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第9章 氷の女王
109 氷の女王Ⅻ
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「うん。熊は鈴の音で近づかないとかでしょ」
「まぁ、合っていることは合っています。鹿や兎、イノシシを仕留める時に音を出したらすぐに逃げられてしまうんです。一発でも外せば、獲物を狩ることができなく、そして、その日の食料が無いというわけなんです」
「ふーん。そうなんだ……」
「それを人間に変えてみましょう。私とジョンさ……ジョンが互いに互いを撃ち殺そうとするとします」
「え、殺すの⁉」
「たとえ話です‼ 相手を一発で仕留めなければならないという状況です。二人はスコープ越しで向き合っています。ですので……まずはさっき私が寝ていたところに寝てみて、銃を持ち、スコープを覗いてみてください」
エミリーは場所を退くと、デミトロフを寝かせる。
「狙撃というのは精神を研ぎ澄まし、一点集中するんです。人間を撃ち抜くときは、どこだと思いますか?」
「……心臓?」
「違います‼」
きっぱりと否定する。
「なんで? 心臓は人間の中心じゃないの?」
デミトロフは、驚いてエミリーに問いただす。
「確かにそうですが、正解はここです」
エミリーは、額を指差す。
「人間のここを狙うんです。人間、心臓を撃ち抜いたとしても十数秒は活動可能なんです。それくらいの時間があれば、確実に二発目が飛んできます。しかし、頭を撃ち抜いた瞬間、人間は活動を停止し、死ぬんです」
「頭って、一瞬で死んじゃうの?」
「はい。頭は私たちの考える場所です。そんな所が一瞬で無くなったら心臓があったとしても意味ないんです」
「じゃあ、頭を撃ち抜けば、エミリーだって死んじゃうの?」
「はい、死にますよ! 狙撃手にとっては、頭を撃ち抜くことは基本なんです」
「基本ねぇ……」
「基本です。では、試しに撃ってみてください。的に当てれば、はじめとしては情的でしょう。呼吸を整えて、自分の体と銃、弾が一体になるように感じるんです」
集中するデミトロフに、基礎を叩き込むエミリー。
デミトロフに見える景色は、目の前の的。それ以外は視界に入ってこない。
「まぁ、合っていることは合っています。鹿や兎、イノシシを仕留める時に音を出したらすぐに逃げられてしまうんです。一発でも外せば、獲物を狩ることができなく、そして、その日の食料が無いというわけなんです」
「ふーん。そうなんだ……」
「それを人間に変えてみましょう。私とジョンさ……ジョンが互いに互いを撃ち殺そうとするとします」
「え、殺すの⁉」
「たとえ話です‼ 相手を一発で仕留めなければならないという状況です。二人はスコープ越しで向き合っています。ですので……まずはさっき私が寝ていたところに寝てみて、銃を持ち、スコープを覗いてみてください」
エミリーは場所を退くと、デミトロフを寝かせる。
「狙撃というのは精神を研ぎ澄まし、一点集中するんです。人間を撃ち抜くときは、どこだと思いますか?」
「……心臓?」
「違います‼」
きっぱりと否定する。
「なんで? 心臓は人間の中心じゃないの?」
デミトロフは、驚いてエミリーに問いただす。
「確かにそうですが、正解はここです」
エミリーは、額を指差す。
「人間のここを狙うんです。人間、心臓を撃ち抜いたとしても十数秒は活動可能なんです。それくらいの時間があれば、確実に二発目が飛んできます。しかし、頭を撃ち抜いた瞬間、人間は活動を停止し、死ぬんです」
「頭って、一瞬で死んじゃうの?」
「はい。頭は私たちの考える場所です。そんな所が一瞬で無くなったら心臓があったとしても意味ないんです」
「じゃあ、頭を撃ち抜けば、エミリーだって死んじゃうの?」
「はい、死にますよ! 狙撃手にとっては、頭を撃ち抜くことは基本なんです」
「基本ねぇ……」
「基本です。では、試しに撃ってみてください。的に当てれば、はじめとしては情的でしょう。呼吸を整えて、自分の体と銃、弾が一体になるように感じるんです」
集中するデミトロフに、基礎を叩き込むエミリー。
デミトロフに見える景色は、目の前の的。それ以外は視界に入ってこない。
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