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「クソ!! 能無し、貴様のせいだ! 死ね!!」

 お父様は鬼のような形相で私を睨み付けると、手を私の方へ差し出す。
 すると、みるみるその手に炎が集まり、私に向かって放たれた。

 これは攻撃魔法!?

 どうしよう、避け切れない!!

 思わず目を瞑ると、辺りに風が舞い上がる。

「!?」

 驚いて目を見開くと、そこには逞しくて大きな背中が立ちはだかっている。
 
「ク、クロード様!?」

 どうやらクロード様は身を挺して私を守ってくれたようだ。
 でも、あんな攻撃を受けて怪我でもしていたら……っ!
 ハラハラしている私を他所に、クロード様は焦った様子で振り向く。

「エステル、大丈夫か!?」
「私は無傷ですわ。そ、それよりもクロード様の方が大丈夫なのですか!? お怪我は?」
「こんな攻撃などカスも同然だ。それより、エステルが無事でよかった」
「ひゃっ」

 ク、クロード様、恥ずかしいからみんなの前で抱き締めないで~!
 ああ、でもクロード様が無事で本当に良かった。

「クロード、気持ちはわかるがいちゃつくのは後でやってくれ。さて、スターク卿。……いや、今は卿とも呼べぬ存在か。貴様はこともあろうに丸腰のエステル嬢に攻撃を仕掛けたな。上流の者に手を掛けようとした罪は重い。マーガレット嬢の時はエステル嬢の意向もあり通達書の内容で留めたが、今回はそうもいかぬ。貴様については追って処罰を決定するから首を洗って覚悟しておけ。警邏隊、この罪人を連れて行け」

 お父様は何かを喚きちらしながら抵抗しているが屈強な警邏隊にあっさりと捕獲され無様に引き摺られて行く。
 残ったお母様とマーガレットも警邏隊に連行されて行った。

 ああ、ついに終わったのか……。

 これでもう、命を狙われることもなく、悪縁を断ち切れると思うと、ふっと心が軽くなる。
 そして、緊張の糸が途切れたのかどっと疲れが押し寄せて来た。

「エステル、大丈夫か。目の前で家族が処罰を受ける姿を見るのは辛かっただろう」
「クロード様。私は大丈夫ですわ」
「無理をするな、顔色が悪いぞ」
「きゃ!?」

 ひゃああ! お姫様抱っこ!?
 慌てる私を他所に、王太子殿下も私の顔色を心配してくれたようで、気遣うように私とクロード様に向けて話し掛ける。

「あの者達のやらかした事を思えば当然の罪状だが、確かにエステル嬢には酷だったかも知れないな。さて、僕のやることは終わったしこれで失礼するよ。クロード、エステル嬢のフォローは任せたぞ」
「承知しました、殿下」

 お姫様抱っこをされたまま王太子殿下を見送ると、クロード様は心配そうな表情で私を見つめる。
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