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第4章 一生のお願い

18 ずっと一緒にいて、お願い◆

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「はあ~ヤバい。何か、はずい。どうしよう」
「ゆず君……」
「恋人……恋人が家にいるってこんな感じなんですね」
「この間もそうだったよね? え? 俺の勘違い?」


 久しぶりに上がったゆず君の家。
 ゆず君は玄関で靴を脱ぐと、ごった返したリビングの中心で、ブツブツと何かを呟いていた。全部聞き取れちゃったから、何て言えば良いか分からない。
 でも、俺達、本当に付き合うことになったんだなって実感してしまう。障がいを全部はねのけて、ようやく落ち着いたというか。
 さっきの公園でのお互いの思いのぶつかり合い告白を経て、ここに来たわけだが、やることといえば一つなんだろうなって言うのは分かっている。でも、行動に移せないのは、いざ、自分たちが、恋人だって自覚してしまったからだろう。まあ、正式には恋人をやり直すことになった。不十分に別れて、そしてもう一度、ゆず君から改めて告白されて、恋人に戻ったわけだが。


「紡さん」
「な、何? ゆず君」
「すっげえ、下ネタいいます。ほんと、ムードとか、僕つくるのへったくそなんで。台本とかそういうのない僕って下手くそすぎるんで、アドリブ苦手です。まじ、すんません」


と、前置きした上で、ゆず君はずんずんと俺に近づいてくると、張り上がった股間を俺にすり寄せてきた。そこはもう臨戦態勢で、熱くて、固い。


「ちんこ痛いです。もう、今すぐに抱きたいです」
「……ふっ、ははっ。いいよ。俺もそのつもりできたから」


と、俺が答えれば、ゆず君は目を丸くして驚いた後、嬉しそうにはにかんで見せた。 

 ああ、可愛い。この笑顔だけでご飯三杯いけるわ~なんてバカみたいなことを思ってしまうくらいに可愛くて、思わず抱きしめてしまう。
 すると、ゆず君は俺の唇を噛みつくような形で奪って来た。舌を絡ませあって、唾液を交換しあうような激しいキス。息が出来なくて、苦しくて、頭がクラクラしてくるのに、もっと、ずっとしてて欲しいって思ってしまって。


「はあ、はぁ、ゆず君」
「紡さん、好き。紡さん……寝室行きましょ。また、その内片付けお願いします」
「もう、それはいっしょにするからね?」


 俺に押しつけようとするな、とどさくさに紛れて、片付けを頼んできたゆず君の頭を撫でてあげる。
 そうすれば、また嬉しそうに微笑むゆず君がいて、俺は胸がぎゅうっと締め付けられるように高鳴ってしまった。
 寝室に移動すれば、ゆず君にベッドへと押し倒される。
 ギシリ、と軋み音を上げるスプリング。俺の上に覆いかぶさるように、ゆず君が見下ろしてくる。
 何度見てもドキドキする光景だ。ゆず君の綺麗な顔がすぐ傍にあって、心臓が破裂しそうなほど鼓動している。


「ゆず君が積極的って、始めて……じゃない?」
「そうですか? わりと、紡さんの前では、抑えられてないと思うんですけど。だって、紡さんえっちだから」
「そ、それは、ゆず君の方が……っ」
「じゃあ、どっちがえっちか試してみます?」


 なんて、ゆず君は意地悪な笑みを浮かべると、俺の首筋を舐め上げてきて、そのまま服の中に手を忍ばせた。ひんやりとした手が脇腹をなぞりあげて、びくりと身体を震わせてしまう。それから、指先が乳首をかすめて、俺の口から甘い声が漏れてしまった。
 恥ずかしいのに、止められない。ゆず君も興奮した様子で、何度も俺の弱い所を攻めたてて来る。


「あっ……う」
「ほら、可愛い。えっちなのは、紡さんですね」
「ゆじゅ……くん」
「僕の事、好きですよね」


と、耳元で囁かれてしまえば、俺はもう何も言えなかった。

 こくりと小さく肯けば、満足げな表情をしたゆず君が俺のズボンとパンツを一緒に脱がせていく。ぶるんと飛び出して来た性器に、ゆず君の視線が注がれる。


「相変わらず、す~ぐ反応してくれますね。先っぽぬるぬるしてるし」
「やっ、ゆず君、そんなこと言わなくても」
「でも、事実ですもん。ね?」


と、言いながらゆず君は俺のモノを口に含んだ。

 生暖かい感触に包まれて、気持ち良くって腰が浮いてしまいそうになる。根元まで飲み込まれて、喉の奥で先端を刺激されて、竿全体を手で擦られて。巧みな口淫に翻弄されて、どんどん気持ちよくなっていって。
 俺の反応を見ながら、的確に攻め立てて来るゆず君はやっぱり上手い。俺が、初めてだって言ってたけど、疑ってしまうほど、テクニシャンだ。気持ち良すぎてどうにかなりそうだ。このままだと、イってしまいそうになって、俺は慌ててゆず君の頭を押し返した。


「やっ、ゆず君」
「下慣らしますね、今すぐ挿入したいんですけど、紡さんに怪我はさせたくないんでっ」


 ゆず君は俺のモノから口を離すとサイドテーブルからローションを取り出して、手に垂らす。それを温めてから、俺の後孔に触れてきた。そして、ゆっくりと中へ入れられていく。最初は一本だけ。だけど、慣れてきたと思った瞬間に二本に増やされて。バラバラと動かされる度に、違和感を感じてしまう。それでも、ゆず君の言う通り丁寧に解されたお陰で痛みはない。


「紡さん、一人でする時って、ここ使ってるんですか?」
「つ、使ってるわけないじゃん! てか、一人であまりしないし……」
「本当ですか? まあ、でも、綾君もいるし。今回は、信じてあげます」
「俺、そんなにっ! 信用ない!?」
「違いますって。でも、紡さんは僕で感じて欲しい。ちょっとした独占欲ですかね」


 そういうと、ゆず君は、ズボンを下ろして自分のモノを取り出す。すっかり勃起して大きくなっているそれに、ごくりと唾を飲み込んでしまう。
俺に挿れたいって言っているみたいだ。
ゆず君は俺の足を抱えるようにして持ち上げると、後孔に自身のをあてがった。熱くて固いそれが、今から入ってくるのかと思うと、期待に胸が高鳴ってしまう。


「いきますよ」
「うん……きて」


 そう答えれば、ゆず君は一気に奥へと突き進めてくる。その衝撃に、俺は息を詰まらせた。圧迫感が凄くて、苦しくて。


「大丈夫……ですか?」


 心配そうに見つめてくるゆず君。俺は、安心させるように微笑むと、ゆず君の頬に手を伸ばして触れるだけのキスをする。


「大丈夫だから。でも……」
「でも?」
「だ、抱きつきたい……ゆず君ともっとくっついて居たくて。ダメかな?」


と、素直に伝えれば、ゆず君の顔が真っ赤に染まっていく。それから、俺の事をぎゅっと抱きしめてくれた。肌と肌がくっつく感覚が心地いい。


「ははっ、素直。紡さん、そうやってもっと、僕にして欲しいこと言って下さい。今なら、何でも叶えてあげられます。僕もくっついていたいですし♡」
「う、ん。俺も、もっとゆず君を感じたい」


 そう答えると、ゆず君の動きが激しくなった。何度も出し入れを繰り返されて、奥を突かれる。それだけじゃない。乳首も指先で摘ままれて、転がされる。同時に攻め立てられてしまえば、快楽に溺れていくしかない。
 気持ち良くて、頭がおかしくなる。
 俺が感じるところを全部把握しているゆず君が執拗にそこばかり責め立ててきて、限界が近づいてくる。すると、ゆず君はラストスパートをかけるかのように激しくピストンを繰り返してきて。


「あっ、う……ゆずくん、おれもう……!」
「イきそうなんですね。良いですよ、僕も……そろそろなので」


と、ゆず君は抽送を早めると最奥を何度も何度も貫いて来て。俺の弱い所を狙って穿ってくる。

 激しい動きに、意識が飛びそうになるのに、それを許さないと言うかのように、何度も何度も前立腺を攻めたてられて。
 気が付けば、俺は絶頂を迎えてしまっていた。それと同時に、熱い飛沫がかけられて、身体の中も外も満たされているような錯覚に陥る。
 荒い呼吸を繰り返すゆず君が愛おしくて、俺は彼を抱き寄せた。汗で濡れた身体も、火照った体温も、全てが心地よくて、全て委ねてしまいそうになる。

 それから、二人でシャワーを浴びて、リビングに戻ると、あのおびただしい量のゴミが見えてしまいさっきの甘いムードも何処かへと消え失せてしまう。そんな時、後ろから抱き着かれて、耳元で囁かれた。


「紡さんが、僕と同じ匂いする」
「もう、くすぐったいって、ゆず君」
「同棲って感じして何か嬉しいです」
「あはは~あや君がいるうちは無理かなあ。皆独り立ちした後は、同棲……っていうのも良いかも」


 なんて、冗談半分で口にすれば、ゆず君は嬉しそうにはにかんで、俺の手を握りしめてきた。
 きっと、ずっと一緒にいるんだろうなあって思う。
 同棲の話はもう少し先の話になりそうだけど。


「――……まず、部屋を片付けよっか」


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