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第2章  三つ子の奴隷

016  三つ子の奴隷Ⅲ

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 ステージの裏に回ると、俺以外にも他の奴隷を買った人が二十数人いた。


 その最後尾に立つ俺を前の奴らは、二億も出した奴がどんな奴かと物珍しそうにまじまじと見てくる。そんなにみられても困った物じゃない。


「なんだ? 何か俺に言いたいことでもあるのか?」


「あ、いや何も……」


「ああ……」


「お、俺に振るなよ……」


 とそれぞれが睨みつけられただけで、目をそらしながら小言になっていく。


「あ、あの……最後に二億出された方ですよね? ご準備が整いましたのでどうぞ、こちらに来ていただけないでしょうか?」


 奴隷商人が両手を合わせながらウキウキしながら話しかけてきた。それほど、二億という言葉が響いたのだろうか。


 すぐさま、俺をあの三つ子たちの方へと案内していく。


「あんたら奴隷商人は、人や亜人を金で売って、その儲けでまた、稼ぐって心苦しまないのか?」


「ええ、我々、奴隷商人にとってこれは金と人、人と金を縁で結ぶような存在であります。何かを得ようとする時、何かを得ようとするにはそれと同等の物を交換条件のテーブルに並べるでしょ? それと同じです。あなたはそれを行った。私が三つ子を提供するようにあなたは二億という大金を交渉のテーブルに出したわけですよ。この世界には魔法や魔術、呪術、錬金術と言った特別なものが多く存在します。それはどれに至ってもそれなりの対価が必要なのです。さて、着きましたよ。それでは交渉を始めましょうか?」


 テントの中に入ると、檻の中に同じ顔の三つ子が体を寄り添い合いながら奥の方で震えながら座っていた。


「ああ。だが、その前に一ついいか?」


「なんでしょうか?」


「こいつからその鉄くずを外してはくれないか? それに奴隷の紋章である契約の儀は必要ない」


「え? いや、それはどういう事でしょうか? あなたは奴隷を野放しにするおつもりですか?」


「あれ? そう聞こえなかったか? 俺はそう言うつもりで言ったんだが聞こえなかったのか? 俺はこいつらを奴隷にするとは一言も言ったつもりはない。二億を出すだけであって、それ以外は興味ねぇーよ。さあ、二億だ。さっさと指示したとおりに行動しろ。俺がお前を殺さないうちにな……」


「わ、分かりました! さっそく準備いたします!」


 俺の出した二億をあっさりと受け取った商人は、言われた通りに準備をし始めた。
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