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第3章 闇の奥底
ⅩⅦ
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「大丈夫です。あなたより部下達は優秀ですから」
エルザはバルトのことを信用していない。
「それに向こうに早くいきたいのなら、私が運転したほうがいいのでは?」
「いや、それだけはやめてくれ。向こうに着く前に俺がどうなってしまう」
バルトは、エルザの運転テクニックを知っているため、乗ると自分がどうなるのか分かっている。
「ダメです。すぐに向かいます。私の車、すぐそこに駐車していますので……」
エルザは窓の外を指差し、ポツンと停められている車を指差す。
「乗らないといけないか?」
「いけません。さぁ、早くいきましょう」
エルザはバルトの背中を押し、部屋を後にした。
× × ×
事故現場から南東に約三キロ地点––––
「あ、あちぃー。やっぱ、車内に残っておいたほうがよかったか?」
ボーデンは、木で作られた水筒に入っている水をちびちびと飲みながら言う。
「歩いて行くと言ったのは貴方よ。私だって、疲れているんだから踏ん張りなさいよ」
隣で歩くラミアもまた、バテている。
二人は線路の道を歩きながら、次の駅を目指している。
「それにしてもまさか、こんなところで足止めを食らうとは……な」
「そうね。言っておくけど……」
「なんだ?」
「私、この灼熱の太陽に弱いのを忘れてた……」
ラミアが急に倒れる。
「あ、おい‼︎ いきなり倒れるなよ!」
ボーデンは、倒れるラミアをギリギリの位置でしっかりと受け止め、彼女を抱く。
「もう、無理。おぶって?」
「無理言うな。ただでさえ俺も体力ギリギリで歩いているんだぞ!」
「お願い、少しの間だけ休ませて……」
ラミアが上目遣いを使い、お願いしてくる。
「うっ……」
それを見て、ボーデンは戸惑ってしまう。
流石にそんな目で見られると、助けないわけにはいかない。
エルザはバルトのことを信用していない。
「それに向こうに早くいきたいのなら、私が運転したほうがいいのでは?」
「いや、それだけはやめてくれ。向こうに着く前に俺がどうなってしまう」
バルトは、エルザの運転テクニックを知っているため、乗ると自分がどうなるのか分かっている。
「ダメです。すぐに向かいます。私の車、すぐそこに駐車していますので……」
エルザは窓の外を指差し、ポツンと停められている車を指差す。
「乗らないといけないか?」
「いけません。さぁ、早くいきましょう」
エルザはバルトの背中を押し、部屋を後にした。
× × ×
事故現場から南東に約三キロ地点––––
「あ、あちぃー。やっぱ、車内に残っておいたほうがよかったか?」
ボーデンは、木で作られた水筒に入っている水をちびちびと飲みながら言う。
「歩いて行くと言ったのは貴方よ。私だって、疲れているんだから踏ん張りなさいよ」
隣で歩くラミアもまた、バテている。
二人は線路の道を歩きながら、次の駅を目指している。
「それにしてもまさか、こんなところで足止めを食らうとは……な」
「そうね。言っておくけど……」
「なんだ?」
「私、この灼熱の太陽に弱いのを忘れてた……」
ラミアが急に倒れる。
「あ、おい‼︎ いきなり倒れるなよ!」
ボーデンは、倒れるラミアをギリギリの位置でしっかりと受け止め、彼女を抱く。
「もう、無理。おぶって?」
「無理言うな。ただでさえ俺も体力ギリギリで歩いているんだぞ!」
「お願い、少しの間だけ休ませて……」
ラミアが上目遣いを使い、お願いしてくる。
「うっ……」
それを見て、ボーデンは戸惑ってしまう。
流石にそんな目で見られると、助けないわけにはいかない。
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