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第3章 一難去ってまた一難
04 今から貴方を誘惑します!◇
しおりを挟む「大丈夫……私なら出来る。私なら出来る」
ロイの部屋の前でそう何度も復唱し、覚悟を決めて彼の部屋をノックする。
すると、すぐに扉が開かれ中へと促された。
そして、私は勇気を振り絞ってロイに抱きついた。自分からこんな風にするのは初めてだったので、心臓がバクバク言っている。しかし、ここで怯んではいけない。ロイは驚いたように目を丸くし、如何したのかと私に聞いてくる。私は、恥ずかしさと緊張で頭がパンクしそうになりながらも、何とか言葉を紡いだ。
「私は今から貴方を誘惑します!」
「シェリー様?」
ロイも私も一瞬にして固まった。
(違う、馬鹿、何言ってるの私――――ッ!)
「こ、これはちがくて、その……きゃっ」
ロイが急に私を抱き上げベッドまで運ぶ。突然のことで混乱していると、ロイは優しく私を押し倒した。
え? と困惑する暇もなくロイが覆いかぶさってきて、私はキスをされていた。
「ごめん、待って、ロイ、ストップ、ストップ!」
「何故? 俺を誘惑してくれるんじゃないんですか? それとも、今の言葉は嘘?」
と、ロイは意地悪な笑みを浮かべながら私を見下ろしてくる。
その瞳には熱情が宿っていて、ゾクりと体が震えた。
「そう、そうだけど……」
「にしても、シェリー様は一体何処でそんな言葉を覚えたんですか?」
「……か、カーディナルさん、から」
と、言うとロイは深いため息を吐いて額を抑えた。
その反応に不安を覚えてロイの服を引っ張ると、ロイは困ったような笑みを浮かべた。
それから、ロイは私の頬を撫でてきた。
「何故?」
「何故って……それは、えっと。ロイに飽きられたくないから……魅力的な女性だって、思われたくて」
私がそう不安いっぱいに言うとロイは私の額にキスを落とした。それは優しく、安心して欲しいという意味も含まれている気がして私はドキリとする。
「今のままでも十分魅力的なのに……これ以上魅力的になられたらまた他の男が、貴方を狙うかも知れない」
「だ、ダメ?」
「ダメとはいっていません。勿論、そうなったとしても誰にもわたすきはないですけど」
そう言いロイは私の首筋に顔を埋め、強く吸い付いてきた。チクリとした痛みが走り、痕がついたのだと分かった。
それにしても、やっぱりロイは独占欲が強いと思う。
こんなにも、愛されているなんて。私は幸せ者だ。
でも、与えられてばかりじゃいつか、この酔いが覚めてしまうかも知れない。私は、ロイの首に腕を回し引き寄せた。彼の額が私の額にあたり、唇が当たるか当たらないかの所でとめる。
「しぇ、りー様?」
「……ロイ、抱いて。好きにしていいよ」
今言える私の精一杯の言葉。誘い文句。
私は、ゆっくりと目を閉じる。すると、ロイはゴクリと喉を鳴らして私の口を塞いできた。
舌が絡み合い、呼吸をするのを忘れそうになる。それでも、お互い離れようとしなかった。
そして、長い口付けが終わるとロイは私を抱きしめて言った。
「いいんですか? 本当に……俺の好きにして」
その声は低く掠れていて、私の心臓はドクンドクンと高鳴っていく。
「うん。ロイの好きなようにして」
「……分かりました。後悔しないでくださいね」
ロイはそう言って妖艶な笑みを見せた。
ロイは私にキスをしながら器用にドレスを脱がしていく。下着姿になった私を見て、ロイは小さく呟いた。そう、ここにも一つ仕掛けというか、今回の誘惑大作戦の肝が隠してあるのだ。ロイの反応を見る限り、それは成功したと言えるだろう。
「こんな下着……いつ、買ったんですか?」
「きょ、きょう……カーディナル、さん、と……に、似合ってない?」
そう、上目遣いで聞けば、ロイはその大きな手で顔を一掃し指の隙間から、熱を帯びた瞳で私を見下ろす。
ふぅ……と熱っぽい吐息が聞えてきて思わずビクッと肩を揺らす。彼は手を下ろした後、肩で息をする。私は恐る恐るロイの顔を見た。すると、そこには余裕のないロイの姿があった。
(うそ!? え、まさかこんな効果あると思ってなかったんだけど)
カーディナルのアドバイスで、いつもとは違う下着を買った。
そして、それを今日初めて着た。似合ってないかなあ、とか、これは派手すぎるんじゃないか、仮にも公爵家の令嬢がこんな淫らな姿で良いのかと思ったが、ロイに満足して貰うためと、割り切ってきてみた。それでも、恥ずかしかったし、いつものドレスの下にこんな派手な下着を着けているという背徳感というか、羞恥心が凄まじかった。しかし、効果は抜群だったようで、ロイは私に抱きついてくる。
そして、耳元で囁くように言ってきた。
「可愛すぎます」
その言葉を聞いて私は安堵する。よかった。
けれど、ロイはすぐに怖い顔つきになって言うのだ。
「俺の前以外で絶対に着ないでください。その下着をいつものドレスの下に着ていると思うと、貴方を満足に守れないので」
と、婚約者としても、護衛としても満点の回答で私は嬉しくなって微笑む。
「はい、ロイ以外の前では絶対着けません!」
そう笑顔で言えば、ロイは深い溜息を吐いて私を押し倒してきた。
「でも、あまりカーディナルの言葉を信じないでください」
「え? 何で?」
「何でもです。それに、こういうのは、俺がシェリー様に教えたい」
と、独占欲丸出しで言ってくるロイに私は目を白黒させる。
本当に、私の事好きなんだなあっていうのが伝わってくるし、何より、彼も彼でカーディナルに嫉妬しているんだと知って、お互い様だなあとも思った。
そんな風に私が油断して笑っていれば、ロイは大きく息を吐いたあと、その目をぎらつかせた。獣の、捕食者の目だった。
「え? ちょ、ロイ?」
「……もう、限界です」
そう言うや否や、私の胸にしゃぶりついてきた。
急な刺激に身体が跳ねる。ロイは片方の手で胸を揉み、もう片方の胸を口に含んで舌先で先端を転がしてくる。
それだけでも気持ちよくて仕方がないのに、時々甘噛みされてしまえば甘い声が漏れ出てしまう。
そして、しばらくすると、ロイの手が下に伸びていきショーツの中へと入っていった。
そこは自分でも分かるほど濡れていて、恥ずかしくなる。ロイは私の秘部を優しく撫でながら、私に聞いてきた。その問いに私は何度も首を縦に振る。すると、ロイは私の足を開かせて、そこに顔を近づけてくる。
「え、ちょっと、待って! それはダメだって……」
私は慌てて起き上がり、抵抗するが、ロイの力には勝てるはずもなく、簡単に押し戻されてしまう。
「何故ですか?」
と、ロイは私の太腿に吸い付きながら、そう問うてくる。
何故って……そんなの答えは一つしかない。
私はロイの頭を掴んで離そうとするがびくりともしない。それどころか、余計に強く吸われて、腰が浮いてしまった。
それに気をよくしたロイはそのまま舐め始める。
「汚い、からぁ……だめぇ……んっ、ああっ」
「シェリー様はとても綺麗ですよ。それに、ここもこんなにも溢れさせて……とても美味しいです」
そう言ってロイは再び私の中に指を入れ、掻き回し始める。それから、指を増やしてバラバラと動かしていく。
最初は一本だけだった指は二本になり、三本になる頃には、私の理性は完全に崩壊していた。そして、ロイは私の首筋に舌を這わせて強く噛んできた。痛い筈なのに、その痛みすら快感になってしまう。
「はあ……はあ……ロイ」
「はい。なんでしょうか」
「も、我慢できない……早く、ちょうだい」
そう言って私はロイのモノに手を伸ばす。
ロイは驚いたような表情を見せた後、妖艶な笑みを浮かべる。
「仰せのままに」
そう言ってロイは自分の服を脱ぎ捨てると、私の中に入ってきた。
「あああっ! ふ、ふかぃ」
一気に奥まで突かれて、目の前がチカチカとする。
そして、ロイはゆっくりと動き出した。
「ロ、イ……きもち、いい?」
「はい……すごく、いいです」
そう言いながらも、彼は激しく動いてくる。そして、だんだんとスピードが上がっていく。
「やぁ……ま、まって……はげし……っ」
「すみません……っ」
「んっ……あっ……ああッ」
「シェリー様ッ、そんなに締め付けて、俺の事、搾り取る気ですか」
ロイはニヤリと笑って更に激しく動く。肌と肌が激しくぶつかり合う音が部屋中に響く。
私は、違うと首を横に振る。でも、アソコはロイのを確実に締め付けていた。彼が私の中から出ていこうとするたび、行かないでと懇願するように絡みつく。それが自分でもある程度分かってしまうくらいに感じてしまっている。
「シェリーさま……っ」
「あっ! ろ、ろい! もうダメ! イッちゃう!」
「俺ももう限界です……一緒にイキましょう」
「うん! あっ! きちゃ、イッ……ああぁああんッ!」
「くっ……!」
私が絶頂を迎えると同時に、ロイも達した。お腹の中が温かいもので満たされている感覚に幸福を感じる。
暫くそのままの状態でいたあと、ロイは自身を抜く。こぽっとまだ温かい彼の精が零れ落ちた。
「あ……」
「シェリー様?」
「でちゃ……ロイの、出ちゃう、から」
「……ッ!?」
無意識に、外に零れてしまったロイのを名残惜しく思ってしまった。そして、自分のお腹を擦る。
すると、再び熱を持ち始めたロイのものがお腹に当たった。
「ちょっ……! 何でまた大きくしてるのよ」
「そんな可愛い事されたら誰だってこうなりますよ。シェリー様は、本当にたちが悪い……ッ!」
「や、もう、無理よ、やめて」
「大丈夫ですよ。今度はもっとゆっくりしますから」
「そういう問題じゃ……ひゃっ」
「次は後ろ向きでやってみたいのですがいいですか?」
「えっ? え! も、もう無理だからあぁあっ!」
私の制止なんて振り払って、ロイは再び私の中へ熱くなったものを入れた。私はただ受け入れることしか出来なくて、そのまま何度も揺さぶられ、気づけば意識を飛ばしていた。
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