くてビクっと身体が揺れる。彼のざらついた舌が乳首の先を何度も舐めて吸い付くたびに私は甲高い声を上げてしまう。いつも以上に感度がいい気がするし……何よりいつもより気持ちいいような気がしてしまうのだ。胸を弄んでいた手がするりと身体を伝って下肢へと降りる。そのままショーツ越しに割れ目に指が触れた。待ちわびていた感覚に私は、腰が揺れてしまった。それをファルクスがクスリと笑う。
「な、何よ」
「そんなに欲しいんですか?」
「う、煩いわね」
「素直になってください。俺はその方が嬉しい……」
ファルクスはそういったかと思うと、私の蜜口に顔を埋め、んべぇ……と出した長い舌で、指で触れてもいないのにグチョグチョになっている割れ目を舐め上げた。
「ひ、ああああぁぁっ!」
あまりの強い刺激に私は彼の頭に手を置いて引き離そうと抵抗するけれど彼はやめることはなくてそのまま舌で私の蜜口を押し広げた。まるで生き物のように中で舌が動いて頭が可笑しくなりそうだった。じゅるじゅると愛液を吸い上げられて頭の中が真っ白になる。息が上手くできなくて口から出るのは甘い声ばかりになった頃ようやく彼が口を離してくれたかと思うと今度は指で中を広げられてその圧迫感に私は悲鳴を上げる。
「ふぁ、やぁああ……っ」
グチョグチョと卑猥な音を立ててかき混ぜられるだけで私は限界を超えてしまった。なのに彼はまだやめてくれなくて私は何度も身体を震わせて絶頂を繰り返す。頭がバカになっていきそうで、気持ちいい以外考えられなくなった頃やっと彼の指が私の中から引き抜かれた。
「ふぁ、あ……」
くたりと身体の力が抜ければファルクスは私にキスをしながら頭を優しく撫でてくれた。そんな彼を私は涙目になりながら見詰める。
「ああ、早く欲しくてたまらないって顔してます。スティーリア」
「そんなかお、してないっ」
「素直になって」
「……」
「ね? お願いです。スティーリア、俺を求めて」
フッと耳に息を吹きかけられれば、私の身体の奥が疼く。理性なんてものはもう私にはなくて、ただ彼を求めることしかできなかった。
「ファル」
「なんですか?」
「ちょうだい、貴方が欲しいのっ」
「……ええ、俺もスティーリアが欲しくてたまりません」
彼は乱暴にズボンを脱ぎ捨てると自分の欲望を取り出す。もうすでに昂ぶっている彼のそれを見てゴクリと喉がなるのが分かった。ぬるりとした先端を入り口に当てがって彼が耳元で囁く。
「いきますね」
その瞬間、いままでとは比べ物にならない質量のものが中へと押し込まれて私は声にならない悲鳴を上げた。突然の刺激に目の前がチカチカして一瞬息が止まった。それでも彼は止まらず一気に奥まで私を貫くと肌同士がぶつかるぐらい強く打ち付けてきた。
「~~ッ!」
いきなりの強すぎる快感に意識が飛びそうになるけれど彼がすぐにまた私の奥を突いてきたからたまらない快感が全身を駆け巡る。ゆっくりと確かめるように動かれるたびに腰が浮いてしまって、くちゅくちゅと卑猥な音を立てて何度も奥を突かれては頭が可笑しくなりそうで私はただただ喘ぐことしかできない。ぐちゅ、パンパンッ、と激しく肉がぶつかる音が鼓膜を刺激する。
「ふぁ……ッ、ああぁあっ!」
何度も何度も中を擦られれば激しい快感が襲ってきて腰が自然と揺れてしまう。息が上手くできなくて息苦しくて、彼に手を伸ばしキスをせがめば彼もそれに応じてくれて舌を絡めてくれる。その間も動きを止めることはなくて何度も達してしまうけれど彼の動きが緩むことはなくて私は彼の背にしがみつくようにしてただ声を上げて中を締め付けてしまう。
「あっ、……んぁああっ、あぁッ」
「っはぁ……スティーリアのなか、吸い付いてきて堪らないです」
何度も奥を突かれれば中でドクドクと脈を打っているのが分かる。キュウッとまた中が締まってしまいファルクスも苦しそうな声を上げた。それにすら感じてしまって私はただただ身体を震わせて彼の背中に爪を立てることで耐えるしかなかった。そのたび、彼はいたそうに顔をしかめたが、本能的に、私の首筋に噛みついた。グッと歯を立てられたような痛みが走る。けれど、それも快感に変わり、血の臭いと、汗の臭いが混じってくらくらする。
「す、みませっ」
「いいの、ファル。いい、もっと欲しいっ、あああっ!」
傷口を舐められ、痛いのと気持ちいいのが一緒に襲ってくる。私は、さらに彼の背中に爪を立てて必死にしがみつく。
「スティーリアッ、スティーリアッ!」
彼も限界が近いのかだんだんと動きが速くなってくる。一番奥の深いところを何度も抉られるたびに強い快感が襲ってきて私は声にならない悲鳴を上げてしまう。
何度も何度も突かれてもう限界だと思っていた瞬間、最奥を強く穿たれてそのまま熱い飛沫を注がれた。それが気持ちよくて頭が真っ白になるのを感じながら私もまた絶頂を繰り返してしまった。ズルリと彼が抜け出せば、ぽっかりと開いてしまった穴からは彼の残滓が溢れだし、シーツを濡らしていくのが分かった。達したばかりでまだ敏感な私の中に彼は指を差し入れてきてグリッと弱い所を刺激されればビクンっと身体が跳ねる。
「スティーリア様……スティーリア、大丈夫ですか」
「……ん、あ……はあ、はあ……大丈夫」
「水……」
「いいから、まだ、欲しい。寂しいの」
今自分で何を言ったか、理解できなかった。でも、離れていくファルクスを見ていると、胸の奥がギュウウっとなって寂しくて死にそうだった。彼の腰に抱き付けば
彼がゴクリと唾を飲み込むのが分かった。
そっと仰向けに寝かせられたかとおもえば、ファルクスはまた私に覆い被さってくる。汗で張り付いた私の髪をファルクスは優しく撫でる。
「本当に、いいんですか」
「欲しいの、ダメ?」
「何処で覚えてくるんですか、全く……」
「ファルに、求められるの癖になりそう」
「……っ、貴方って人は!」
そう言ってファルクスは、私の腰を乱暴に掴み、その剛直を私の入り口に当てた。一気に貫かれるものだと思っていたため、また焦らされているのかと腰が動く。
「……抱き潰しても、文句言わないで下さい」
「抱き潰すの?」
「貴方が望むなら……いや、望まなくても、俺がそうしたい――ッ」
「……ッ!?」
急に圧迫感が襲ってきて私は目を見開く。慣れたと思ったそれは、先ほどより大きくて、奥まで押し入ってくる。ごちゅんっと最奥を突かれれば息ができなくて悲鳴に似た喘ぎ声を上げてしまう。彼は私の腰をしっかりと掴んだまま容赦なく何度も突き上げてくるものだからあまりの気持ちよさに声が止まらないし生理的な涙で視界がぼやけてしまう。私がいやいやと首を振ってもお構いなしだ。むしろ私を追い詰めるように激しく出し入れされて、頭がおかしくなりそうだった。何度も何度も剛直を出し入れされるうちに意識が遠のいていく。けれど、そのたび強く腰を打ち付けられて、現実に戻される。
「まだ、とばないで下さいよ。俺を一人にしないで、スティーリア」
「あっ、やっ、ああっ」
「ん? もっとですか? 欲張りですね。スティーリアにしかあげませんから、心配しないで下さいっ」
「ちがっ! ああ――ッ!」
バチンっと最奥を穿たれて目の前がチカチカする。
彼の熱い欲望が注がれ、結合部からは入りきらなかったそれが溢れ出していくのが分かるけれど彼がまだ動きを止めてくれないから私の頭はまた真っ白になる。グリッとお腹の裏側に当たるように強く押し付けられて、そのままグリグリと擦るように動かされれば何度も絶頂を迎えているのに私はさらに絶頂に押し上げられる。それでも彼は止まってくれなくて連続で襲ってくる快感に涙を流しながら声を上げることしかできなかった。
そういえば、ファルクスって鬼畜ヤンデレだったということを思い出したのは、本当に意識が飛ぶ三秒前くらい。
最後に見た景色は、彼が今まで見た中で最高の恍惚顔で、鼻血を垂らして私を見下ろすとんでもなく恐ろしくて美しい笑みだった。
「ああ、俺だけのスティーリア。最高です」
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