アレイスター・テイル

第３章 失われた魔法と無力の魔導師

18

「じゃあ、まずはあの大きなゲーム機を狙って……」

「……て、私の話を聞いていないわね。これだから鈴鹿は……」

　誰よりも鈴鹿はこの祭りを楽しんでいる。その尻拭いをしているのが鈴鹿だ。この行動が高校生の正しい行動に見えない。

　紗耶香は呆れて、

「この天然少女はいつになったら大人になってくれるの？」

「知らねぇーよ。赤舞がこんな性格だってお前は昔から知っているんだろ？」

　鈴鹿の遊ぶ姿を見ながら、和哉は屋台で買ったたこ焼きを食べた。

　学校でも人気の高い鈴鹿だが、いざ付き合おうと思うと、ほとんどの男子が手を引いてしまう。その原因がこれだ。人気はあるのに男を寄り付かせない。簡単に言えば残念な美少女である。

　————まったく、私は何をやっているのかしら……。浴衣なんて着てくるんじゃなかった。

　紗耶香は小さな溜息をつき、鈴鹿の隣に立つ。