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第1章 インターハイ予選

011  インターハイ予選Ⅺ

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 和弥たちはボイラー室に入り、健人を始めとして女子風呂のボイラー室のとびらの前に回っていた。扉から見える小さな窓の向こうには男たちの夢と希望がぎっしりと詰まっているのだ。
「行くぞ、お前ら……戦闘の準備は出来ているな?」
 健人はドアノブ握りしめて、後ろにいる健人たちに言った。
「はい!」
 小さな声で三人は頷く。試合中の集中力よりはるかにこっちの方が集中力があって、欲望よくぼうの高い意識を持っている。健人はその心意気こころいきを買って、功一と目で合図を交わして、ドアノブを一気に回して扉を開いた。
「女子ども!…………って、あれ?女子が誰一人いないぞ……?」
 男子五人は女子風呂に入り、辺りを見渡すと、
「健ちゃん……。去年も女子風呂を覗こうとしたわよね……。去年の苦しみ覚えていないのかしら……」
「げっ……香織。なぜ、バスタオル並みのタオルを巻いているんだ!卑怯だぞ!横暴だ!」
 隣で石山香織いしやまかおりと女子たちがバスタオルを巻きながら、桶を持って攻撃準備をしていた。
「功一。なんで部長のあんたが一緒になってこんなバカなことをしているのかしら?説明して貰える?この意味が分かるわよね……」
 その隣で女子部員の部長である栗色のショートカット姿の竹谷奈津季たけやなつきが功一に怒り口調で微笑みながら質問してきた。
「……?いや、こいつがやるっていうからそれに付き合っただけだけど……」
「功一!おめーが先に行こうとしただろ‼率先して覗こうとしていたんじゃないか!」
「そうだったか?」
「おい!自分が行動していたことに自覚なしかよ……。頭が痛い……」
 健人は額に手を当てて、溜息を漏らした。
「和弥……。女子風呂を覗こうとしたことに言い訳は無いわよね!」
 理奈が和弥を睨みながら疑ってくる。
「何も言い訳などございません……」
「皆、一斉攻撃よ!」
 理奈の掛け声と同時に女子たちが桶の中の水を和弥たちに向けて掛けてきた。
「つ、冷てえぇぇぇ!お前ら、やりやがったな!卑怯だぞ!正々堂々と戦え!」
 健人は文句を言いながら、隣にある水風呂から供給している女子たちに抗議をした。
「あんたたちが悪いのよ!女子風呂をのぞこうとするなんてサイテー‼女の敵よ!さっさと男湯に戻りなさい。この野蛮人!」
「誰が野蛮人やばんじんだ!なら、香織は怪力女の方がお似合いだぜ!」
「なんですって!あんただけには言われたくないわよ!大体、モテないからって普通、女湯を覗こうとするかしら?」
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