22 / 23
第三章
新たな攻略対象者!?
しおりを挟む
アレクシ様は空いているソファに座るとクリス殿下が口を開いた。
「アレクシじゃないか、いつ戻って来たんだ?」
「クリス殿下、ご無沙汰しております。いやぁ、実は入学試験のために半月前に一日だけ帰って来たんスけど、本格的に戻って来たのは昨日なんですよ~」
「お前も役員に選ばれたのか。兄弟揃って首席に生徒会役員とは、流石は宰相一家だな」
「俺っちは首席も生徒会もクソだりぃし嫌だったんスけど、あんまり逆らって父さん怒らせると面倒なんで仕方なくって感じです」
「ははっ! 相変わらずだな、お前は」
どうやらクリス殿下はアレクシ様と面識がある様で砕けた様子で会話をしている。
「その様子じゃ留学先でも悠々自適な生活を満喫していたのだろう?」
「ははっ、まぁ否定はしませんよ」
その様子にマクシム様は再びため息を吐いた。
「セリーヌ嬢、アレクは不躾なところがありまして……。それに、初顔合わせがこんな形になってしまい申し訳ありません」
「マクシム様、気にしないで下さい! それに、アレクシ様は気さくな方ですし、緊張せずに会話が出来ます」
「そう言ってくれると助かります。しかし、顔合わせは改めて場を設けます」
マクシム様は終始申し訳なさそうにしているけど、私としては堅苦しい場よりこうやって日常の一コマの中で挨拶をする方が気楽で良い。そっちの方が相手の人となりが分かるしね。
そんな事を考えていると、再びコンコンッと扉をノックする音が聞こえガラガラと扉を開ける音がした。
「失礼します。おや、全員揃っていますね」
壇上の時とは違い、先生は少し改まった様子で中に入ってきた。
「えー皆様。本来なら教師は生徒会室には入らない事が学園の決まりですが、今日は初日なので生徒会について簡単に私の口から説明します」
へぇ、そんな決まりがあるんだ。
確かに生徒会は学園において生徒達を先導するリーダー的存在であり、一定の指導権があると聞いた事がある。
そのため、成績優秀に加えてカリスマ性のある者や品行方正である者が選ばれやすいそうだ。
教師は生徒会の歴史や役割などを端的に説明し、最後にアレクシ様の事について触れた。
「生徒会役員は上級生の中から選抜されるのが当学園の伝統ですが、今年は怪我で役員を辞退した者が出てしまい、急遽アレクシ君にお願いをしました」
「ああ、アイツか」
オリバー様はどうやらその人物の事を知っている様で、ふんふんと相槌を打っている。
騎士団所属の方なのだろうか。
先生は生徒会についての権限や今年度の役割分担等を掻い摘んで説明した。
「ーーでは、私の方からの説明は以上です。生徒会室の鍵はマクシム君に委ねるので、後は君達の自由に使って下さい」
教師は私達に向かって一礼すると生徒会室を後にした。
どうやら初回は顔合わせ以外にする事がないらしく、今日はお茶やお菓子を飲み食いしたら帰る流れになった。
目の前のお菓子をモグモグ食べていると、誰かに肩をトントンッと勢い良く叩かれた。
「セリーヌ様! 少しお時間をいただけます!?」
「アリス様? ええ、いいですよ」
アリスちゃんはいつになく目をランランと輝かせながら少々興奮した様子で私に話しかけて来た。
何か嬉しい事でもあったのかしら?
「ありがとうございます。では皆様、セリーヌ様を暫くお借り致しますわね、おほほ」
おおお!? ちょ、ちょっと!?
アリスちゃんは待ち切れない様子でグイグイと腕を引っ張りながら足速に私を生徒会室から連れ出した。
「アレクシじゃないか、いつ戻って来たんだ?」
「クリス殿下、ご無沙汰しております。いやぁ、実は入学試験のために半月前に一日だけ帰って来たんスけど、本格的に戻って来たのは昨日なんですよ~」
「お前も役員に選ばれたのか。兄弟揃って首席に生徒会役員とは、流石は宰相一家だな」
「俺っちは首席も生徒会もクソだりぃし嫌だったんスけど、あんまり逆らって父さん怒らせると面倒なんで仕方なくって感じです」
「ははっ! 相変わらずだな、お前は」
どうやらクリス殿下はアレクシ様と面識がある様で砕けた様子で会話をしている。
「その様子じゃ留学先でも悠々自適な生活を満喫していたのだろう?」
「ははっ、まぁ否定はしませんよ」
その様子にマクシム様は再びため息を吐いた。
「セリーヌ嬢、アレクは不躾なところがありまして……。それに、初顔合わせがこんな形になってしまい申し訳ありません」
「マクシム様、気にしないで下さい! それに、アレクシ様は気さくな方ですし、緊張せずに会話が出来ます」
「そう言ってくれると助かります。しかし、顔合わせは改めて場を設けます」
マクシム様は終始申し訳なさそうにしているけど、私としては堅苦しい場よりこうやって日常の一コマの中で挨拶をする方が気楽で良い。そっちの方が相手の人となりが分かるしね。
そんな事を考えていると、再びコンコンッと扉をノックする音が聞こえガラガラと扉を開ける音がした。
「失礼します。おや、全員揃っていますね」
壇上の時とは違い、先生は少し改まった様子で中に入ってきた。
「えー皆様。本来なら教師は生徒会室には入らない事が学園の決まりですが、今日は初日なので生徒会について簡単に私の口から説明します」
へぇ、そんな決まりがあるんだ。
確かに生徒会は学園において生徒達を先導するリーダー的存在であり、一定の指導権があると聞いた事がある。
そのため、成績優秀に加えてカリスマ性のある者や品行方正である者が選ばれやすいそうだ。
教師は生徒会の歴史や役割などを端的に説明し、最後にアレクシ様の事について触れた。
「生徒会役員は上級生の中から選抜されるのが当学園の伝統ですが、今年は怪我で役員を辞退した者が出てしまい、急遽アレクシ君にお願いをしました」
「ああ、アイツか」
オリバー様はどうやらその人物の事を知っている様で、ふんふんと相槌を打っている。
騎士団所属の方なのだろうか。
先生は生徒会についての権限や今年度の役割分担等を掻い摘んで説明した。
「ーーでは、私の方からの説明は以上です。生徒会室の鍵はマクシム君に委ねるので、後は君達の自由に使って下さい」
教師は私達に向かって一礼すると生徒会室を後にした。
どうやら初回は顔合わせ以外にする事がないらしく、今日はお茶やお菓子を飲み食いしたら帰る流れになった。
目の前のお菓子をモグモグ食べていると、誰かに肩をトントンッと勢い良く叩かれた。
「セリーヌ様! 少しお時間をいただけます!?」
「アリス様? ええ、いいですよ」
アリスちゃんはいつになく目をランランと輝かせながら少々興奮した様子で私に話しかけて来た。
何か嬉しい事でもあったのかしら?
「ありがとうございます。では皆様、セリーヌ様を暫くお借り致しますわね、おほほ」
おおお!? ちょ、ちょっと!?
アリスちゃんは待ち切れない様子でグイグイと腕を引っ張りながら足速に私を生徒会室から連れ出した。
11
お気に入りに追加
2,713
あなたにおすすめの小説
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
子ども扱いしないでください! 幼女化しちゃった完璧淑女は、騎士団長に甘やかされる
佐崎咲
恋愛
旧題:完璧すぎる君は一人でも生きていけると婚約破棄されたけど、騎士団長が即日プロポーズに来た上に甘やかしてきます
「君は完璧だ。一人でも生きていける。でも、彼女には私が必要なんだ」
なんだか聞いたことのある台詞だけれど、まさか現実で、しかも貴族社会に生きる人間からそれを聞くことになるとは思ってもいなかった。
彼の言う通り、私ロゼ=リンゼンハイムは『完璧な淑女』などと称されているけれど、それは努力のたまものであって、本質ではない。
私は幼い時に我儘な姉に追い出され、開き直って自然溢れる領地でそれはもうのびのびと、野を駆け山を駆け回っていたのだから。
それが、今度は跡継ぎ教育に嫌気がさした姉が自称病弱設定を作り出し、代わりに私がこの家を継ぐことになったから、王都に移って血反吐を吐くような努力を重ねたのだ。
そして今度は腐れ縁ともいうべき幼馴染みの友人に婚約者を横取りされたわけだけれど、それはまあ別にどうぞ差し上げますよというところなのだが。
ただ。
婚約破棄を告げられたばかりの私をその日訪ねた人が、もう一人いた。
切れ長の紺色の瞳に、長い金髪を一つに束ね、男女問わず目をひく美しい彼は、『微笑みの貴公子』と呼ばれる第二騎士団長のユアン=クラディス様。
彼はいつもとは違う、改まった口調で言った。
「どうか、私と結婚してください」
「お返事は急ぎません。先程リンゼンハイム伯爵には手紙を出させていただきました。許可が得られましたらまた改めさせていただきますが、まずはロゼ嬢に私の気持ちを知っておいていただきたかったのです」
私の戸惑いたるや、婚約破棄を告げられた時の比ではなかった。
彼のことはよく知っている。
彼もまた、私のことをよく知っている。
でも彼は『それ』が私だとは知らない。
まったくの別人に見えているはずなのだから。
なのに、何故私にプロポーズを?
しかもやたらと甘やかそうとしてくるんですけど。
どういうこと?
============
「番外編 相変わらずな日常」
いつも攻め込まれてばかりのロゼが居眠り中のユアンを見つけ、この機会に……という話です。
※転載・複写はお断りいたします。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。