寝取られ予定のお飾り妻に転生しましたが、なぜか溺愛されています

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「エステル、私の前では取り繕わなくてもいい。今日は朝から色々あったんだ、疲れて当然だろう」
「クロード様」
「家族のことはエステルの意向を最大限に汲んだつもりだったが、あまりの暴走振りでエステルの身の危険があったから、万が一に備えて殿下に話を通していた。だが、結果的に重い処罰になってしまってすまなかった」
「家族が今までにしたことを思えば仕方のない事ですし、私の甘さが引き起こした結果でもあります。むしろ私がクロード様に謝らないといけませんわ。クロード様、ご迷惑をお掛けしてごめんなさい」
「……はは、貴女はこんな時まで私を気遣うのか」

　クロード様は私の肩に顔を埋める。

「エステルは謝らなくていい。それより、今回の事は一生貴女の心に残ってしまうだろう。私に出来ることなどたかが知れているが、それでも貴女が少しでも笑顔で過ごせるよう全力を尽くしたいと思っている」

　ああ、クロード様は私の心のことまで心配までしてくれているのか。
　クロード様は本当に優しいな。こんな方が私の旦那様なんて、私はなんて恵まれているのだろう。

「クロード様……心配してくれてありがとうございます」

　私のクロード様は顔を上げ、私を見つめる。
　どこまでも澄んだ色の紫眼は、私を捉えて離さない。
　
「エステル、愛している。貴女は、私の女神であり太陽だ」
「クロード様。私も、愛しています」

　熱を帯びたものが唇に触れ、次第に深くなっていく。

　与えられるその熱に、次第に思考力は奪われる。

　でも、その痺れるような甘い感触が心地よくて、離れたくなくて。

　気付けば私はクロード様に首に腕を回し、どこまでも甘いその熱に身を委ねていた。