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第2部4章
04 貴方にいいって言わせてあげる◇
しおりを挟む(――とはいったものの、どうすればいいの)
プランがないわけではなかった。だが、実際殿下の下着を下ろしてみて、そのグロテスクであまりにも大きな熱の塊を前に、私はごくりとのどを鳴らすしかなかった。怖気づいた、というとかっこ悪いが、まさにその通りで、こんなものがいつも私の中を出たり入ったりしていると思うと、恐ろしくて仕方がない。でも、気持ちよくなってしまうのだから、それもそれで――
私が、ためらっていることに気づいたのか、殿下はプっと噴き出すように笑うと、私をあざけるように「どうした?」と声をかけてきた。その顔は、先ほどとは違い余裕で、私には何もできないだろうといってきているようで腹が立った。
「別に無理しなくてもいいんだぞ? 俺が、ロルベーアを気持ちよくさせてやる。ここまで頑張ってくれたんだ。俺からも何か、褒美をやらないとな」
「……だ、黙っていてください。今からやるんです! アインは黙っててください」
「いつまで、その威勢が続くか……見ものだな」
完全に舐めている。私が、喘がされるだけの女だと思っている。それが、もう嫌で、私だってできるところをみせたかった。
(絶対にヒーヒー言わせてあげるんだから)
どこに対抗心を燃やしているのか自分でもわからなかったが、覚悟を決め、そろりと殿下のそれに手を当てる。ドクドクと脈打っているそれは、生き物のようで、先走りが指に絡まると、少しだけ滑りがよくなった気がした。初めこそ、ひっ、と悲鳴を上げてしまったが、殿下のものなら、とゆっくりとしごいていけば、殿下のソレは徐々に質量を増していく。
「くっ……」
気持ちよさそうな、でもそれに耐えるような声が殿下の口から洩れ、しっかりと気持ちよくなってくれているんだと察し、調子に乗った私は、それを優しく持ちながら先端を舐める。すると、すぐに殿下の身体がぴくりと反応するのが分かった。それが嬉しくて執拗に舐め続ければ、さらにそれは大きさと硬さを増していき徐々に、口の中にしょっぱいような、苦いような何とも言えない青臭さが広がっていく
「んっ、ンッ……」
「ろ、ロルベーア……っ」
殿下が私の名前を呼ぶ声が聞こえたが、それを無視しそのままそれをなめ続けると、それはさらに膨張しビクビクとし始める。頭上で何度もはあはあと熱い吐息が聞こえてくるので限界も近いのだろう。殿下の腰ががくがく揺れていて、もうそろそろ達するのかな、とちらりと見れば、殿下は怒ったような、耐えるような目で、私を見下ろした。
「……ロルベーア」
「何ですか?」
「寸止めとは……いや、俺の耐久力でも試しているのか」
「た、耐久力?」
「……ハッ、ロルベーアのつたない舌づかいでは俺を満足させることはできないぞ?」
と、殿下は負け犬の遠吠えのようなセリフを吐くので、ふーんと、私はさらにやる気スイッチが入った。だって、こんなにも大きくなって、先走りもだらだらと流していて、何が耐久力、私の舌づかいがつたないですか。
(こうなったら、本当にぎゃふんといわせてあげるんだから)
気持ちがいいって、殿下の口から降参の言葉を聞くまで続けてやると心に決めた。
すべてを失った……さらけ出したも同然な私に、もう怖いものは何もない――私は、バスローブから自分の胸をさらけ出し、その胸の間に殿下のものを挟んだ。
「ま、待て、ロルベーア何をするつもりだ!?」
「アインが、満足できないというので、これで――っ!?」
ピュッ、と勢いよく白濁のそれが私の胸から顔まで汚す。
私……何かした!? と唖然していると、殿下が視線をそらし、小さな声で「すまない」と言ってきた。
「あ、アイン……やっぱり、貴方はそうろ……」
「早漏ではない! お前の……っ、どう考えても、今のは反則だろうが!」
「……っ」
それは、よかったと、負けを認めたということだろうか。そんな、挟んで舌を出してみただけなのに。視界の暴力というか、そういうのだろうか。だが、一度達したはずの殿下のそれはすでに熱を持ち始めており、早漏なうえに絶倫なんだ……と、もう何度も体で味わったそれを前に、私はこれ以上どうすれば? とそれ以降のプランを考えていなくて固まってしまう。
すると、殿下は、真っ赤になって、私の身体を掴み上げると、自身の上に乗せ、私のバスローブをはぎ取った。
「ちょ――ちょっと、待ってください。アイン! こ、これは、これって!?」
「あれほど、恥ずかしいことをした後だ。これくらい、余裕だろう? 今度はこれで勝負をしようじゃないか」
私の目の前には、熱を再び持った殿下のそれが、そして、私のお尻は殿下の顔の方に。これ……もしかしなくても、さっきよりも恥ずかしい体勢では!? と驚くが、殿下はもう引く気もないのだろう。
(勝負って……! この、負けず嫌い!)
なんでこんなことになったのか分からない。でも勝負と名のつくものには、燃えてしまう性分なのだろう。
だが、こんな恥ずかしい体制で、自分の秘部を相手にさらけ出しているこの体制……さっきのあれよりも、ハードルが高く、確認しようがないが、丸見えな状態に、恥ずかしさを覚えないわけがなかった。顔が熱くなり、目の前には殿下のあれが、咥えろと言わんばかりに主張してきているような気がして、さらに赤くなる。
「何だ、降参か? まだ何もしていないというのにな」
「……っ、あ、アイン、いや、待って、舐め……っ、ああっ!」
殿下はお構いなしに、今度は自分の番だと、私のそこを舐め始めた。熱い舌が、私がいつも責められているところを執拗に責め立てる。
「あああっ! あ、あ、ああっ」
やめてほしいのに、もっとしてほしいという矛盾した気持ちが私を襲い、私は甲高い声で啼く。こんなの……やっぱり無理かもと弱音を吐きそうになるが、殿下はやめる気もないらしく、さらに舌の動きを速めていくのでもう限界だった。
「やぁっ! だめっ! アインッ!」
「ダメじゃないだろ? ロルベーア、口が止まってるぞ? さっきの威勢はどうした?」
「あ……こんな、じょうたいでっ、できるわけがっ、んんっ!」
どうにか、口に含んでみようとするが、殿下が敏感なところを執拗に責めてくるせいで、口も舌もまともに動かすことができなかった。殿下のそれにしがみついて、喘ぐことしかできない。
「ロルベーア」
「な、なに……っ、なんですか?」
「そろそろ、欲しくなってきただろう? 舌だけでは足りないと、ロルベーアのここはいっているが」
「い、言ってませんっ! ……っ、あぁぁあっ」
「強情だな。全く誰に似たのか……ああ、ほら、お前の中からあふれ出てくる。ひくひくと、俺のが欲しいといってくるぞ?」
「じ、実況しないでくださいっ」
「挿入してほしいと言え。負けを認めれば、もっと気持ちよくしてやるぞ?」
「……っ、ああっ」
殿下の舌が、再び私の中に侵入してくる。浅いところをぐちゅぐちゅに掻き回し、殿下の雄の匂いも相まって頭もおかしくなってくる。気持ちいいとしか考えられなくなっていき、とうとう私は敗北を認めた。
「あ、あっ……ほ、ほしいです! アインが、ほしっ……わたしのっ、負けで、いいですからあっ」
もうやけくそだった。もうここまでくれば、恥ずかしいとか、私が気持ちよくしたかったのに、とかそういうのはどうでもよくなって。ただ気持ちよくなりたいという欲望だけが渦巻き、私は殿下のそれに再び頬を擦りつけた。殿下は、「それじゃあ、あげられない」と私の身体をグルんと百八十度回転させ、私はシーツと顔を合わせることになる。いつの間にか、殿下が私の上にあがり、そして、お尻を高く上げるような格好にさせられたと思えば、殿下は固くなった熱の棒を、私の肉割れに押し当てた。
「……ロルベーアが欲しかったものを、今くれてやる」
「あ……っ、あ、あああっ!」
待ち望んでいた刺激が、どちゅんと音を立ててやってきた。この体制では殿下の顔が見れなくなったので少し不安があったが、これはこれで深く奥まで届くような、そんな刺激に私は声を上げた。
「あぁっ! あ、ああっ!」
舌なんかでは届かない、さっきよりも奥に入り込んでくるそれに、一瞬意識を失いそうになるが、すぐにその熱は引き抜かれ、また奥に入ってくるという動きを繰り返してくる。そのたびに私の中がきゅうっと締まり、そして、さらに気持ちよくなっていく。
「あっ! やぁっ……あ、アインッ! あっ!」
「どうだ? 俺のは、気持ちいいだろう?」
「んっ、は……はい」
「素直で可愛いな。ロルベーア。俺ので乱れるロルベーアがやはり最高だ。俺の形をしっかりと覚えていて、お利口だな」
もう何度もした行為に、殿下は私の好きなところをすべて知っている。だから、的確にそこを責め立ててきて、私はもはや声を上げることしかできず、シーツを必死につかんだ。
「やぁっ! あ、ああっ!」
「ロルベーア……っ」
「あ、あっ! アインッ!」
殿下が、私の背中に覆いかぶさってくる。そして、私の胸を揉みしだき、さらにその先端を指ではじく。そのたびに、中がきゅんっと締まり、また奥に入り込んでくる熱の固さに私はもう限界だった。
「もっ、だめっ! イく、やぁっ!」
「ロルベーア……ッ」
「あ、あああっ、だめっ! ああぁぁぁああああっ!」
ぎゅうっと強く私の中が締まり、殿下の熱も同時に中で爆ぜる。熱いものが私の中に注ぎ込まれ、その刺激に私はまた軽くイってしまった。
「……はぁ……っ」
もう限界だ。とベッドに体を沈めれば、殿下は珍しく、私の横に倒れこんできた。
「あ……いん?」
「……ロルベーア」
「なに?」
私が、殿下の方を向けば、汗で濡れた身体で、正面から殿下が私を抱きしめた。まだ早い鼓動が、私の鼓動とリズムを刻むようにうつ。
「ロルベーアが、俺の腕の中にいる」
「はい……」
「幸せだな。すごく、安心する」
と、殿下は心の底から安堵するようにそういうと、さらに私を強く抱きしめ、身体にすっぽりと収めるように包み込んだ。
先ほどの不安が、少しでも解消されたのだと思い、私も、ポンポンと彼の背中を撫でる。
「私も、貴方の心臓の音……すごく安心します」
すぅ、すぅ、といつの間にか聞こえてきた寝息は殿下のもので、これもまた珍しく、私よりも先に寝てしまった。よっぽど不安だったのだろうと思いながら、私は、彼の腕の中でもう一度、彼の心臓の音を聞く。
(ああ、安心する……)
目をふっと閉じて、彼の背中を二三度撫でて、くすぐったい真紅の髪の匂いをスンとかいで、彼の胸板に顔を埋めた。少し硬いけれど、熱くて、ドクンドクンと脈打つ心臓の鼓動を子守歌に、私も夢の中に意識を沈めた。
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