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第1章 動き出す物語
Ⅺ
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(今のは……いや、そんなはずはない……。この街に他にもいるとでも言うの?)
クロエは、今の一瞬の衝撃を見逃さずに一部始終見ていた。
悪魔に一撃を与える魔法を放った小さな黒影。
何か細長い棒を持っており、そこから放った魔法は、一撃にして悪魔を仕留めるほどの実力者。今の颯馬では、相手になるのか見ただけで分かる。
「颯馬、帰るぞ。後の事は、放課後にでも調べればいいだろう」
西の方を見続ける颯馬は、クロエの方を振り向きもしなかった。
「…………」
颯馬が睨みつける西の方では、悪魔を倒した人物が、颯馬の魔力に気づいたまま、無言でいた。
「どうしたんだ?」
「いや、なんでもない……」
その黒い影は、再び姿を消した。
× × ×
放課後————
朝から晴れていたはずの空は、いつの間にか、黒色の多くの雲に覆われていた。
雲の間から降ってくる冷たく、生暖かい雨は汗と一緒に紛れていく。
「さて、今日の議題は、朝の出来事について話してもらいましょうか?」
と、おっとりとした性格をした少女が、手を合わせて言った。
黒髪に赤毛の腰の位置まで伸びた髪。そして、出る所は出ると、高校二年生にしては、美貌のスタイル。
「議題ってなんだ? 俺はちっともわかんねぇ……」
とある部屋の椅子に座っている颯馬は、欠伸をしながら眠そうにしていた。
「あら? 今朝の出来事は、誰のおかげで出来たんでしょうね?」
少女は、颯馬に笑みを見せながら嫌味ったらしく言ってくる。
「さぁーな。結局は、無駄だったけどな……」
「それもそうだろう。なにせ、手柄はどこかの誰かに奪われたらしい」
部屋の片隅で、愛用のライフルの手入れをしている少年が言った。
左目周辺の皮膚は、怪我を負った跡が残っており、クールで冷静な印象を放つような少年だ。
そもそも、高校生がライフルを持っているだけで銃刀法違反に属するのだが、彼は肩身放さずにいつも、持ち歩いている。
クロエは、今の一瞬の衝撃を見逃さずに一部始終見ていた。
悪魔に一撃を与える魔法を放った小さな黒影。
何か細長い棒を持っており、そこから放った魔法は、一撃にして悪魔を仕留めるほどの実力者。今の颯馬では、相手になるのか見ただけで分かる。
「颯馬、帰るぞ。後の事は、放課後にでも調べればいいだろう」
西の方を見続ける颯馬は、クロエの方を振り向きもしなかった。
「…………」
颯馬が睨みつける西の方では、悪魔を倒した人物が、颯馬の魔力に気づいたまま、無言でいた。
「どうしたんだ?」
「いや、なんでもない……」
その黒い影は、再び姿を消した。
× × ×
放課後————
朝から晴れていたはずの空は、いつの間にか、黒色の多くの雲に覆われていた。
雲の間から降ってくる冷たく、生暖かい雨は汗と一緒に紛れていく。
「さて、今日の議題は、朝の出来事について話してもらいましょうか?」
と、おっとりとした性格をした少女が、手を合わせて言った。
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「あら? 今朝の出来事は、誰のおかげで出来たんでしょうね?」
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「さぁーな。結局は、無駄だったけどな……」
「それもそうだろう。なにせ、手柄はどこかの誰かに奪われたらしい」
部屋の片隅で、愛用のライフルの手入れをしている少年が言った。
左目周辺の皮膚は、怪我を負った跡が残っており、クールで冷静な印象を放つような少年だ。
そもそも、高校生がライフルを持っているだけで銃刀法違反に属するのだが、彼は肩身放さずにいつも、持ち歩いている。
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