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雪女篇

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「大晦日の大掃除だよ……」

「そうかい。だったら持っていきな。そこの棚の上に置いてあるのが蔵の鍵だよ」

「ありがとう、おばあちゃん。借りていくよ」

 灯真は、鍵を握るとそのまま二階に上がっていった。

「ちょっと、お母さん。あそこは決して開けてはならない蔵じゃ……」

 美咲は、手を止めて心配そうに和恵を見つめた。

 和恵かずえは、何事もなかったかのようにそのまま味噌汁を飲む。

「美咲、あの子はいいんだよ。他の親戚とは違うところがあると私は思っている。あそこはあの子にとって、これから先の人生を変えるのかもしれない。知世ともよもそう言っていただろ?」

「お母さん、知世のことは灯真には話してないよね?」

「ああ、あの子の写真や遺品は全て私の部屋の押し入れの奥にしまってある。灯真に真実を話したくないのは分かっているが……。美咲、時が来たら分かっておるな?」 
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