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第1話  天の災厄

003  天の災厄Ⅲ

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 その間にも少しではあるが経験値が表示され、溜まっていくのが分かる。


 それから走り出して二十分後、セントラルに着いた頃にはレベルが一つ上がっていた。


「さて、最初はこの世界がどうなっているのか調べてみるか……」


 レベルが低く、コストも低い俺は初期設定の装備を外し、コスト50までの装備を兼ね備えた。


 黒いコートを纏い、剣も少し耐久力高めの物を装備する。


 さて、これさえ装備しておけばあまり絡まれることはないだろう。


 金はたくさんある。まずは情報を手に入れ、それから経験値稼ぎのアイテムを使いレベルでも高めておくか……。


 近くの酒場に行き、俺はそこの店主に話を聞く。


「おい、この世界の住人で閉じ込められてから何年ほど経つんだ?」


「はぁ? あんた、何を言っているんだ? そんな話結構前に片付いているよ。ほとんどの人間は元の世界に戻ろうとは考えていないはずさ」


「だから、それが何年前からだと言っているんだ!」


「あんた、しつこいな。今から三年ほど前だよ。それから月日が流れ、それぞれが自分の道を進んでいる」


「ここからの脱出法は?」


「ないね。この世界はゲームの世界じゃない。現実世界だ。怪我もすれば、心臓もある。つまり、生きているんだよ。この体自身がな……」


 店主は皿を布で拭きながら俺に呆れながら言った。


「そうか、ありがとう。今度、ゆっくりと食べにくる」


 そう言い残して、俺は店を後にした。


 この世界は三年前からほとんどの人間が閉じ込められていると言っていた。


 だが、それはどうだろうか俺は今日、初めてこんな訳の分からない世界に閉じ込められたのだ。


 今までログインしかしていないのに、三年間、何をしていたのかも記憶にない。


 もしかすると、ここに来たのは三年前であって、そして、目覚めたのは三年後だと、仮定すれば、話は通る。


 その三年間、たったレベル10で俺は一体何をしていたのだろうか。


 セントラルの中を歩き回りながら考えると、俺は立ち止まり、この世界の地図を表示させた。


 世界は地球全体の広さであり、まずはこの世界で生き残るためのすべを考えなければならない。


「うーん……。アイテムを使ってレベルでもあげておくか……」


 そう思っていた時だった。


 街の中央が騒がしい。ただ事ではない声が聞こえてくる。
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