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第1章 動き出す物語
Ⅳ
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「相変わらず。朝っぱらから大変だったわね……」
その黒い物体は、少年の肩に止まり、羽を休めて話しかけてくる。
羽。黒く、綺麗な羽。黒い瞳に黒いくちばし。
人間が生きていく生活の中で、最も天的な動物の一種————
————『烏』である————
その烏は、なぜか、言葉を話せるらしく、少年と話をしているのだ。
「うるせぇ。見てたんなら、少しくらい助けろよな……」
「私の物が、朝から女の尻に敷かれるなんて、情けない……」
烏は、溜息をつく。
「別にお前の物じゃねーぞ、クロエ。それに通学時間に俺の肩に乗るんじゃねぇ……。周りから気味悪がられるだろうが……」
少年は、烏の名を呼ぶ。
「颯馬、烏は、漆黒に包まれた集団だ。それに勝手に行動する奴だっている。私は、気まぐれな烏だ。烏を気味悪いと思われるのは仕方がない。お前は、私のもう一つの姿を知っているだろ?」
クロエは、少年、いや、希の兄でもある颯馬にそう言った。
雪城颯馬、十六歳。天海西条高校二年。
黒髪の短髪、身長一七五センチ。
現在、時間ギリギリで、謎の烏と会話をしながら高校へと急いで自転車を漕いでいる。
「それにここ最近の悪魔や魔女の出現が多くなっているのを知っている?」
「ああ、やたら倒しても、次から次へと、うじゃうじゃと湧き出てくるんだ? 調べはついているんだろ?」
「いいや。その点については、まだ捜査中だな。私にも分からない事が起こっているのは確か。そもそもこの町自体が、嫌なものに包まれている」
「天海町が……?」
「そう。この町を中心に何かが集まりつつあるのは本当よ。まぁ、とにかく忙しくなるのは確定事項だけどね」
クロエは、意地悪そうに告げた。
「おいおい……。俺以外の契約者とか見つけてくんねーのかよ……」
「無理ね。私の場合は、あなた以外の契約者は、絶対に無理。でも……」
「でも?」
颯馬は視線だけ、クロエの方を見る。
その黒い物体は、少年の肩に止まり、羽を休めて話しかけてくる。
羽。黒く、綺麗な羽。黒い瞳に黒いくちばし。
人間が生きていく生活の中で、最も天的な動物の一種————
————『烏』である————
その烏は、なぜか、言葉を話せるらしく、少年と話をしているのだ。
「うるせぇ。見てたんなら、少しくらい助けろよな……」
「私の物が、朝から女の尻に敷かれるなんて、情けない……」
烏は、溜息をつく。
「別にお前の物じゃねーぞ、クロエ。それに通学時間に俺の肩に乗るんじゃねぇ……。周りから気味悪がられるだろうが……」
少年は、烏の名を呼ぶ。
「颯馬、烏は、漆黒に包まれた集団だ。それに勝手に行動する奴だっている。私は、気まぐれな烏だ。烏を気味悪いと思われるのは仕方がない。お前は、私のもう一つの姿を知っているだろ?」
クロエは、少年、いや、希の兄でもある颯馬にそう言った。
雪城颯馬、十六歳。天海西条高校二年。
黒髪の短髪、身長一七五センチ。
現在、時間ギリギリで、謎の烏と会話をしながら高校へと急いで自転車を漕いでいる。
「それにここ最近の悪魔や魔女の出現が多くなっているのを知っている?」
「ああ、やたら倒しても、次から次へと、うじゃうじゃと湧き出てくるんだ? 調べはついているんだろ?」
「いいや。その点については、まだ捜査中だな。私にも分からない事が起こっているのは確か。そもそもこの町自体が、嫌なものに包まれている」
「天海町が……?」
「そう。この町を中心に何かが集まりつつあるのは本当よ。まぁ、とにかく忙しくなるのは確定事項だけどね」
クロエは、意地悪そうに告げた。
「おいおい……。俺以外の契約者とか見つけてくんねーのかよ……」
「無理ね。私の場合は、あなた以外の契約者は、絶対に無理。でも……」
「でも?」
颯馬は視線だけ、クロエの方を見る。
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