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番外編SS

ゼイからの怪しいプレゼント◇

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「お嬢――っ!」
「何? 騒がしいわね。元気がいいのはいいことだけど、で?」
「冷めてんなあ。その、冷ややかなアメジストの瞳も、めっちゃきれいだぜ」
「……」
「さすがに、その態度取られると、オレも、傷ついちゃうんだけど……」
「はあ、それで? 要件は?」


 ある日の昼下がり、機嫌のいいゼイが、私の元へやって来て、新しい短剣を見せてきた。それは、この間、何でも買ってあげると言ったときに買わされたもので、本当にそんなものでいいのかと聞いたら、竜人族の力を強める効果があるとかなんとかで、後は、魔法石のついた首飾りも買った。ゼイは、思った以上に、宝石やら、光るものに目がないらしく、あれこれほしいと言ったが、またそれは、今後の頑張り次第ということにして、今は、その二つで我慢してもらっている。食事も出しているし、用心棒や、公爵家の何でも屋として活躍してくれている。
 ゼイは、ふふーん、と鼻を鳴らし、腰に下げていたポシェットから、小さな小瓶を取り出した。怪しげに光る傾向ピンクの液体に、私は思わず顔をひそめてしまった。


「何よ。それ。無駄遣い?」
「いーや。お嬢にプレゼント! まあ、お嬢にっつうか、皇太子殿下との?」
「はい?」
「要するに、これは媚薬! めっちゃ、即効性で、効果抜群だし。あの、皇太子殿下が飲めば、朝までコースよ! ほら、前に、早漏とか言ってただろ?」
「貴方、生殖器ぶった切られるわよ」


 それを言って許されるのは私だけで、別に、殿下は早漏ではない。ただ、そういうときがあるだけで、持続力も、回復力もそれなりにある。確かに、理性が働いて、私に無理させないようにと、朝までやったことはないが……


(――って、昼間から何考えてるのよ!)


 元凶はこの、水色頭だが、せっかく買ってきてくれたものを捨てるわけにもいかず、半場押し付けられる形で、ゼイから小瓶を受け取る羽目となった。ゼイは「お嬢に、感謝してるんだぜ! だから、これは日ごろのほんのお礼!」とまぶしいくらいの笑顔で渡されたが、そのお礼の品が媚薬なんて、竜人族だから感性が違うのか、それともゼイがおかしいのか……どっちにしても、もらって使い道に困るものではあった。


(で、でもちょっと気になるのよね……)


 朝まで……なんて、体力が持たないだろうけれど、でも、これを使ったら? と興味がわいてしまった。ゼイには笑われたため、二三発叩いてから、私は、今夜ちょうど公爵家に殿下が来ることを思い出し、どうにかして飲ませてみようかなと思った。





「公女、どうした。そわそわして」
「い、いえ……今日もかっこいいなと思って」
「フンッ、当たり前だろ。お前の前だ。かっこ悪い姿を見せるわけにはいかないだろう」


 自信にあふれたその姿に、私は目を奪われる。
 服の中から覗く、たくましい胸筋、真紅の髪から滴る水……風呂上りの紅潮とした顔が色っぽくて目が合わせられなかった。
 すぐにでも、殿下に襲ってほしい気持ちを抑えつつ、さて、どう媚薬を飲ませるか考えていた。水に入れて飲ませてみてもいいが、警戒心の強い殿下には気づかれそうだし、何より、えげつない色をしているため、似た色のジュースか何かに混ぜなければ速攻でバレてしまうだろう。
 そんなふうに、落ち着かない気持ちで、ベッドに腰を掛けて入れば、ボフンと私の隣に殿下が腰を下ろした。


「公女」
「な、なんですか?」
「何か、悪いこと、考えてはいないか?」
「わ、悪いことですか……? そんな、滅相も……」


と、私が隠そうとすれば、手をひねり上げられ、握っていた媚薬が殿下の目の前にさらされる。


「ほら、やっぱり」
「こ、これは、そのっ」
「あの男から聞いたぞ。夜、楽しみにしていろとな。余計なおせっかいだと思ったが、これは……公女、俺に媚薬でも盛るつもりだったか?」
「こ、これが媚薬だなんて、何で!」
「巷で流れていたからな。有毒性もない、即効性の媚薬だ。もちろん、何か後遺症が残るわけでもない、製品……まあ、それはいいとして。実物を見るのは初めてだがな」
「……」
「それで? これを俺に飲ませて、どうされたかったんだ?」


 殿下はにやりと笑うと、私をジッと夕焼けの瞳で見つめてきた。そんな目で見られてしまえば、何も言えない。いや、言うしかない。


「……ゼイ、が」
「あの男が?」
「……殿下は、アインは私のことを気遣って、朝まで……満足するまでやったこと、ないんじゃないかって思って。今日くらいは、その、アインと、朝までって……や、やっぱり恥ずかしいので、なしです。今のは聞かなかったことにしてください」


 私はそこまで言って、恥ずかしくなって顔を覆った。さすがに、痴女だとか、浅ましすぎるとか、もう自分に対しても周りの目線も恐ろしくなって、赤くなって、顔を向けることが出来なかった。
 殿下もしんとしているし、あきれられたかもしれない。そう思って、口火をを噛めば、「ロルベーア」と名前を呼ばれる。


「アイン……? ……っ……ん!」


 ちらりと、指の隙間から彼の顔を覗こうとすれば、私の手はすぐに頭の上で縛るように殿下の片手によって封じ込まれ、あのピンク色の液体が入った小瓶を殿下は私に見せつけるように揺らすと、小瓶の蓋を開けて、口に含むと私の後頭部を抑え、口づけをしてきた。突然のことで息を止めていると、開いた口から甘い液体が喉を通り注がれる。そして、口を離されるとすぐに息苦しくなって、胸をたたくがなかなか離してくれなかった。


(あ……甘ッ!)


 甘ったるい味が広がり、鼻から抜けていく甘味に思わずうっとりしそうになるが、飲まされた液体で咳き込む。
 すると、殿下は私をベッドに押し倒してきたので私は、びっくりして起き上がろうとした。しかし、くらりと視界が歪み、身体の奥から熱くなってきた。


「ほう、本当に即効性なんだな。あまり、動かない方がいい。薬の効きが早くなるぞ?」
「あ、アイン、何で、私に……っ」
「俺も一緒に飲んだだろ? これでおあいこだ」


と、殿下は納得できそうで納得できない理由を口にすると、ピッと口の端に垂れた媚薬を親指で拭い、私から手を離した。

 身体が熱く、とてつもない疼きと、殿下が離れるという喪失感に私は涙が止まらなくなる。


「……っ、っ……アイン、いや……これ、つらい」
「俺は、まだ効いてこないがな。昔から、薬の効きが悪いからな」
「な、に……それ」


 じゃあ、全部飲ませたらよかったってこと?
 そんなこと考えている余裕もないくらいに、身体が熱を持ち、目の前の彼を求めようと、はしたなく動く。しかし、殿下は私に手を出そうとするどころか、ベッドの上で胡坐をかき何かを見物するように、頬杖までついた。


「アイン?」
「なあ、ロルベーア。一人でしているところを見せてくれないか?」
「え、え、あ……え?」
「何なら、俺も見せていい」
「いいいっ、いやっ、え!?」


 殿下はすりっと、自分の下半身をなまめかしくなでると、どうする? とにやりと笑って私を見てきた。早くほしいのに、ここで寸止めを食らってしまい、私の頭は真っ白になりそうになる。


(私が、しているところを、みせろって?)


 確かにそう聞こえたのだ。そして、しなければ、やらないと脅迫してくるのだ。
 こんなにも、欲しいって思っているのに、何で……
 でもやらなければ、と使命感に駆られてしまい、私は自身の下着の上から、するっと手を這わす。


「んあっ」
「触っただけでそれか。厭らしいな、ロルベーア。だが、上からでは足りないだろ? おろせ」
「……ん、たり、ない……っ」


 命令され、私はそれに従い、下着を脱ぎ自らの割れ目に指をあてる。すでにあふれていた愛液を指にまとわせ、指を中に入れれば、腰が大きく動いた。


「んっ」
「はあ……すごい、絶景だな。ロルベーアは一人でしたことがあるのか? 誰を想像して? どんなふうに?」
「アイン……っ、いやだ、いいたく、ないっ」
「ハッ、俺以外思い浮かべていたら、ひどくしたところが、ロルベーアは俺しか知らないからな。男の身体は」
「……っ……そう、っ……ですっ……」
「ははっ、素直に答えるんだな。偉いぞ」


と、殿下は、にやつかせ、まじまじと私の自慰を観察していた。見られたくないのに、その目で見られればみられるほど、興奮しておかしくなりそうだった。いや、もうおかしくなっている。

 一人でしたことはない。でも、身体は正直で、目の前にいるのに、その殿下にひどくされることを想像して、指の動きは激しくなり、中をかき回すように動かすと、腰が浮き上がり、声が止まらなくなる。


「んっ、あっ……アインっ……」
「すごいな。これも媚薬のせいか」
「あ、ちがっ、もう……いっちゃう」


 指の抜き差しを激しくさせれば、ビュクっと勢いよく出た愛液でシーツにシミが広がる。肩を揺らしながら息苦しそうにしていれば、殿下は私の手を取って引き寄せたかと思うと、私の指についた蜜を舐め始めた。


「甘いな」
「ん……はあ……はあ……」
「すごく綺麗だったぞ。ロルベーア。今度は、そこに、俺のを入れさせてくれないか?」
「あ……はい、アイン……」


 媚薬で回らなくなった頭は、さらに、私の行動を過激化させ、自ら、達したばかりでひくつくそこを殿下にみせ、どうぞ、と招き入れるように指で開く。


「ハッ、ふ、ははっ、サービス精神旺盛だな。ロルベーアッ、朝まで付き合ってもらうからな」
「あ……っ!」


 殿下は私のそこに指を入れると、中を徹底的にかき乱してきた。その快感で再び達し、叫ぶように声をあげれば、満足げに笑った殿下がそのまま中に入っていた指を抜くと、私の腰を掴み上げてきた。


「んあっ」


 そして、すぐに彼のものが中に入ってくる。待ち望んでいたそれに私は喜びの声を上げながら、もっとほしいと自ら腰を揺らした。


「ロルベーアッ」
「んっ、アインっ……すきっ、すきですっ……もっと、激しくしてっ」
「……」


 おねだりするようにいえば、殿下が私にキスをしてきた。くちゅくちゅと舌を絡ませながらする行為に頭がふわふわとしだす。中も外も甘い快楽でどろどろに溶けだしそうだった。
 そのまま絶頂に達しても休む暇なく続けられるそれに私は、気を失いそうになる。媚薬のせいか、身体が限界を迎えても、心や頭がまだ欲しいとねだる。もう、お腹もいっぱいなのに、殿下を求め続けることを辞めなかった。


「やあっ、もう、もう、お腹いっぱいですっ」
「トぶなよ? ロルベーア。朝まで付き合ってくれると、さっき言質をとったばっかりだが?」
「あ、あ、アイン、は媚薬、きいてない、のにっ!?」
「これでも、きいていないと思うか?」


 ごちゅん、と最奥を穿かれ目の前で星が散る。その激しい行為に私の意識はぐらつき、視界がゆがむ。


「っ……ふか、いっ」
「ああ、ロルベーアの子宮口に口づけしているからな。お前の中も、まだまだキスしたりないと言ってきている。そういえば、避妊魔法を解除してもらっていないが、これだけやっていれば、孕むかもな」
「そっ、なっ……! あアアアァっ!」 


 やめてという前に激しく揺さぶられれば再び絶頂を迎える。もう何も考えられなくて頭の中は真っ白だ。でも私は意識を失わないよう必死に殿下の背に手を回すが、上手く掴めなくて、ひっかいてしまう。


「ご、え、なさいっ、あい……っ」
「いい。その痛みも、心地がいい」
「え、あ、いみわかんんあっ!? あ、ああ、あアアっ」
「ロルベーア……ッ!」


 そして、殿下はまた私の中で達し、私はその熱に浮かされながら意識を失う。しかし、数分か、数秒か……もうわからなかったが、貫くような快楽で引き戻され、また揺さぶられる。そのたび、いろんな体位で責められ、口の端からは涎がたれ、喉はからからに、喘ぎ声さえままならなくなる。


「っ、ア……もう、だめッ……アイン!」
「ロルベーアッ、ロルベーア!」


 そして何度目かの絶頂を迎えれば、殿下も私の中で達し、互いに息が上がりながらも口づけを交わす。そして再び体勢を変えようとしたが、さすがに何度もさせられて体力は限界だ。私はぐったりとして枕に顔をうずめたが、すぐに仰向けにされ片足を持ち上げられる。


「あ、あいん……」


 もう無理だと言おうとしても声にならない。くすっと笑った殿下には私の叫びは響いていないようで、殿下と体を重ね気づけば日が昇っていた。そしてようやく、解放され、私はベッドに沈み込んだ。


「たまにはこういうのもいいな、ロルベーア」
「……ぁ、……ぅ」
「しゃべるな、喉が痛いだろう。水を持ってくる」


 すがすがしい顔でベッドから降りていく。でも、まだ体力が残っているようで怖かった。
 殿下にとって媚薬は、彼を絶倫にする薬だったのではないかと思った。さらなる持久力を手に入れた殿下を前に私はなすすべもなく、朝までなんて馬鹿なこと思わなければよかったと後悔した。
 今日は一日中、ベッドの上で生活しなければいけない気がして、気が遠くなり、ため息が漏れた。
 でも、激しくて、あれだけ求められるのは悪くないな、とゼイにあの媚薬の入手ルートをこっそり聞こうと、懲りない頭の中で誰かがそう囁くのであった。

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