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天才物理少女篇
001 仕組まれた陰謀 Ⅰ
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五月七日は、朝から雲行きがおかしかった。
西の空からは積乱雲が迫ってきているのが見えた。
夏用の制服に着替えると鞄を持ち、外に飛び出した。
積乱雲が近づいているせいなのか、七月の初夏並みの暑さだった。
転機予報によると、日本での最高気温は沖縄での三十五度、最低気温は北海道の十二度であった。日本の最北端と最南端で、二十度以上の気温の差は、地球温暖化のせいなのだろうか。北極の氷でさえも解けていくほどの海水温度が上昇しているのは事実である。
朝の電車通学は辛い。人ごみの中で目的の駅まで待たなければならないのだ。
今の子供たちのほとんどはスマホを持ち歩いている子が多い。
個人情報のセキュリティは甘くなり、抜き取られやすい世の中だ。
電車を降りると、目の前に大きな液晶画面が設置されてあるビルがすぐ見える。改札口を抜け、駅に出ると空を見上げた。まだ、雨は降っていない。
信号を待つ間、永遠と流れるCMを見ながら、頭の中はボー、としていた。
すると、妙な画面に切り替わったのだ。
『日本でいる皆さん、こんにちは。私の名前はヘーラク・レス』
と、いきなり挨拶をしてきた。
「はぁ? 何かの新作CMか?」
隣に立っていた大学生くらいの男性が、画面に目を奪われる。
周りも次第に立ち止まり、その如何にも怪しいCMを見始めた。
『簡単に言えば、仮の名であり、ギリシャ神話の英雄の名を借りている。さて、今、この画面を見ている人たちに問おう。この世界はどんどん間違っている方向へと進んで入っていないだろうか? 本当にこの先に世界の未来なんてあり得るのだろうか』
ヘーラク・レスと名乗る人物は、話を始めた。
『今の大人たちは、悪い奴らがほとんどだ。例えば、権力のある人間はそのまま子供にも受け継がれる。そんなのただの独裁政権と同じだ。人間は、ロボットを作り、そして、今は人工知能までも完成させてしまった。便利になりすぎて、身近なものを忘れかけている。それは、極めて遺憾である』
何を言っているんだと思った。
単なるCMにしては、出来過ぎ以上にクオリティーの高い。
ざわめきが広がっていく。
『そこで私は考えた。このままでは日本、いや、世界の未来は絶対来ないと……。ならば、新たに今の若者たちや中年者に考えてもらいた。世界の未来を————』
さっぱり理解できない。
結局何を言いたいのだろうか。
『さぁ、ゲームを始めよう。日本の……世界の未来を掛けたゲームをね……』
ヘーラク・レスは言い終えると、大型の液晶画面が激しく光り、人々はその光に包まれた。
× × ×
目の前には見たことのない世界が広がっていた。
自分たちのいる縦社会の情報が毎日のように飛び交う世界とは違って、時間がゆっくりと流れているまるでRPGの世界が広がっていた。
所々に家が建っており、人がいる。
ここは街、おそらくは村だろう。
周りには、今までそこにいた人たちが驚き、騒いでいた。
『ようこそ、僕の電脳世界へ。君たち以外にも世界中の三十代前半までの若者がこの世界のいろんな場所に転送された。君達には、僕とゲームをしてもらいたい』
世界中の若者、つまりは人口七十億人中約三十から四億人の人々がこの世界にいるって事になる。
『ゲームの内容は簡単だ。たった一人でもゲームをクリアさえすれば、現実世界に帰還できるが、反対に全員ゲームオーバーになれば、君達は帰還できず、そのまま死んでもらうよ』
ヘーラク・レスは、淡々と自分が作ったゲームのルールを説明する。
『HPが0になれば、生き返られるのは一度まで、それ以上は脳に電磁波が流れるようにセットされ、一時的にこの世界から排除される』
と、周りの人々が騒ぎ始め、反抗的に大声で抗議する。
「ふざけるな! 何がゲームだ! 俺達を元に戻せ‼」
「そうよ! 関係ないでしょ‼」
「帰せ! 帰せ! 帰せ!」
『うるさいなぁ?』
ヘーラク・レスの声が、ため息交じりの声で呆れる。
『解ってる? 君たちの命は僕が握っているんだよ? 人間は何も行動せずに文句だけ言っているよねぇ? だから、君達はロボットやAIに負けるんだよ。いや、もう何年も前に死んでいるも当然だね。これ以上、反乱があるならば、ルールに則らずに君達全員殺しちゃうよ! それでもいいかい?』
それは心の底から本気で言っているように聞こえた。
西の空からは積乱雲が迫ってきているのが見えた。
夏用の制服に着替えると鞄を持ち、外に飛び出した。
積乱雲が近づいているせいなのか、七月の初夏並みの暑さだった。
転機予報によると、日本での最高気温は沖縄での三十五度、最低気温は北海道の十二度であった。日本の最北端と最南端で、二十度以上の気温の差は、地球温暖化のせいなのだろうか。北極の氷でさえも解けていくほどの海水温度が上昇しているのは事実である。
朝の電車通学は辛い。人ごみの中で目的の駅まで待たなければならないのだ。
今の子供たちのほとんどはスマホを持ち歩いている子が多い。
個人情報のセキュリティは甘くなり、抜き取られやすい世の中だ。
電車を降りると、目の前に大きな液晶画面が設置されてあるビルがすぐ見える。改札口を抜け、駅に出ると空を見上げた。まだ、雨は降っていない。
信号を待つ間、永遠と流れるCMを見ながら、頭の中はボー、としていた。
すると、妙な画面に切り替わったのだ。
『日本でいる皆さん、こんにちは。私の名前はヘーラク・レス』
と、いきなり挨拶をしてきた。
「はぁ? 何かの新作CMか?」
隣に立っていた大学生くらいの男性が、画面に目を奪われる。
周りも次第に立ち止まり、その如何にも怪しいCMを見始めた。
『簡単に言えば、仮の名であり、ギリシャ神話の英雄の名を借りている。さて、今、この画面を見ている人たちに問おう。この世界はどんどん間違っている方向へと進んで入っていないだろうか? 本当にこの先に世界の未来なんてあり得るのだろうか』
ヘーラク・レスと名乗る人物は、話を始めた。
『今の大人たちは、悪い奴らがほとんどだ。例えば、権力のある人間はそのまま子供にも受け継がれる。そんなのただの独裁政権と同じだ。人間は、ロボットを作り、そして、今は人工知能までも完成させてしまった。便利になりすぎて、身近なものを忘れかけている。それは、極めて遺憾である』
何を言っているんだと思った。
単なるCMにしては、出来過ぎ以上にクオリティーの高い。
ざわめきが広がっていく。
『そこで私は考えた。このままでは日本、いや、世界の未来は絶対来ないと……。ならば、新たに今の若者たちや中年者に考えてもらいた。世界の未来を————』
さっぱり理解できない。
結局何を言いたいのだろうか。
『さぁ、ゲームを始めよう。日本の……世界の未来を掛けたゲームをね……』
ヘーラク・レスは言い終えると、大型の液晶画面が激しく光り、人々はその光に包まれた。
× × ×
目の前には見たことのない世界が広がっていた。
自分たちのいる縦社会の情報が毎日のように飛び交う世界とは違って、時間がゆっくりと流れているまるでRPGの世界が広がっていた。
所々に家が建っており、人がいる。
ここは街、おそらくは村だろう。
周りには、今までそこにいた人たちが驚き、騒いでいた。
『ようこそ、僕の電脳世界へ。君たち以外にも世界中の三十代前半までの若者がこの世界のいろんな場所に転送された。君達には、僕とゲームをしてもらいたい』
世界中の若者、つまりは人口七十億人中約三十から四億人の人々がこの世界にいるって事になる。
『ゲームの内容は簡単だ。たった一人でもゲームをクリアさえすれば、現実世界に帰還できるが、反対に全員ゲームオーバーになれば、君達は帰還できず、そのまま死んでもらうよ』
ヘーラク・レスは、淡々と自分が作ったゲームのルールを説明する。
『HPが0になれば、生き返られるのは一度まで、それ以上は脳に電磁波が流れるようにセットされ、一時的にこの世界から排除される』
と、周りの人々が騒ぎ始め、反抗的に大声で抗議する。
「ふざけるな! 何がゲームだ! 俺達を元に戻せ‼」
「そうよ! 関係ないでしょ‼」
「帰せ! 帰せ! 帰せ!」
『うるさいなぁ?』
ヘーラク・レスの声が、ため息交じりの声で呆れる。
『解ってる? 君たちの命は僕が握っているんだよ? 人間は何も行動せずに文句だけ言っているよねぇ? だから、君達はロボットやAIに負けるんだよ。いや、もう何年も前に死んでいるも当然だね。これ以上、反乱があるならば、ルールに則らずに君達全員殺しちゃうよ! それでもいいかい?』
それは心の底から本気で言っているように聞こえた。
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