寝取られ予定のお飾り妻に転生しましたが、なぜか溺愛されています

あさひな

文字の大きさ
上 下
27 / 62

26

しおりを挟む
「きっと、当主様は奥様の魅力や実力を見抜いてご結婚を決断されたのかも知れませんね。私としたことが、お恥ずかしい限りです」

 いやいや、セバスさん買い被り過ぎだよ。
 前世の知識がなければすぐに理解なんてできなかったし、ある意味チートスキルだ。

「私は奥様を誤解しておりました。今までの無礼をどうかお許しください」

 セバスさんは深く頭を下げて謝罪した。
 えええ、そんなことで謝らなくていいのに。 

「セ、セバスさん、どうか顔を上げてください」
「奥様」
「私はセバスさんに失礼なことをされた事なんて一度もありませんし、謝る必要もありませんわ。ですから、これまで通りに接していただけると嬉しいのですが」
「ああ、奥様はなんて懐が広いのか……。ありがとうございます」

 とりあえす、セバスさんの誤解? も解けたようで良かったわ。
 働く環境の人間関係は良好なことに限るしね、うんうん。

 そんな事を思っていると、私の目の前にいきなり手紙が現れた。
 
 うわわわ、びっくりした!

「これは、当主様からの早伝ですね」

 実はクロード様から一度だけ届いた手紙も何の前触れもなくいきなり目前に現れた。
 魔法を掛けている手紙ってのはどれもこの仕様なのだろうか、心臓に悪いわ。
 って、今はそれどころじゃなかった。クロード様が無事なのかどうかも気になるし、早く内容が知りたい。

「開けて見てみましょう」

 ふわふわ浮いている手紙を手に取り、近くにあったペーパーナイフで手紙を開封する。
 手紙の内容はとっても簡素なもので「討伐が完了したから帰還する」との内容だった。
 ああ、良かった。きっとクロード様は無事なのね!

「良かった! クロード様が帰ってくるって!」
「奥様、いつ帰還されるか記載はございますか」
「えっと……討伐が終わったから魔法を使って帰る、としか書いてないですね」

 本当は「可愛いエステルの顔が早く見たいから、一分一秒も惜しいので魔法を使って帰る」と書いてあるけど、恥ずかしいので省略した。
 でも、セバスさんは私の返答に首を傾げている。あれ、なんかおかしな点でもあったのかしら。

「おかしいですね、いつもでしたら帰還される日も記載されるのに」
「そうなんですか?」
「ええ、こちらも帰還に合わせて仕事や屋敷内を整えたりしますし、当主様はそのあたりきっちり報告をしていただける方なのですが」

 そんな会話をしていると、執務室の扉がコンコンと音が聞こえた。

「あ、はい!」
「奥様、セバス様、大変です。討伐隊が門前にお見えです」

 えええええ!? たった今手紙が来て帰還を知ったばかりなんですけど!?
しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

義妹が私に毒を盛ったので、飲んだふりをして周りの反応を見て見る事にしました

新野乃花(大舟)
恋愛
義姉であるラナーと義妹であるレベッカは、ラナーの婚約者であるロッドを隔ててぎくしゃくとした関係にあった。というのも、義妹であるレベッカが一方的にラナーの事を敵対視し、関係を悪化させていたのだ。ある日、ラナーの事が気に入らないレベッカは、ラナーに渡すワインの中にちょっとした仕掛けを施した…。その結果、2人を巻き込む関係は思わぬ方向に進んでいくこととなるのだった…。

転生したので猫被ってたら気がつけば逆ハーレムを築いてました

市森 唯
恋愛
前世では極々平凡ながらも良くも悪くもそれなりな人生を送っていた私。 ……しかしある日突然キラキラとしたファンタジー要素満載の異世界へ転生してしまう。 それも平凡とは程遠い美少女に!!しかも貴族?!私中身は超絶平凡な一般人ですけど?! 上手くやっていけるわけ……あれ?意外と上手く猫被れてる? このままやっていけるんじゃ……へ?婚約者?社交界?いや、やっぱり無理です!! ※小説家になろう様でも投稿しています

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。

辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。

木山楽斗
恋愛
「君とは一年後に離婚するつもりだ」 結婚して早々、私は夫であるマグナスからそんなことを告げられた。 彼曰く、これは親に言われて仕方なくした結婚であり、義理を果たした後は自由な独り身に戻りたいらしい。 身勝手な要求ではあったが、その気持ちが理解できない訳ではなかった。私もまた、親に言われて結婚したからだ。 こうして私は、一年間の期限付きで夫婦生活を送ることになった。 マグナスは紳士的な人物であり、最初に言ってきた要求以外は良き夫であった。故に私は、それなりに楽しい生活を送ることができた。 「もう少し様子を見たいと思っている。流石に一年では両親も納得しそうにない」 一年が経った後、マグナスはそんなことを言ってきた。 それに関しては、私も納得した。彼の言う通り、流石に離婚までが早すぎると思ったからだ。 それから一年後も、マグナスは離婚の話をしなかった。まだ様子を見たいということなのだろう。 夫がいつ離婚を切り出してくるのか、そんなことを思いながら私は日々を過ごしている。今の所、その気配はまったくないのだが。

処理中です...