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第1部4章
05 お幸せに
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儀式場の中心。
飴色の聖女と、真紅の彼が向かい合い、彼女から注がれる魔力で暗い儀式場は七色の光に包まれていた。温かな光は、蛍のように宙を舞い、また時に蝶のような形にも見えて不思議だった。これが、聖女の力。これが、ヒロインの――
テラス席から、彼らを見守り、その儀式が完全に終わったことを確認し、私は息を大きく吐いた。
私と殿下が番契約を結ぶときは、こんなふうに大勢の人が見守る事はなかった。儀式を執り行う人と、殿下と私。それ以外は誰一人としていなかった。何度も結ばれた番契約だったからだろうか。それとも私との番契約だっただろうか。あの頃に、私は転生したんだと発覚し、逃げられない契約を結んだ。今でもそれが鮮明に思い出される。それほど強烈で最悪な出会いだったわけだ。小説の世界に転生したことだけでも凄いのに、まさかの悪役に……契約早々、楽しませなければ殺すとも殺害予告をされた彼に思いを寄せることになるなんて思いもしなかった。だからこそ、今こんなにも胸が痛むのだろう。
私の時の最低人数とは違う、今はどうだろうか。殿下の呪いを解くための儀式をみに、大勢の人が訪れ拍手を送っている。泣いている人もいて、暴君ながらも殿下が皆に好かれていることが分かり、彼は生きるべき人間なんだと実感させられる。私と違って。
これで、番の話はうやむやになるだろうし、殿下とイーリスの結婚の仲も縮まるのではないかと思った。
これから私はどうなるのか。イーリスは今や、殿下の呪いを解いた英雄とまで言われるだろう。きっと、イーリスとの結婚を押し進める人が出てくるはずだ。そうなったら私はどうなるか。呪いにかかっている以上、殿下の枷になる私は、殺されるしかないだろう。はじめから分かっていた。だったら、こんな思いを抱かなければよかったと思う。一年間自由に過ごして、やり残したこと一つもない状態で死ぬことができたのなら、それが幸せだったのだろう。でも、抱いてしまった。結局最後の最後まで思いを伝えることが出来なかった。後悔しても仕方がない。残り、一ヶ月――彼の幸せを祝福することはできるはずなのだ。
――そう思いながら一歩足を踏み出す。しかしその瞬間何かが足にまとわりついてきたように身体が重くなり、それが重みに耐えられず私はその場でよろめく。
「大丈夫ですか。ロルベーア様」
「ありがとう、マルティンさん」
「具合、悪いですか? 殿下に捕まれたところ、痣になっていますよ」
と、指摘され、先ほど捕まれた手首の部分にあざができていたことを知った。前に、お父様につけられたあざとそっくりで笑えてくる。それも、左手。
(指輪……)
まだつけていたな、と思い出し、私は彼と同じ真紅の宝石がはめ込んである指輪を何のためらいもなく、外した。これでいい。もう、終わりなのだから。
ぽいと捨てたその指輪は、彼らがいる儀式場へと吸い込まれるように落ちていき見えなくなった。貴重なものだけど、あれをはめていたら思い出しそうだったから。
マルティンに心配されながら、無事儀式を終えた殿下の元に取り敢えずむかうことになる。
「ロルベーア様、お久しぶりです。さっきぶりですね」
「ええ。聖女様、このたびは私の番の呪いを解いてくださりありがとうございました」
「いえいえ、アインザーム様の呪いを解くことが出来て本当によかったです。でも、ロルベーア様の呪いは……」
「大丈夫よ。私のことは心配しなくても」
神殿の入り口の方で待っていたイーリスと、殿下。彼らは何やら楽しげに話していて、お邪魔かな、と話し掛けるか迷っていれば、イーリスの方から話し掛けてきた。本当に天真爛漫で、聖女の名にふさわしい姿をしている。殿下と並んだときに見劣りしないその容姿に、笑顔に私は勝てないな、と本能的に自覚した。私はイーリスにお礼を言って頭を下げる。彼女はこんなことたいしたことないです、といったが、何をしたのか手は傷だらけだったし、顔もやつれていて隈があった。本当に、殿下の呪いを解く方法を必死に探していたんだろうなと思うと他人のためにここまで頑張れるこは早々いないのだから、彼女は本当に凄い子なのだと尊敬の念すら感じる。
「えっと、それでロルベーア様」
「……なんでしょう?」
「その、私も気にしてなかったのが悪いんですけど……」
「何?」
ちらりと私に向けられる視線と言葉。それは何だか分からなくて、底知れなくて、思わず眉間に皺がよる。その視線や声に気づかないわけないのに、殿下は無視を決め込んでいるのか反応しないから、余計に私はしんどくなった。
何を言われるのだろうか。番契約を切って欲しいと言われるのか。
身構えていれば、イーリスはこそりと私に耳打ちしてきた。
「ミステル様が、私に殿下は私に好意があると言って来たんですが、全くそんなふうに見えなくて。ミステル様は私の為に色々教えてくださりましたが、妙に、その、殿下とのことを」
「……そう」
「あの、私、殿下には気がないので。皆さんに、殿下と是非番に、といわれるんですけど、私イマイチピンとこなくて。そもそも、殿下の番は、大切な人はロルベーア様なんじゃないかって」
と、イーリスは周りの目を気にして言うのだ。
確かに、周りは私達のことをヒソヒソと話しながら見ている。きっと私のことが気にくわないのだろう。一年も殿下の時間を無駄にしたと。その間、イーリスは殿下の呪いを解くために必死になっていたというのに、穀潰しだと言われても、悪女だと言われても仕方がないのかも知れない。
ここは、悪役になった方がいいのかも……
「いいえ、殿下も聖女様に興味があるみたいなの。最近、聖女様の話ばかりでね。お似合いだと思うわ」
「ろ、ロルベーア様?」
「ほら、いってあげなさい。貴方は、殿下を救った英雄なんだから」
「違います、ロルベーア様……私は、アインザーム様から、貴方の話を――」
「いってあげて!」
これ以上話していたらおかしくなる、そう考え、私はイーリスの背中を押した。彼女は何か言いたげに口を開閉させたが、諦めたように、困惑しながらも、その足を殿下に向け歩いて行く。
そう、これでよかった。これで物語通りに――
私は、ポケットの中に入れていた魔法石を取り出す。転移魔法が使えるもので、詠唱は覚えている。これを使って公爵邸に戻ろう。皇宮に置いてきたものは何もないから。私は何も残っていない。あそこも、居場所も。
「公女!」
「殿下?」
「……っ、魔法石を持って、どこに行くつもりだ」
「殿下には関係無いのでは? ああ、よかったですね。呪いから解放されて。精々しているでしょう。貴方のせいじゃないのに、かかった呪いだったから」
「……怒っているのか」
「何故?」
真紅の彼は、その髪を揺らし私に近づいてきた。イーリスの姿は見当たらず、神官に呼び出されたか、殿下を救った英雄として誰かと話しているのか、とにかく見当たらなかった。
何でまた彼と、と私はぐちゃぐちゃになった気持ちに蓋をしながら魔法石を握る。これを奪われたらきっと帰れなくなってしまうから。
「やはり、公女の呪いを解く方法は分からないらしい。それも、見つかったとして儀式を整えるのにも時間がかかるらしい……三ヶ月ほど。クソ、時間が無いというのに」
「いいですよ、殿下。お気になさらず」
「公女!」
「いいんです。もう。殿下は呪いが解けてよかったじゃないですか。ね、それでいいんですよ。殿下はきっと、殿下を救った……いや、帝国の未来を照らす太陽を救った聖女様と結ばれるべきなんです。そう、きっと周りも押しつけるでしょう。私は、用済みなんですよ」
「違う。俺には、公女が必要だ」
「何故?」
「…………分からない。ただ、ただ……俺が公女に側にいて欲しいと思うからだ」
と、殿下は自分のことが分からないとでも言うように叫んだ。
分からないのなら、きっと一ヶ月後も分からないままだろう。
私だって分からない。
私は、殿下の事が好きだ。でも、彼が彼の気持ちが分からない以上はどうしようもない。それに、私は諦めてしまっている。
私は、殿下の胸をとんと押して二三歩後ろに下がる。
「公女?」
「短い時間でしたが、楽しかったですよ。私は貴方を――殿下、聖女様とお幸せに」
「公女――ッ!」
詠唱を素早く唱える。すると、私の足下にアメジスト色の魔方陣が出現し、私の身体を包み込む。殿下はすぐさま私に手を伸ばしたが、その手は私の身体をスルリとすり抜けていく。
ああ、なんで、貴方は――
(そんな、泣きそうな顔をしているの?)
転移の瞬間、見てしまった彼の顔は、今にも泣きそうな子供の顔をしていた。
飴色の聖女と、真紅の彼が向かい合い、彼女から注がれる魔力で暗い儀式場は七色の光に包まれていた。温かな光は、蛍のように宙を舞い、また時に蝶のような形にも見えて不思議だった。これが、聖女の力。これが、ヒロインの――
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これで、番の話はうやむやになるだろうし、殿下とイーリスの結婚の仲も縮まるのではないかと思った。
これから私はどうなるのか。イーリスは今や、殿下の呪いを解いた英雄とまで言われるだろう。きっと、イーリスとの結婚を押し進める人が出てくるはずだ。そうなったら私はどうなるか。呪いにかかっている以上、殿下の枷になる私は、殺されるしかないだろう。はじめから分かっていた。だったら、こんな思いを抱かなければよかったと思う。一年間自由に過ごして、やり残したこと一つもない状態で死ぬことができたのなら、それが幸せだったのだろう。でも、抱いてしまった。結局最後の最後まで思いを伝えることが出来なかった。後悔しても仕方がない。残り、一ヶ月――彼の幸せを祝福することはできるはずなのだ。
――そう思いながら一歩足を踏み出す。しかしその瞬間何かが足にまとわりついてきたように身体が重くなり、それが重みに耐えられず私はその場でよろめく。
「大丈夫ですか。ロルベーア様」
「ありがとう、マルティンさん」
「具合、悪いですか? 殿下に捕まれたところ、痣になっていますよ」
と、指摘され、先ほど捕まれた手首の部分にあざができていたことを知った。前に、お父様につけられたあざとそっくりで笑えてくる。それも、左手。
(指輪……)
まだつけていたな、と思い出し、私は彼と同じ真紅の宝石がはめ込んである指輪を何のためらいもなく、外した。これでいい。もう、終わりなのだから。
ぽいと捨てたその指輪は、彼らがいる儀式場へと吸い込まれるように落ちていき見えなくなった。貴重なものだけど、あれをはめていたら思い出しそうだったから。
マルティンに心配されながら、無事儀式を終えた殿下の元に取り敢えずむかうことになる。
「ロルベーア様、お久しぶりです。さっきぶりですね」
「ええ。聖女様、このたびは私の番の呪いを解いてくださりありがとうございました」
「いえいえ、アインザーム様の呪いを解くことが出来て本当によかったです。でも、ロルベーア様の呪いは……」
「大丈夫よ。私のことは心配しなくても」
神殿の入り口の方で待っていたイーリスと、殿下。彼らは何やら楽しげに話していて、お邪魔かな、と話し掛けるか迷っていれば、イーリスの方から話し掛けてきた。本当に天真爛漫で、聖女の名にふさわしい姿をしている。殿下と並んだときに見劣りしないその容姿に、笑顔に私は勝てないな、と本能的に自覚した。私はイーリスにお礼を言って頭を下げる。彼女はこんなことたいしたことないです、といったが、何をしたのか手は傷だらけだったし、顔もやつれていて隈があった。本当に、殿下の呪いを解く方法を必死に探していたんだろうなと思うと他人のためにここまで頑張れるこは早々いないのだから、彼女は本当に凄い子なのだと尊敬の念すら感じる。
「えっと、それでロルベーア様」
「……なんでしょう?」
「その、私も気にしてなかったのが悪いんですけど……」
「何?」
ちらりと私に向けられる視線と言葉。それは何だか分からなくて、底知れなくて、思わず眉間に皺がよる。その視線や声に気づかないわけないのに、殿下は無視を決め込んでいるのか反応しないから、余計に私はしんどくなった。
何を言われるのだろうか。番契約を切って欲しいと言われるのか。
身構えていれば、イーリスはこそりと私に耳打ちしてきた。
「ミステル様が、私に殿下は私に好意があると言って来たんですが、全くそんなふうに見えなくて。ミステル様は私の為に色々教えてくださりましたが、妙に、その、殿下とのことを」
「……そう」
「あの、私、殿下には気がないので。皆さんに、殿下と是非番に、といわれるんですけど、私イマイチピンとこなくて。そもそも、殿下の番は、大切な人はロルベーア様なんじゃないかって」
と、イーリスは周りの目を気にして言うのだ。
確かに、周りは私達のことをヒソヒソと話しながら見ている。きっと私のことが気にくわないのだろう。一年も殿下の時間を無駄にしたと。その間、イーリスは殿下の呪いを解くために必死になっていたというのに、穀潰しだと言われても、悪女だと言われても仕方がないのかも知れない。
ここは、悪役になった方がいいのかも……
「いいえ、殿下も聖女様に興味があるみたいなの。最近、聖女様の話ばかりでね。お似合いだと思うわ」
「ろ、ロルベーア様?」
「ほら、いってあげなさい。貴方は、殿下を救った英雄なんだから」
「違います、ロルベーア様……私は、アインザーム様から、貴方の話を――」
「いってあげて!」
これ以上話していたらおかしくなる、そう考え、私はイーリスの背中を押した。彼女は何か言いたげに口を開閉させたが、諦めたように、困惑しながらも、その足を殿下に向け歩いて行く。
そう、これでよかった。これで物語通りに――
私は、ポケットの中に入れていた魔法石を取り出す。転移魔法が使えるもので、詠唱は覚えている。これを使って公爵邸に戻ろう。皇宮に置いてきたものは何もないから。私は何も残っていない。あそこも、居場所も。
「公女!」
「殿下?」
「……っ、魔法石を持って、どこに行くつもりだ」
「殿下には関係無いのでは? ああ、よかったですね。呪いから解放されて。精々しているでしょう。貴方のせいじゃないのに、かかった呪いだったから」
「……怒っているのか」
「何故?」
真紅の彼は、その髪を揺らし私に近づいてきた。イーリスの姿は見当たらず、神官に呼び出されたか、殿下を救った英雄として誰かと話しているのか、とにかく見当たらなかった。
何でまた彼と、と私はぐちゃぐちゃになった気持ちに蓋をしながら魔法石を握る。これを奪われたらきっと帰れなくなってしまうから。
「やはり、公女の呪いを解く方法は分からないらしい。それも、見つかったとして儀式を整えるのにも時間がかかるらしい……三ヶ月ほど。クソ、時間が無いというのに」
「いいですよ、殿下。お気になさらず」
「公女!」
「いいんです。もう。殿下は呪いが解けてよかったじゃないですか。ね、それでいいんですよ。殿下はきっと、殿下を救った……いや、帝国の未来を照らす太陽を救った聖女様と結ばれるべきなんです。そう、きっと周りも押しつけるでしょう。私は、用済みなんですよ」
「違う。俺には、公女が必要だ」
「何故?」
「…………分からない。ただ、ただ……俺が公女に側にいて欲しいと思うからだ」
と、殿下は自分のことが分からないとでも言うように叫んだ。
分からないのなら、きっと一ヶ月後も分からないままだろう。
私だって分からない。
私は、殿下の事が好きだ。でも、彼が彼の気持ちが分からない以上はどうしようもない。それに、私は諦めてしまっている。
私は、殿下の胸をとんと押して二三歩後ろに下がる。
「公女?」
「短い時間でしたが、楽しかったですよ。私は貴方を――殿下、聖女様とお幸せに」
「公女――ッ!」
詠唱を素早く唱える。すると、私の足下にアメジスト色の魔方陣が出現し、私の身体を包み込む。殿下はすぐさま私に手を伸ばしたが、その手は私の身体をスルリとすり抜けていく。
ああ、なんで、貴方は――
(そんな、泣きそうな顔をしているの?)
転移の瞬間、見てしまった彼の顔は、今にも泣きそうな子供の顔をしていた。
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