クラシック・オブ・ザ・ワールド

ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ

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第1章  閉じ込められた世界

002  閉じ込められた世界Ⅱ

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 周りから使用プレイヤーが抗議を訴えている。
 恐怖の悲鳴ひめいが聞こえてくる。ユウもメガネ型HMDをして、リビングで覚醒状態のままVRゲームを楽しんでいた。
(そんなに騒がなくてもいいだろうに……HMDの不具合で外れないだけだろ?)
 ユウは周りとは違って、そこまで挙動不審きょどうふしんにはなっていなかった。最初は驚いて何もすることが出来なかったが、この二十一世紀後半でこんなバグは日常茶飯事であり、騒いでいる奴らがうっとうしくてしょうがなかった。
 この荒野には数えられないほどのプレイヤーたちが集まっている。
(しかし、俺の体型をそのまま使用できるとはいつ、そんな設定をしたのか見覚えがないな?)
 ユウの能天気な思考回路はゲームの世界でも同じ働きをしているらしい。周囲にいるプレイヤーたちはパニック状態にある。一人だけ、ここで誰かがこの事件を呼び起こしたのかもしれないと疑っていた。
 上空に表示された緊急連絡と言うのは、未だに解除されないまま何の連絡もよこさずに時間が過ぎていくだけである。
 こんな真似まねを出来るのは開発した会社、もしくはその責任開発者いがいありえない。
 早く、この事件を教えて欲しいという思いが、ユウの平常心の態度をどんどんイラつかせていく。
(昔、メガネ型のHMDを開発した初期の本体がここまで現実感を持たせるんだ。相当な技術がいる。しかし、これは異常すぎる。)
 目をぱちぱちと動かし、指を動かす。
 これはユウの本物の体であり、今はこれに頼るしか他がない。髪形も少し長めの男の髪形、髪の毛のさらさら感は高再現されすぎている。着ている服は現実世界の服ではなくVR内のプレイヤー装備の格好だ。黒マントに全身黒服。背中にはいつの間にか剣が装着されていた。左の腰には銃が隠し装備されている。
(あははは。……これじゃあ、英雄えいゆうか何かのアカウントかよ……。確かにこれは俺のアカウントだけど……。それは俺が頑張った勲章みたいなものかな……)
 この地方は誰もがここからスタートする荒野。
 周りは廃墟はいきょビルに安全県内のタウンがある。周りは多くの木で囲まれて、近くには綺麗な湖が存在している。多くのプレイヤーがここから誕生する。世界中のプレイヤーたちがオンラインで情報の交換地でも知られ、そして、ギルド結成申請が出来る場所である。近くにはテレポートできる装置が設置されているが起動はしないだろう。
〈マジック・ワールド〉————
 これが歴代から二十年の大人気シリーズゲームである。
「だ、誰か。ここから出してくれ!」
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