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第1部1章 もうすぐ死ぬキャラに転生しました
03 豪快で聡明な父の背中
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次の日もよく晴れた。
一日経って、転生していたことと、そしてこれから起こりえることをなんとなく整理することができた。適応というべきか、これまでと変わらないというべきか。それでも、未来を知っているというのは大きく、これからどう動くかによって変わってしまうセシルと俺の未来について考えずにはいられなかった。しかし、考えてばかりもいられない。皇宮の廊下を歩き、いつものように稽古場に向かう。一日でも鍛錬を欠かせば、その分、遅れを取ってしまい、その遅れはやがて大きなものとなるだろう。
稽古場に着くとすでにセシルは来ていた。
「おはよう、セシル。いつも早いね」
俺に気づくと、ああ、とセシルは片手で汗をぬぐいながら俺のほうを見ると、優しく微笑む。うっすらと、隈があってまた眠れていないんだろうなということが分かった。
セシルはもともと不眠症だった。というより、幼いころ、命を狙われたことにより眠りが浅くなったというほうが正しい。そのときはまだ、俺もセシルの護衛でもなければ、ただの乳兄弟であり、力がなかった。そうして、厳重な皇宮の警備をかいくぐってセシルの部屋に夜、刺客が忍び込み彼の命を狙った。幸いにも警備隊が駆け付けセシルは無事だったのだが、そのときはじめてセシルの魔力が暴走し、刺客だけではなく警備隊も傷を負ったという話を聞いた。
そんなこともあり、セシルは朝早く、そして眠りも遅い。ショートスリーパーになってしまった。
剣を鞘にしまい、セシルは俺のほうへ駆け寄ってくる。
「寝坊か?」
「ううん……あー寝坊かも。セシルより早く起きようとは思ってるんだけどね」
「ニルは朝が弱いからな。だが、今日は珍しく寝癖もないしなんだか顔もすっきりしている」
と、セシルは自分ごとのようにうれしそうに言った。
寝癖は直してきたからなのだが、顔がすっきりしているかどうかは自分ではわからなかった。
少し早めに起きて、冴えた頭でどうにか今後起こる悲劇について考えていたが、持っているのはゲームの知識だけであり、それだけで刺客がどこから攻めてきて、どのタイミングでセシルに切りかかるか分からなかった。だから、気にすべきはタイミングではなく、それに対応できる身体能力の強化が優先だと俺は思ってここに来た。だが、すでにセシルがいたというわけだ。
「そういう日もあるよ。さ、練習をしよう。一分一秒でも無駄にできないからね。相手になるよ」
「ああ、よろしく頼む」
俺たちは互いに距離を取り、剣を構えあう。そして、どちらともなく地面を蹴り上げた。
変わらない日常。雑念など入れず、ただひたすらに剣をふるう。金属同士がぶつかる音を聞いて、身体に熱が籠る。キン、カキンッ! とぶつかっては、俺たちは距離をとって、相手の出を窺って、また飛び出す。その繰り返し。互角の勝負を続け、結果的に今日は引き分けとなった。
いったん休憩をとることにし、二人で向き合う。呼吸は荒く、滴る汗をぬぐった。
切りかかってこられては打ち返し、フェイントを入れて剣を交える。そんなことを何度も繰り返していたせいか、ふらふらだ。足がもつれたところをセシルが支えてくれる。身長差のせいでちょっとつぶれるみたいにへたり込んでしまったが……
支えてくれたセシルに礼を言って立ち上がろうとすると、セシルの体が俺のほうに倒れてくる。とっさに俺はそれを抱き留めた。
「大丈夫か?」
「心配しなくても。というか、セシルこそ」
よく眠れていないせいだろうか。少し休憩を長め取ろうということで落ち着いて、ベンチのほうに移動しようとしたとき、ちょうど稽古場を通りかかった大きな人影がこちらに話しかけてきた。
「励んでいるか。皇太子殿下、ニル」
「父上!?」
日陰から、日の当たるほうへと出てきたのは、俺よりも二十センチほど背が高い大柄な男だった。後ろには重そうな大剣を背負っており、少し切込みの入った黒髪は、ツンツンとしていて俺とは似ていない。だが、快活に笑うその表情や、快晴の瞳は父譲りなのだとあらためて思った。帝国の騎士服に身を包んではいるが、胸筋がはっているため、ボタンを一つ、二つと開けている。
俺は、息が上がった体を何とか整えて立ち上がり、父親に向かって敬礼をする。父親であり、帝国騎士団団長マグナ・エヴィヘットその人であるから。そして、公爵家の当主。俺は父親を尊敬していたし、目標にしている。
父親である団長は、帝国最強の剣豪であり、セシルですらかなわないほどの腕をしている。そして、そんな最強の男を慕う団員や民も多くいるのだ、常に笑っていて、どんな戦場でも、その笑みは絶やさない。味方からすればそれは鼓舞であり、敵からしたら恐ろしい笑みなのだ。
また、本編ではニルが死んだことで心を病んで、物語の序盤、名前だけだったが奇襲を食らって死んだとされた男でもある。いってしまえば、親バカなのだ。とても、俺のことを思って、時には厳しく、だがとても期待し、応援しているそんな太陽のような父親なのだ。
「ちょうど、稽古場を通ったところでな。聞きなれた声が聞こえたものだから立ち寄ってみたのだ。フッ、ニル……まだまだだな」
「はい。目標である、父上には到底追いつけそうにないですよ」
「俺を目標にしているのか。カッカ! それは楽しみだな。ならば、一つアドバイスをやろう」
「はい」
まだまだ、といいつつもしっかりとアドバイスをくれる。
決して褒められるところにまで至れていなくとも、アドバイスをもらえるというくらいには、見込みがある証拠だろう。俺はそれが嬉しくなって少し前のめりに父の話を聞く。
「いつも言っているだろう? 敵の動きだけを見るのではない。周囲も見ること。利用できるものは何でも利用する。お前の得意は、素早く、人よりも多く数を打てることだ。剣があっていないのだというのなら、軽く細いものにしたらいい。そしたらお前の体に合うだろう」
「なるほど、細身の……勉強になります。父上」
確かに、俺の体格からすると、細身の剣のほうがもっと素早さを生かした攻撃ができるかもしれない。父のいうことはかなり的を得ていた。
「皇太子殿下も。私がいうのは何ですが、力任せの攻撃は身体を痛める原因になるかと思われます。また、相手の力をそのまま受け止めるのではなく、流すようにすればいいかと」
「そうか。勉強になる。ありがたく、その言葉を受け取ろう。騎士団長殿」
「恐縮です」
父は、セシルにもアドバイスを送り、にこりと笑った。
通りかかったとは言ったものの、もう少し前から俺たちを見ていたのかもしれない。でなければ、そこまで的確なアドバイスはできないだろう。その気配に気づけなかったのは、護衛としてあるまじき意識だ、と俺は気をつけようと思った。笑顔が絶えない、どんな逆境にでも耐え抜けるそんな父のようになりたい。俺だけではなく、セシルにも息子をみるような温かい目で見ている父を見て、俺は頬が緩んだ。そんな父を悲しませないようにするには、やはり鍛錬が必要なようだ。
そう、父のアドバイスを受け、やる気になった俺たちだったが、父の後ろに控えていた同じく騎士団の制服に身を包んだ男が咳払いをする。あきらかに、水を差すようなわざとらしい咳払いに、俺の眉は無意識のうちに中央へ寄る。
「団長殿、そろそろ時間です。職務を怠っていると、上から苦情がきます」
「ああ、もうそんな時間か。では、俺はまだ仕事があるからもう行くぞ。またな、ニル」
父は、近くにあった時計を見ると、ニカッと白い歯を見せ稽古場から去っていった。
本当はついでに、刺客が複数人現れたときの対処法など聞きたかったが、父も忙しい人だ。帝国騎士団の団長である父は、ことあるごとに駆り出されていて、休む時間がないように思えた。
見えなくなった父親の背中を見ながら、その父の後ろを歩いた、ワインレッドの少し髪の長い男は誰だったかと、俺は記憶を手繰り寄せる。何度か見たことがあるはずなのに、前世の記憶にはないような……そんな、あいまいな存在だったなと思った。だが、父と俺たちの間に口を挟めるということはそうとう度胸がある人間にも思えた。
「相変わらずだな……ニルの父親は」
「うん。でも、やっぱりすごい人だよ。俺ももっと頑張らないと。ところで、父の後ろにいた男って、誰だったっけ……?」
「なっ、忘れたのか、ニル……いや、忘れても無理はないか。彼は、一年ほど前に副団長に就任したメンシス・ライデンシャフト侯爵だ。ニルの父親をライバル視している侯爵だ。副団長就任前は、社交の場でだいぶ嫌がらせをしていたようだが」
覚えていないか? と言われたが、まったく記憶になかった。陰湿な嫌がらせだったのか、父からそういった話は聞いていない。今だって、普通に団長、副団長というような関係だったようにも思える。
確かに、どことなく陰湿なオーラはまとっていたが。特に問題視する必要はないだろう。俺が死ななければ、父もきっと団長の座に居座り続けることができる。
ベンチに座りながらそんな会話をして休憩を終わらせ、俺たちは立ち上がる。
「さ、もう一度やろう。今度は俺からいくよ」
「ああ、いつでも来い」
そんな会話を交わして俺たちは再び剣を交えたのだった。先ほどよりも、身体が軽く動いた。だが、同時にセシルの動きも変わり、隙がなくなる。互いに、先ほど父から言われたことを実行したからだろう。聞いてすぐに体現できるのは、俺たちの得意分野でもある。
(こうやって、鍛錬を積んでいけば、あと数週間で……!)
焦る気持ちを抑えながら、そして、ただ強くなるためにもう一度剣をふるう。
セシルを守り、自分の未来を変え、切り拓いていくために。
一日経って、転生していたことと、そしてこれから起こりえることをなんとなく整理することができた。適応というべきか、これまでと変わらないというべきか。それでも、未来を知っているというのは大きく、これからどう動くかによって変わってしまうセシルと俺の未来について考えずにはいられなかった。しかし、考えてばかりもいられない。皇宮の廊下を歩き、いつものように稽古場に向かう。一日でも鍛錬を欠かせば、その分、遅れを取ってしまい、その遅れはやがて大きなものとなるだろう。
稽古場に着くとすでにセシルは来ていた。
「おはよう、セシル。いつも早いね」
俺に気づくと、ああ、とセシルは片手で汗をぬぐいながら俺のほうを見ると、優しく微笑む。うっすらと、隈があってまた眠れていないんだろうなということが分かった。
セシルはもともと不眠症だった。というより、幼いころ、命を狙われたことにより眠りが浅くなったというほうが正しい。そのときはまだ、俺もセシルの護衛でもなければ、ただの乳兄弟であり、力がなかった。そうして、厳重な皇宮の警備をかいくぐってセシルの部屋に夜、刺客が忍び込み彼の命を狙った。幸いにも警備隊が駆け付けセシルは無事だったのだが、そのときはじめてセシルの魔力が暴走し、刺客だけではなく警備隊も傷を負ったという話を聞いた。
そんなこともあり、セシルは朝早く、そして眠りも遅い。ショートスリーパーになってしまった。
剣を鞘にしまい、セシルは俺のほうへ駆け寄ってくる。
「寝坊か?」
「ううん……あー寝坊かも。セシルより早く起きようとは思ってるんだけどね」
「ニルは朝が弱いからな。だが、今日は珍しく寝癖もないしなんだか顔もすっきりしている」
と、セシルは自分ごとのようにうれしそうに言った。
寝癖は直してきたからなのだが、顔がすっきりしているかどうかは自分ではわからなかった。
少し早めに起きて、冴えた頭でどうにか今後起こる悲劇について考えていたが、持っているのはゲームの知識だけであり、それだけで刺客がどこから攻めてきて、どのタイミングでセシルに切りかかるか分からなかった。だから、気にすべきはタイミングではなく、それに対応できる身体能力の強化が優先だと俺は思ってここに来た。だが、すでにセシルがいたというわけだ。
「そういう日もあるよ。さ、練習をしよう。一分一秒でも無駄にできないからね。相手になるよ」
「ああ、よろしく頼む」
俺たちは互いに距離を取り、剣を構えあう。そして、どちらともなく地面を蹴り上げた。
変わらない日常。雑念など入れず、ただひたすらに剣をふるう。金属同士がぶつかる音を聞いて、身体に熱が籠る。キン、カキンッ! とぶつかっては、俺たちは距離をとって、相手の出を窺って、また飛び出す。その繰り返し。互角の勝負を続け、結果的に今日は引き分けとなった。
いったん休憩をとることにし、二人で向き合う。呼吸は荒く、滴る汗をぬぐった。
切りかかってこられては打ち返し、フェイントを入れて剣を交える。そんなことを何度も繰り返していたせいか、ふらふらだ。足がもつれたところをセシルが支えてくれる。身長差のせいでちょっとつぶれるみたいにへたり込んでしまったが……
支えてくれたセシルに礼を言って立ち上がろうとすると、セシルの体が俺のほうに倒れてくる。とっさに俺はそれを抱き留めた。
「大丈夫か?」
「心配しなくても。というか、セシルこそ」
よく眠れていないせいだろうか。少し休憩を長め取ろうということで落ち着いて、ベンチのほうに移動しようとしたとき、ちょうど稽古場を通りかかった大きな人影がこちらに話しかけてきた。
「励んでいるか。皇太子殿下、ニル」
「父上!?」
日陰から、日の当たるほうへと出てきたのは、俺よりも二十センチほど背が高い大柄な男だった。後ろには重そうな大剣を背負っており、少し切込みの入った黒髪は、ツンツンとしていて俺とは似ていない。だが、快活に笑うその表情や、快晴の瞳は父譲りなのだとあらためて思った。帝国の騎士服に身を包んではいるが、胸筋がはっているため、ボタンを一つ、二つと開けている。
俺は、息が上がった体を何とか整えて立ち上がり、父親に向かって敬礼をする。父親であり、帝国騎士団団長マグナ・エヴィヘットその人であるから。そして、公爵家の当主。俺は父親を尊敬していたし、目標にしている。
父親である団長は、帝国最強の剣豪であり、セシルですらかなわないほどの腕をしている。そして、そんな最強の男を慕う団員や民も多くいるのだ、常に笑っていて、どんな戦場でも、その笑みは絶やさない。味方からすればそれは鼓舞であり、敵からしたら恐ろしい笑みなのだ。
また、本編ではニルが死んだことで心を病んで、物語の序盤、名前だけだったが奇襲を食らって死んだとされた男でもある。いってしまえば、親バカなのだ。とても、俺のことを思って、時には厳しく、だがとても期待し、応援しているそんな太陽のような父親なのだ。
「ちょうど、稽古場を通ったところでな。聞きなれた声が聞こえたものだから立ち寄ってみたのだ。フッ、ニル……まだまだだな」
「はい。目標である、父上には到底追いつけそうにないですよ」
「俺を目標にしているのか。カッカ! それは楽しみだな。ならば、一つアドバイスをやろう」
「はい」
まだまだ、といいつつもしっかりとアドバイスをくれる。
決して褒められるところにまで至れていなくとも、アドバイスをもらえるというくらいには、見込みがある証拠だろう。俺はそれが嬉しくなって少し前のめりに父の話を聞く。
「いつも言っているだろう? 敵の動きだけを見るのではない。周囲も見ること。利用できるものは何でも利用する。お前の得意は、素早く、人よりも多く数を打てることだ。剣があっていないのだというのなら、軽く細いものにしたらいい。そしたらお前の体に合うだろう」
「なるほど、細身の……勉強になります。父上」
確かに、俺の体格からすると、細身の剣のほうがもっと素早さを生かした攻撃ができるかもしれない。父のいうことはかなり的を得ていた。
「皇太子殿下も。私がいうのは何ですが、力任せの攻撃は身体を痛める原因になるかと思われます。また、相手の力をそのまま受け止めるのではなく、流すようにすればいいかと」
「そうか。勉強になる。ありがたく、その言葉を受け取ろう。騎士団長殿」
「恐縮です」
父は、セシルにもアドバイスを送り、にこりと笑った。
通りかかったとは言ったものの、もう少し前から俺たちを見ていたのかもしれない。でなければ、そこまで的確なアドバイスはできないだろう。その気配に気づけなかったのは、護衛としてあるまじき意識だ、と俺は気をつけようと思った。笑顔が絶えない、どんな逆境にでも耐え抜けるそんな父のようになりたい。俺だけではなく、セシルにも息子をみるような温かい目で見ている父を見て、俺は頬が緩んだ。そんな父を悲しませないようにするには、やはり鍛錬が必要なようだ。
そう、父のアドバイスを受け、やる気になった俺たちだったが、父の後ろに控えていた同じく騎士団の制服に身を包んだ男が咳払いをする。あきらかに、水を差すようなわざとらしい咳払いに、俺の眉は無意識のうちに中央へ寄る。
「団長殿、そろそろ時間です。職務を怠っていると、上から苦情がきます」
「ああ、もうそんな時間か。では、俺はまだ仕事があるからもう行くぞ。またな、ニル」
父は、近くにあった時計を見ると、ニカッと白い歯を見せ稽古場から去っていった。
本当はついでに、刺客が複数人現れたときの対処法など聞きたかったが、父も忙しい人だ。帝国騎士団の団長である父は、ことあるごとに駆り出されていて、休む時間がないように思えた。
見えなくなった父親の背中を見ながら、その父の後ろを歩いた、ワインレッドの少し髪の長い男は誰だったかと、俺は記憶を手繰り寄せる。何度か見たことがあるはずなのに、前世の記憶にはないような……そんな、あいまいな存在だったなと思った。だが、父と俺たちの間に口を挟めるということはそうとう度胸がある人間にも思えた。
「相変わらずだな……ニルの父親は」
「うん。でも、やっぱりすごい人だよ。俺ももっと頑張らないと。ところで、父の後ろにいた男って、誰だったっけ……?」
「なっ、忘れたのか、ニル……いや、忘れても無理はないか。彼は、一年ほど前に副団長に就任したメンシス・ライデンシャフト侯爵だ。ニルの父親をライバル視している侯爵だ。副団長就任前は、社交の場でだいぶ嫌がらせをしていたようだが」
覚えていないか? と言われたが、まったく記憶になかった。陰湿な嫌がらせだったのか、父からそういった話は聞いていない。今だって、普通に団長、副団長というような関係だったようにも思える。
確かに、どことなく陰湿なオーラはまとっていたが。特に問題視する必要はないだろう。俺が死ななければ、父もきっと団長の座に居座り続けることができる。
ベンチに座りながらそんな会話をして休憩を終わらせ、俺たちは立ち上がる。
「さ、もう一度やろう。今度は俺からいくよ」
「ああ、いつでも来い」
そんな会話を交わして俺たちは再び剣を交えたのだった。先ほどよりも、身体が軽く動いた。だが、同時にセシルの動きも変わり、隙がなくなる。互いに、先ほど父から言われたことを実行したからだろう。聞いてすぐに体現できるのは、俺たちの得意分野でもある。
(こうやって、鍛錬を積んでいけば、あと数週間で……!)
焦る気持ちを抑えながら、そして、ただ強くなるためにもう一度剣をふるう。
セシルを守り、自分の未来を変え、切り拓いていくために。
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