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 んん、朝……?

 目を覚ますと外は薄らと光が差し始めている。まだ、明け方のようだ。
 どうやら、少し早く起きてしまったみたいね。

 前世の時はまだ暗い時間帯から朝食作りや家事をしていたし、光が差し始める時間帯まで眠れるなんて贅沢なのかしら。

 うーん、二度寝しようにも目が覚めてしまったしなぁ。

 あ、そうだ! お屋敷内の散策をしてみようかな。

 近くにあった水桶で軽く顔を洗いつつ寝癖の付いた髪を軽く手櫛で整える。
 朝は肌寒いので椅子に掛けてあったショールを羽織り扉を開けてみる。

 うむ、廊下には誰もいないわね。

 そのままススッと扉を閉めると、長い
廊下を歩き出す。
 この時間帯からすでに働く使用人がいるようで、下から小さい物音が聞こえる。

 明け方から大変ね。挨拶でもしてこようかしら。

 階段を降りると、玄関口で履き掃除をしているメイドが見えた。

「おはようございます、朝から大変ですね」
「お、奥様!? おはようございます!」
「ああ、頭は下げないで下さい。この屋敷では私は新参者ですし、皆様と仲良くしていきたいと思っているので。それより、朝からお掃除ですか?」
「は、はい。この時期落ち葉が増えて来るので、綺麗にしようと思いまして」

 この国では日本と同じく四季があり、時期的に言うと今は秋に該当する。

「そうだったんですね。では私もお手伝いしますわ」
「ええ!? そ、そんな滅相もない」
「目がさめちゃったから軽く体を動かしたいんです。どうかわがままを聞いていただけると嬉しいのですが」

 メイド達は迷った様子だったが、お願いを断るのも失礼だと判断したようで私にちりとりを持ってきてくれた。

「あ、箒もいただいてよろしいでしょうか」
「あ、失礼致しました」
「では、奥様は玄関周りの落ち葉を集めて貰ってもいいでしょうか? 私達は屋敷に続く道の落ち葉を集めてきます」
「箒をありがとうございます。はい、わかりました」

 シャッシャッと箒を動かしていると、外が段々明るくなって来た。

 うーん、朝からお掃除をするのは気分が良いわね。

 そんな事を思いつつ黙々と手を動かし、メイド達の物と合わせると一山分の落ち葉が集まった。

「いっぱい集まりましたね」
「奥様、ありがとうございます」
「私のわがままに付き合っていただいたのですから、お礼なんて結構ですわ」

 この落ち葉の山を見ていると、前世の子供の時学校でやった焼き芋体験を思い出すわ。
 あ、そうだ。ここでも焼き芋やってみんなで食べたら美味しそうだわ。

「あの、この落ち葉はこの後どうする予定ですか? もし捨てるだけでしたら、活用してもいいでしょうか」
「は、はい。大丈夫です」

 よしよし、許可を貰ったぞ。
 次は芋と焚き火の場所だけど……。
 あ、今日はドンさんの菜園にお邪魔する予定だし、焚き火の許可と併せて芋を育てていたら少し分けて貰ってもいいかも。

「ありがとうございます。この後の落ち葉は私が責任を持って処分するのでこのまま置いといて下さい」
「は、はぁ」
「後で皆様をお呼びすると思うので、その時にまたお付き合いいただけると嬉しいです」

 メイド達は検討が付かない、と言った様子で首を傾げているが私が「仕事があるようでしたら持ち場に戻っていただいて大丈夫です」と言ったため、お辞儀をして各々の持ち場に戻っていった。
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