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雪女篇

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「灯真、朝ご飯よ。早く降りて来な……さむっ! あんた、朝からよくなどを開けていられるわね。何かあった?」

「いや、何も……。それよりも朝ご飯、もう出来たんだ」

「そうだった、そうだった。忘れるところだったわ。私、先に降りてくるからすぐに下りて来なさいよ」

 そう言って先に階段を下りて行った。

「それじゃあ、俺も行くか……」

 膝に手を置いて、ゆっくりと立ち上がると窓を開けたまま部屋を後にした。

 誰もいなくなった部屋の中にいきなり少女が姿を現した。

「なんじゃ、人間の住まいというのはこんな小さな部屋に住んでおるのか? ちっぽけな生き物だな……。それにしてもあの少年、顔色が悪かったな。これは好都合……私に食べられるのを恐れておるのだな」

 少女は、一人笑いをして何か企んでいるようだった。
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