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一八章
地下世界へと
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「くそっ! いったい、何がどうなってんだ!」
ジャックは警察署の捜査室で苛々と叫びました。床には当たり一面に引きちぎった書類やら何やらが散乱しておりました。
クリス嬢をドクロの顔の怪人にさらわれた。
しかも、自分がまさにいたその場において。
それだけでもジャックにとっては我慢のならない屈辱であり、大いなる失態というもの。しかも、オペラ座ノワールの細工長たるエイリーク翁が失踪。さらに、死刑権解放同盟に助けを求めに行ったはずのテオドラ嬢までそのまま行方不明になったと言うのです。ジャックが苛立つのも無理はないところでありました。
「おい、ビリー。テオドラ先生はまちがいなく『死刑権解放同盟に助けを求める』と言ったんだな?」
「ああ。一字一句その通りとまでは言わないが、それと同様の意味のことを言って出て行ったのは確かだ」
「ところが、死刑権解放同盟に連絡しても『来ていない、知らない』の一点張りだ」
「おかしなことではないだろう。死刑権解放同盟にとって警察とは市民の自由と権利を奪う国家権力の象徴だ。その警察からの問い合わせにまともに答えるはずがない。来ていない、知らないと答える一方でテオドラ嬢をかくまっている、と言うことは充分にあり得る」
「そりゃあそうだが……じゃあ、実際、かくまっているとしてだ。いったい、何からかくまっている?」
「あのドクロ顔の怪人だろう」
「あの怪人がロボットだってのは確かなのか?」
「それは、まちがない。機械のプロ、生粋の機械オタクとして断言する。あれはロボットだ。いかに、自然で、なめらかな、生物的な動きを実現していようとも、わたしの目はごませかん。あれはまちがいなくロボットだ」
「そして、そんなロボットを作れるのはエイリークじいさんだけ……」
「わたしの知る限りではな」
と、ビリーは慎重に言葉を継ぎました。
「もちろん、この霧と怪奇の都は世界中の科学者の集う場所。他にも同レベルのロボットを作れる人間がいないと断言は出来ない。しかし、その可能性は低いな。わたしはこの都市に住むすべての科学者のことを把握しているし、そもそも、科学者であればロボットの性能にはこだわっても、あそこまでなめらかな動きにこだわるはずがない。実用目的ならロボットにわざわざ生物的な動きを行わせる必要はないからな。あそこまでの動きを追求するのは『動きを魅せる』ことにこだわる演出家以外には考えられん。そして、そんなことができる演出家と言えば……」
「エイリークじいさんただひとり、か」
「多分な」
「しかし、そうすると、クリス嬢をさらったのはエイリークじいさんと言うことになるよな?」
「そうだな。……残念ながら」
ビリーはうつむきました。メガネの奥の大きな目が悲しみに沈んでいます。ビリーはエイリーク翁とは同好の士として熱く語り合った仲。そのエイリーク翁がこんな事件を引き起こしたとなると、とても悲しいのでした。
「それに、テオドラ嬢はあのとき『……あいつ』と口走っていた。現状では『あいつ』とはロボットの操り人、すなわち、エイリーク翁以外には考えられまい」
「しかし、だったら何でエイリークじいさんがクリス嬢をさらうんだ? 何の目的がある?」
「それを調べるのが君の仕事だろう」
言われてジャックは思い切り顔をしかめました。
手痛い一言でジャックを黙らせておいて、ビリーは半ば独り言のようにつづけました。
「……だが、もしかしたら、わたしはとんだ勘違いをしていたかも知れない」
「勘違い?」
「そうだ。覚えているだろう? エイリーク翁はクリス嬢に関して『クリスチーヌと同じだ』と証言していた」
「ああ。そうだったな」
「わたしはその言葉をクリス嬢がクリスチーヌと同じ血統という意味かとエイリーク翁に問うた」
「ああ、そうだったな」
「しかし、それが間違っていたら?」
「どういうことだ?」
「つまり……その言葉通り、クリス嬢はクリスチーヌ本人だとしたらどうかと言っているのだ」
「何だと⁉」
ジャックは思い切り声を張りあげました。あまりにも大きな声に部屋中の空気が雷に打たれように震えます。そのがさつな振る舞いにビリーは顔をしかめたのでした。
「そんなことがあり得るのか⁉ クリスチーヌとやらが生きていたとしてももう八〇代。クリス嬢はどう見ても一〇代だぞ」
「忘れるな。クリスチーヌは一〇代で失踪した。もし、そのときからずっと人工冬眠していたならその頃のままだ」
「人工冬眠。そうか。その手があったか。しかし、何だってそんなことを?」
「そこまでは分からん。しかし、エイリーク翁がクリス嬢をさらった以上、テオドラ嬢がクリスチーヌを守るために隠した、と言う可能性は考えられるだろう」
「クリスチーヌを守るため……あの三人に何があったってんだ?」
「そんなことが分かるはずはない。だが、あの三人には七〇年以上前からの因縁がある。何があってもおかしくはない」
「なるほど……」
言われてジャックはしばらくの間、考え込んでおりました。ですが――。
「ああ、もう! ゴチャゴチャ考え込んでるのは性に合わねえ! ビリー、とにかくいまは行動するぞ!」
結局は考えるより先に行動するのが暴れん坊ジャックなのでした。
「それはかまわないが、まずは何をどうするのだ?」
「決まってる。クリス嬢を見つけ出して保護する。それが警察の仕事なんだからな」
ジャックは迷いなくそう言い切りました。
「劇場の地下の図面は手に入れてきたんだろう?」
「ああ。これだ」と、ビリーは何枚かの図面をジャックに手渡しました。
その図面を一目見るなり、ジャックは思い切り顔をしかめました。その図面はどれをとっても一面が真っ黒になるほど細かく隠し通路や仕掛けが書き込まれており、素人が見て理解できるような代物ではありませんでした。実際、劇場地下の図面だと知らずに見れば三歳児のイタズラ書きだとしか思えなかったことでしょう。
ジャックは見ているうちに頭が痛くなってきました。
「……ああ、目の奥が針で刺されたみてえだ。何だって、こんなわけのわからん通路やら何やらが広がっているんだ?」
「舞台上で効果的な演出をするための通路、大道具の搬出口、それらを観客に気付かれないまま効果的に出現させるための数々の仕掛け。劇場にはとにかく仕掛けが必要だそうだ」
「だからって、何もここまで……」
「支配人が言うにはこの五〇年ほどで出し物が複雑になり、それに応じて地下の仕掛けもどんどん複雑になって行ったそうだ。その仕掛けはほとんどエイリーク翁が監督して作りあげたとのことだ。なかにはエイリーク翁しか知らない通路や仕掛けもあるらしい」
「……つまり、あのじいさんこそが劇場の地下世界の主、ってわけか」
「そう言うことだな。支配人も言っていた。『私が劇場の地上の支配人なら、エイリークは劇場の地下世界の支配人。もし、かの人がクリスを連れて地下世界に逃れたなら誰もかの人を追うことはできないでしょう』とな」
「誰も追うことはできないでしょう、か」
ジャックはペッと、唾を吐き捨てました。建物の床に唾が吐き捨てられるのを見てビリーはまたも顔をしかめます。ジャックはかまわずに言いました。
「そこを追うのが警察ってもんだ。この件は死刑権解放同盟のやつらには渡さねえ。警察の手でケリを付ける」
そうしてジャックは図面を睨み付けました。眉間には皺が寄り、額には脂汗がダラダラ流れます。こんなにも熱心に図面を目で追ったのは学生時代、数学を眉間の皺で克服して以来のことでありました。
「……あったぞ、ビリー」
たっぷり一時間も図面を睨みつづけたあと、ジャックはようやく言いました。
「ここだ。この地点がおれがあのドクロ顔の怪人を見失った場所だ。そして、そこにはたしかに地下の隠し通路に入る扉がある」
ジャックはその扉を指で指し示しました。通路は先に行くに従い何本にも枝分かれし、さらに地下深くへと延びていく道までありました。それはさながら立体迷宮のよう。とてもではありませんが、目で追えるような代物ではありませんでした。
「しかし、君はその扉を見つけることが出来なかったのだろう?」
「ああ。隅から隅まで探したつもりだったがな。おかしなところは何もなかった」
「そうか。君でさえ気付けないほど精緻な仕掛けを施すとはさすがエイリーク翁だ。あの技術力と妥協を許さぬ職人魂はまったくもって尊敬するな」
「呑気なことを言ってる場合か。とにかく、行くぞ。クリス嬢が劇場の地下に連れ去られたというなら、おれたちもそこに行って見つけ出すまでだ」
「見つけ出す? この広大な地下世界でか?」
「そうだ」
「どこにいるかもわからないのに?」
「そうだ」
「どうやって?」
「すべてを探して、だ」
「すべでを探す? それこそ、どうやるつもりだ?」
「歩くんだよ」
その言葉に――。
ビリーは心の底からの溜め息をついたのでした。
「さっさと行くぞ、ビリー。死刑権解放同盟のやつらに後れを取るわけにはいかねえ」
ジャックが言い切ったそのときでした。ビリーの携帯端末がけたたましいアラーム音を鳴り響かせました。
「間がいいな。死刑権解放同盟からも実戦部隊が出動したぞ。目的は同じく劇場の地下世界だ」
「何だと⁉ こうしちゃいられねえ。一刻も早く……って、ちょっとまて。ビリー、何でお前にそんなことがわかる?」
「トマス・テイラーのことは覚えているだろう」
「……ああ、トミーのやつか。お前にぞっこんのゲームオタク」
「そうだ。わたしの何がいいのか皆目、検討がつかんのだがな」
自分でそう言ってからビリーは説明しました。
「そのトミーに死刑権解放同盟のコンピューターに侵入してもらった。かの人はハッキングの腕にかけては世界一流だからな。そして、情報をすべてこちらでも読み出せるようにした」
「……警察がハッキングかよ。完全な違法行為じゃねえか」
「いやならやめるが?」
「目をつぶる。おれは何も知らないし、聞いちゃいない。と言うわけで行くぞ、劇場の地下世界へ!」
ジャックは警察署の捜査室で苛々と叫びました。床には当たり一面に引きちぎった書類やら何やらが散乱しておりました。
クリス嬢をドクロの顔の怪人にさらわれた。
しかも、自分がまさにいたその場において。
それだけでもジャックにとっては我慢のならない屈辱であり、大いなる失態というもの。しかも、オペラ座ノワールの細工長たるエイリーク翁が失踪。さらに、死刑権解放同盟に助けを求めに行ったはずのテオドラ嬢までそのまま行方不明になったと言うのです。ジャックが苛立つのも無理はないところでありました。
「おい、ビリー。テオドラ先生はまちがいなく『死刑権解放同盟に助けを求める』と言ったんだな?」
「ああ。一字一句その通りとまでは言わないが、それと同様の意味のことを言って出て行ったのは確かだ」
「ところが、死刑権解放同盟に連絡しても『来ていない、知らない』の一点張りだ」
「おかしなことではないだろう。死刑権解放同盟にとって警察とは市民の自由と権利を奪う国家権力の象徴だ。その警察からの問い合わせにまともに答えるはずがない。来ていない、知らないと答える一方でテオドラ嬢をかくまっている、と言うことは充分にあり得る」
「そりゃあそうだが……じゃあ、実際、かくまっているとしてだ。いったい、何からかくまっている?」
「あのドクロ顔の怪人だろう」
「あの怪人がロボットだってのは確かなのか?」
「それは、まちがない。機械のプロ、生粋の機械オタクとして断言する。あれはロボットだ。いかに、自然で、なめらかな、生物的な動きを実現していようとも、わたしの目はごませかん。あれはまちがいなくロボットだ」
「そして、そんなロボットを作れるのはエイリークじいさんだけ……」
「わたしの知る限りではな」
と、ビリーは慎重に言葉を継ぎました。
「もちろん、この霧と怪奇の都は世界中の科学者の集う場所。他にも同レベルのロボットを作れる人間がいないと断言は出来ない。しかし、その可能性は低いな。わたしはこの都市に住むすべての科学者のことを把握しているし、そもそも、科学者であればロボットの性能にはこだわっても、あそこまでなめらかな動きにこだわるはずがない。実用目的ならロボットにわざわざ生物的な動きを行わせる必要はないからな。あそこまでの動きを追求するのは『動きを魅せる』ことにこだわる演出家以外には考えられん。そして、そんなことができる演出家と言えば……」
「エイリークじいさんただひとり、か」
「多分な」
「しかし、そうすると、クリス嬢をさらったのはエイリークじいさんと言うことになるよな?」
「そうだな。……残念ながら」
ビリーはうつむきました。メガネの奥の大きな目が悲しみに沈んでいます。ビリーはエイリーク翁とは同好の士として熱く語り合った仲。そのエイリーク翁がこんな事件を引き起こしたとなると、とても悲しいのでした。
「それに、テオドラ嬢はあのとき『……あいつ』と口走っていた。現状では『あいつ』とはロボットの操り人、すなわち、エイリーク翁以外には考えられまい」
「しかし、だったら何でエイリークじいさんがクリス嬢をさらうんだ? 何の目的がある?」
「それを調べるのが君の仕事だろう」
言われてジャックは思い切り顔をしかめました。
手痛い一言でジャックを黙らせておいて、ビリーは半ば独り言のようにつづけました。
「……だが、もしかしたら、わたしはとんだ勘違いをしていたかも知れない」
「勘違い?」
「そうだ。覚えているだろう? エイリーク翁はクリス嬢に関して『クリスチーヌと同じだ』と証言していた」
「ああ。そうだったな」
「わたしはその言葉をクリス嬢がクリスチーヌと同じ血統という意味かとエイリーク翁に問うた」
「ああ、そうだったな」
「しかし、それが間違っていたら?」
「どういうことだ?」
「つまり……その言葉通り、クリス嬢はクリスチーヌ本人だとしたらどうかと言っているのだ」
「何だと⁉」
ジャックは思い切り声を張りあげました。あまりにも大きな声に部屋中の空気が雷に打たれように震えます。そのがさつな振る舞いにビリーは顔をしかめたのでした。
「そんなことがあり得るのか⁉ クリスチーヌとやらが生きていたとしてももう八〇代。クリス嬢はどう見ても一〇代だぞ」
「忘れるな。クリスチーヌは一〇代で失踪した。もし、そのときからずっと人工冬眠していたならその頃のままだ」
「人工冬眠。そうか。その手があったか。しかし、何だってそんなことを?」
「そこまでは分からん。しかし、エイリーク翁がクリス嬢をさらった以上、テオドラ嬢がクリスチーヌを守るために隠した、と言う可能性は考えられるだろう」
「クリスチーヌを守るため……あの三人に何があったってんだ?」
「そんなことが分かるはずはない。だが、あの三人には七〇年以上前からの因縁がある。何があってもおかしくはない」
「なるほど……」
言われてジャックはしばらくの間、考え込んでおりました。ですが――。
「ああ、もう! ゴチャゴチャ考え込んでるのは性に合わねえ! ビリー、とにかくいまは行動するぞ!」
結局は考えるより先に行動するのが暴れん坊ジャックなのでした。
「それはかまわないが、まずは何をどうするのだ?」
「決まってる。クリス嬢を見つけ出して保護する。それが警察の仕事なんだからな」
ジャックは迷いなくそう言い切りました。
「劇場の地下の図面は手に入れてきたんだろう?」
「ああ。これだ」と、ビリーは何枚かの図面をジャックに手渡しました。
その図面を一目見るなり、ジャックは思い切り顔をしかめました。その図面はどれをとっても一面が真っ黒になるほど細かく隠し通路や仕掛けが書き込まれており、素人が見て理解できるような代物ではありませんでした。実際、劇場地下の図面だと知らずに見れば三歳児のイタズラ書きだとしか思えなかったことでしょう。
ジャックは見ているうちに頭が痛くなってきました。
「……ああ、目の奥が針で刺されたみてえだ。何だって、こんなわけのわからん通路やら何やらが広がっているんだ?」
「舞台上で効果的な演出をするための通路、大道具の搬出口、それらを観客に気付かれないまま効果的に出現させるための数々の仕掛け。劇場にはとにかく仕掛けが必要だそうだ」
「だからって、何もここまで……」
「支配人が言うにはこの五〇年ほどで出し物が複雑になり、それに応じて地下の仕掛けもどんどん複雑になって行ったそうだ。その仕掛けはほとんどエイリーク翁が監督して作りあげたとのことだ。なかにはエイリーク翁しか知らない通路や仕掛けもあるらしい」
「……つまり、あのじいさんこそが劇場の地下世界の主、ってわけか」
「そう言うことだな。支配人も言っていた。『私が劇場の地上の支配人なら、エイリークは劇場の地下世界の支配人。もし、かの人がクリスを連れて地下世界に逃れたなら誰もかの人を追うことはできないでしょう』とな」
「誰も追うことはできないでしょう、か」
ジャックはペッと、唾を吐き捨てました。建物の床に唾が吐き捨てられるのを見てビリーはまたも顔をしかめます。ジャックはかまわずに言いました。
「そこを追うのが警察ってもんだ。この件は死刑権解放同盟のやつらには渡さねえ。警察の手でケリを付ける」
そうしてジャックは図面を睨み付けました。眉間には皺が寄り、額には脂汗がダラダラ流れます。こんなにも熱心に図面を目で追ったのは学生時代、数学を眉間の皺で克服して以来のことでありました。
「……あったぞ、ビリー」
たっぷり一時間も図面を睨みつづけたあと、ジャックはようやく言いました。
「ここだ。この地点がおれがあのドクロ顔の怪人を見失った場所だ。そして、そこにはたしかに地下の隠し通路に入る扉がある」
ジャックはその扉を指で指し示しました。通路は先に行くに従い何本にも枝分かれし、さらに地下深くへと延びていく道までありました。それはさながら立体迷宮のよう。とてもではありませんが、目で追えるような代物ではありませんでした。
「しかし、君はその扉を見つけることが出来なかったのだろう?」
「ああ。隅から隅まで探したつもりだったがな。おかしなところは何もなかった」
「そうか。君でさえ気付けないほど精緻な仕掛けを施すとはさすがエイリーク翁だ。あの技術力と妥協を許さぬ職人魂はまったくもって尊敬するな」
「呑気なことを言ってる場合か。とにかく、行くぞ。クリス嬢が劇場の地下に連れ去られたというなら、おれたちもそこに行って見つけ出すまでだ」
「見つけ出す? この広大な地下世界でか?」
「そうだ」
「どこにいるかもわからないのに?」
「そうだ」
「どうやって?」
「すべてを探して、だ」
「すべでを探す? それこそ、どうやるつもりだ?」
「歩くんだよ」
その言葉に――。
ビリーは心の底からの溜め息をついたのでした。
「さっさと行くぞ、ビリー。死刑権解放同盟のやつらに後れを取るわけにはいかねえ」
ジャックが言い切ったそのときでした。ビリーの携帯端末がけたたましいアラーム音を鳴り響かせました。
「間がいいな。死刑権解放同盟からも実戦部隊が出動したぞ。目的は同じく劇場の地下世界だ」
「何だと⁉ こうしちゃいられねえ。一刻も早く……って、ちょっとまて。ビリー、何でお前にそんなことがわかる?」
「トマス・テイラーのことは覚えているだろう」
「……ああ、トミーのやつか。お前にぞっこんのゲームオタク」
「そうだ。わたしの何がいいのか皆目、検討がつかんのだがな」
自分でそう言ってからビリーは説明しました。
「そのトミーに死刑権解放同盟のコンピューターに侵入してもらった。かの人はハッキングの腕にかけては世界一流だからな。そして、情報をすべてこちらでも読み出せるようにした」
「……警察がハッキングかよ。完全な違法行為じゃねえか」
「いやならやめるが?」
「目をつぶる。おれは何も知らないし、聞いちゃいない。と言うわけで行くぞ、劇場の地下世界へ!」
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