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第3章 三年後の世界
033 三年後の世界Ⅹ
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電話がつながるまでの間、デミトロフは公衆電話ボックスの中で隙間風に当たりながら、武者震いをした。
トゥルルルルルルルルル――――
電話が鳴り響く音がした。
――――やっとかかってきたか……。
裕也は、約二十分間待ち続けて、ようやく電話がかかってくると受話器を取り、耳に当てる。
「はい、もしもし……」
『待たせて悪かったな』
電話越しからデミトロフ大佐の声が聞こえてきた。
「おい、大佐。後で電話するは大体五分以内だぞ。俺は二十分も待っていたんだぞ!」
『悪い、悪い。それで西の街、ウエストシティの事についてだろ?』
「ああ。この街に入ったのはいいんだが、少しいおかしくないか? 街の住人もなんだか行動がおかしい。それに地中から伝わってくる邪気。気持ちわりぃんだが……」
『じゃあ、話そう。その街はここ数年で復興した街と知られている。だが、それには裏があると私は睨んだ。そして、数週間そっちで滞在したが何も分からずじまいに終わってしまったが、分かったこともあった』
「どんなことだ?」
『その街には賢者の石と黒魔法が関わっているらしい』
「賢者の石と黒魔法の二つかよ……。大丈夫なのか? 大佐」
裕也は、驚きを隠せずに思わず叫んでしまう。
『さあ、それが分からないからお前たちに依頼しているんだろうが――――』
「分かったよ。だが、街を粉々にしても責任は全て大佐っていう事でよろしくな。じゃ、よろしく」
『お、おい! ちょっ……』
裕也は自ら電話を切った。
「ちっ、切れやがった……」
デミトロフは舌打ちをし、受話器を置いた。
「………………」
ボックス内から出ようとした時だった。周囲の様子がおかしいのに気づく。
感ではあるが、誰か闇に潜んでいるのは間違いない。
――――一人、いや二人、三人はいるな……。
デミトロフに緊張が走る。
トゥルルルルルルルルル――――
電話が鳴り響く音がした。
――――やっとかかってきたか……。
裕也は、約二十分間待ち続けて、ようやく電話がかかってくると受話器を取り、耳に当てる。
「はい、もしもし……」
『待たせて悪かったな』
電話越しからデミトロフ大佐の声が聞こえてきた。
「おい、大佐。後で電話するは大体五分以内だぞ。俺は二十分も待っていたんだぞ!」
『悪い、悪い。それで西の街、ウエストシティの事についてだろ?』
「ああ。この街に入ったのはいいんだが、少しいおかしくないか? 街の住人もなんだか行動がおかしい。それに地中から伝わってくる邪気。気持ちわりぃんだが……」
『じゃあ、話そう。その街はここ数年で復興した街と知られている。だが、それには裏があると私は睨んだ。そして、数週間そっちで滞在したが何も分からずじまいに終わってしまったが、分かったこともあった』
「どんなことだ?」
『その街には賢者の石と黒魔法が関わっているらしい』
「賢者の石と黒魔法の二つかよ……。大丈夫なのか? 大佐」
裕也は、驚きを隠せずに思わず叫んでしまう。
『さあ、それが分からないからお前たちに依頼しているんだろうが――――』
「分かったよ。だが、街を粉々にしても責任は全て大佐っていう事でよろしくな。じゃ、よろしく」
『お、おい! ちょっ……』
裕也は自ら電話を切った。
「ちっ、切れやがった……」
デミトロフは舌打ちをし、受話器を置いた。
「………………」
ボックス内から出ようとした時だった。周囲の様子がおかしいのに気づく。
感ではあるが、誰か闇に潜んでいるのは間違いない。
――――一人、いや二人、三人はいるな……。
デミトロフに緊張が走る。
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