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 その後、披露宴は何事もなく、無事に終わりを迎えることが出来た。
 ふぅ、やれやれ。色々な人とたくさん喋ったから流石に疲れたな。
 でも、たくさんの人達から祝福されて、とても素敵な時間だったわ。

 ……さて、今日はまだ、やらなければならないことがある。

 そう、いよいよ現世の悪縁を切り離す「断罪の時間」の始まりだ。

 クロード様、王太子殿下、私の三人で披露宴会場の上の階にある角部屋までやってきた。

 クロード様が魔法で鍵を開けると、見覚えのある顔ぶれがこちらに注目する。
 その中には……はぁ、マーガレットまでいるのね。
 あの時のクロード様の忠告は耳に入っていなかったのかしら。

 内心呆れつつも家族の様子に目をやると、クロード様を見た家族、とくにマーガレットはひどく怯えた様子で部屋の隅に固まってしまった。

「ひいいいい! な、なんと恐ろしい!」

 披露宴に来たんだからクロード様がいるのだって分かるでしょうに、のこのこやって来た挙句にクロード様の登場に怯えるなんて……この人達は一体何をしにきたのだろうか。
 あまりに頭の悪い家族の行動にめまいがするわ。

 そんなことを思っていると私の姿を見た家族が早速金切り声で騒ぎ出した。

「エステル! 家族と縁を切るですって!? どういうことか説明しなさい!」
「能無しの分際で偉そうに! 早くランブルグ卿の誤解を解いて、援助を継続するよう伝えろ!!」
「全てお姉様が悪いのですわ! 散々お茶会を台無しにしておいてそんな仕打ちまで!」

 ああ、マーガレット。貴女全く反省していないわね。
 それどころかマーガレットを擁護し、自分たちの非を認めようとしない両親。

 ……ここまで来ると、逆に清々しいとさえ思えるわ。

「想像以上に酷い家族だな」

 隣にいた殿下は呆れた様子だ。
 そうだよね、誰がどうみてもこの家族はおかしいと思う。

「殿下、ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
「いや、気にしないでくれ。それより、こんな環境で育てられてエステル嬢もさぞかし苦労したことだろう」

 家族の発言を無視して王太子殿下に謝罪をしていると、私の発言を聞いていた両親が反応を示す。
 
「隣にいるのは王太子殿下!? これはこれは、お目に掛かれて光栄でございます」
「まぁそうなのね! 殿下、この度は能無しの娘が大変な粗相をしております。前回の騒動は娘達の些細な喧嘩のようですから、どうか絶縁宣言を撤回していただけませんでしょうか」

 手のひらを返したような猫撫で声で王太子殿下に訴える両親。
 そんな取り繕った言葉を今更言ったところで、意味はないのだけど。

「エステル嬢、御家族に向けて発言してもいいか?」
「はい。スターク家とは絶縁済みですし、私に遠慮いただかなくて結構ですわ」

 王太子殿下はこくりと頷くと家族に向けて話し掛けた。
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