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雪女篇

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「お帰りなさい、灯真とうま様。今日は帰りが早かったですね」

「はぁ……。ゆき、いつも俺の帰りを玄関で待たなくてもいいんだぞ」

「そうはいきません! 私には私の意志で動いているんですから」

 彼女は灯真の鞄を受け取ると、そのまま台所へと向かい、姿を消した。

 灯真は、溜息をつきながら洗面所に向かった。帰ってきたら手洗いうがいは、いつもの日課である。しっかりと泡タイプの石鹸をつけて、手を細目に洗い、水に流す。自分専用のコップに水を注ぎ、ガラガラと音を立てながらうがいをして口から吐き出す。

 鏡に映る自分の顔は、どこか寂しそうな表情をしていた。 
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