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第1章 イレギュラー・ワールド
001 イレギュラー・ワールドⅠ
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この世界には人が知らない二つの世界がある。
人間界はもちろんだが、その他にも天界と魔界が存在する。
三つの世界は平行線状に保たれており、ここ数百年以上は平和であった。
月明かりの良い夜————
一人の少女が静かな夜を舞っていた。
「なるほど。人間界に不穏な空気が流れている……」
彼女の真っすぐな目には一体何が映っているのだろうか。
今宵、悪魔が夜空を華麗に舞う。
翌日の昼————
「おい! それ俺のパン‼」
「これは私のパンよ‼」
「押すな! ああ、小銭が‼」
「痛っ! どこ触ってんのよ‼」
高校の売店の前で男女問わず、学年問わず、学生たちがお昼の昼食を巡り、戦いを繰り広げていた。
その中で一人の少年が、誰からも攻撃を受けずにするりと通り抜け、お金を払い、暑苦しい集団からすぐに抜ける。
すると、胸ポケットに入れていたスマホから着信音が鳴った。
「はい、もしもし……」
『どうだった?』
「ああ? そこは「どうでしたか?」って、聞くもんじゃないのか?」
『あはは……。すまん、すまん。後でしっかりと代金は払うからさ。皆うえで待っているからお前も早く来いよ』
「あ、おい‼」
少年は、声を上げて、電話の向こう側にいるであろう人物に呼びかけるが、通話を一方的に切られた。
「————ったく……」
少年は画面を見つめ、落胆すると、胸ポケットにスマホを閉まった。
少年は、ゆっくりと歩き出し、屋上へと向かうために渡り廊下を渡る。
「じゃんけんで負けたからといって、全員分の買い出しをさせられるとは……」
行きかう人々を避けながら少年は頭の中で不満ばかり浮かべていた。
「はぁ……。高二になって、相変わらず忙しい毎日だな」
少年は、欠伸をしながら屋上への階段を上る。
少年の名は、大門海斗。
北第一高校に通うどこにでもいる高校二年である。
何不自由もなく生まれ、育ち、今に至る。
————左腕、意外といてぇ……。
海斗は、階段を上り終えると、屋上の扉を開けた。
「おーい、買ってきたぞ‼」
海斗は、買ってきたパンのレジ袋を見せつけながら言う。
「かーいーとー……」
向こうの方から少年が走りながら海斗の名前をの呼ぶ。
「来るのが遅——————い‼ 何分かかってるんだ‼」
「ぐほぁ‼」
海斗は少年の勢いに乗った頭突きを喰らって、後方へと吹き飛ばされる。
「何やってんだ! 連絡とってから、もう十分も経っているんだぞ‼」
少年は仁王立ちをしながら腕を組み、海斗の前に立ち塞がる。
「昼休みが終わるまで残り三十分! 休む時間もないだろうが‼ 負けた者はさっさと行動して、持ってくるんだろ‼」
少年は、怒りながら宙を舞ったレジ袋を瞬時に手に入れて、大声で叫ぶ。
「てめぇ! わざわざ他の奴らの分まで買ってきてやった奴に対しての態度か‼」
「うるせぇ! じゃんけんで負けるのが悪いんだろうが‼」
「だとしてもちょっとした時間くらい目をつぶれよ‼」
「やだね! 許せるか‼」
「この筋肉馬鹿が‼」
「だーれが筋肉馬鹿だ! ありがとう‼」
少年と海斗は、言い争う。
「ねぇ、二人とも喧嘩止めなよ! それこそ昼休みの時間が無くなるよ!」
「愛歌、先に食べてよ」
心配している少女に全く気にしていなく、呆れ果てている少女が言った。
「大体なぁ! 欲しいものがあるなら自分で買えってんだーよ‼」
「あんたが負けんのが悪いじゃん」
「ああっ⁉ なんて言った‼」
人間界はもちろんだが、その他にも天界と魔界が存在する。
三つの世界は平行線状に保たれており、ここ数百年以上は平和であった。
月明かりの良い夜————
一人の少女が静かな夜を舞っていた。
「なるほど。人間界に不穏な空気が流れている……」
彼女の真っすぐな目には一体何が映っているのだろうか。
今宵、悪魔が夜空を華麗に舞う。
翌日の昼————
「おい! それ俺のパン‼」
「これは私のパンよ‼」
「押すな! ああ、小銭が‼」
「痛っ! どこ触ってんのよ‼」
高校の売店の前で男女問わず、学年問わず、学生たちがお昼の昼食を巡り、戦いを繰り広げていた。
その中で一人の少年が、誰からも攻撃を受けずにするりと通り抜け、お金を払い、暑苦しい集団からすぐに抜ける。
すると、胸ポケットに入れていたスマホから着信音が鳴った。
「はい、もしもし……」
『どうだった?』
「ああ? そこは「どうでしたか?」って、聞くもんじゃないのか?」
『あはは……。すまん、すまん。後でしっかりと代金は払うからさ。皆うえで待っているからお前も早く来いよ』
「あ、おい‼」
少年は、声を上げて、電話の向こう側にいるであろう人物に呼びかけるが、通話を一方的に切られた。
「————ったく……」
少年は画面を見つめ、落胆すると、胸ポケットにスマホを閉まった。
少年は、ゆっくりと歩き出し、屋上へと向かうために渡り廊下を渡る。
「じゃんけんで負けたからといって、全員分の買い出しをさせられるとは……」
行きかう人々を避けながら少年は頭の中で不満ばかり浮かべていた。
「はぁ……。高二になって、相変わらず忙しい毎日だな」
少年は、欠伸をしながら屋上への階段を上る。
少年の名は、大門海斗。
北第一高校に通うどこにでもいる高校二年である。
何不自由もなく生まれ、育ち、今に至る。
————左腕、意外といてぇ……。
海斗は、階段を上り終えると、屋上の扉を開けた。
「おーい、買ってきたぞ‼」
海斗は、買ってきたパンのレジ袋を見せつけながら言う。
「かーいーとー……」
向こうの方から少年が走りながら海斗の名前をの呼ぶ。
「来るのが遅——————い‼ 何分かかってるんだ‼」
「ぐほぁ‼」
海斗は少年の勢いに乗った頭突きを喰らって、後方へと吹き飛ばされる。
「何やってんだ! 連絡とってから、もう十分も経っているんだぞ‼」
少年は仁王立ちをしながら腕を組み、海斗の前に立ち塞がる。
「昼休みが終わるまで残り三十分! 休む時間もないだろうが‼ 負けた者はさっさと行動して、持ってくるんだろ‼」
少年は、怒りながら宙を舞ったレジ袋を瞬時に手に入れて、大声で叫ぶ。
「てめぇ! わざわざ他の奴らの分まで買ってきてやった奴に対しての態度か‼」
「うるせぇ! じゃんけんで負けるのが悪いんだろうが‼」
「だとしてもちょっとした時間くらい目をつぶれよ‼」
「やだね! 許せるか‼」
「この筋肉馬鹿が‼」
「だーれが筋肉馬鹿だ! ありがとう‼」
少年と海斗は、言い争う。
「ねぇ、二人とも喧嘩止めなよ! それこそ昼休みの時間が無くなるよ!」
「愛歌、先に食べてよ」
心配している少女に全く気にしていなく、呆れ果てている少女が言った。
「大体なぁ! 欲しいものがあるなら自分で買えってんだーよ‼」
「あんたが負けんのが悪いじゃん」
「ああっ⁉ なんて言った‼」
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