我が家のベランダ菜園物語

藍条森也

文字の大きさ
上 下
75 / 75
その七三

誰か教えて。ポポーがつぼみをつけてるそのわけを

しおりを挟む
 気がついたら、ポポーの木がつぼみをつけていた。
 葉っぱはもう全部、黄色くなってどんどん落ちているというのに、つぼみをつけている。それも、いくつも。ポポーは葉っぱより先につぼみがつくからもしかして、これから新しい葉も伸ばすのか?
 なんか、ブドウの新芽もふくらんでいるように見えるし、ナスの実はしっかり育っているし、トマトも花をたくさんつけている。よく見るとすでに小さな実もついていた。
 なんなんだ、これは。
 暦を無視して、我が家のベランダ菜園の様子だけを見ていれば、もう完全な春である。いや、ナスやトマトが実をつけていることを考えれば、春を通りこしてすでに初夏か。一一月半ばにして初夏っていったい……。
 ただし、天気予報によると今後は一気に冷え込み、真冬の寒さになるとか。活動中に一気に冬の寒さにさらされて、ポポーやブドウが枯れないか心配である。
 以前にも書いたと思うが植物が冬の寒さを乗りきれるのは徐々に寒さに当たることで活動を停止させ、休眠状態になるため。活動中のままいきなり寒さに当たったら枯れてしまう。とくに、果樹類はデリケートなどで一晩、霜が降りただけで全滅してしまうこともあり得る。
 それなのに、この始末。
 果樹農家の方々も気が気でないだろう、多分。
 本当、さっさとなんとかしないと農業が成り立たなくなる。『脱炭素』なんて呑気をことを言っていないで、すぐに効果のある速効性の対策が必要なのだが。
 実のところ、温暖化を防ぐ『だけ』なら簡単なんである。赤道上に鏡を並べて、太陽の光を反射すればそれでいい。ただそれだけで、地球は確実に冷える。
 「そんなんで冷えるのか?」って?
 冷える。
 実例がある。
 全地球凍結。
 その昔、地球上の大陸が一塊になることで氷河が広まり、太陽光の反射量が多くなった。すると、気温がさがり、気温がさがったことでさらに氷河が増え、増えた氷河がさらに太陽光を反射し、さらに気温はさがり、さらに氷河が広がり……それを繰り返して、ついには地球全体が氷に包まれた。
 それが、全地球凍結。
 地球の歴史ではそんなことが何度かあったことがわかっている。
 つまり『太陽光を反射すれば地球は冷える』というのは、歴史が示す事実。
 赤道上に鏡を並べるなんてすぐにできるし、大した費用もかかるまい。おまけに、歴史上の実績のある確実な方法。
 まあ、これはこれで問題はある。
 太陽光の入射量がかわるのだから、それが引き金になって気候変動を引き起こすかも知れない。しかしだ。それって、いまさら気にすることか? どうせ、人類はとっくに地球の大半を人工物で固めているではないか。それらの人工物は自然よりも多くの光を吸収する。人工の部分が増えればふえるほど地球は暑くなる。近年の温暖化には温室効果ガスだけではなく、その効果も一役、買っているはずだ。
 つまり、我々はとっくに地球そのものを改造し、気候をかえているのである。なのにいまさら、太陽光を反射する程度のことを気にしても意味はあるまい。
 すぐにできて、問題が起きたらすぐに取っ払えるのだからやって損はあるまい。しかし、そういう簡単で、安上がりで、確実な効果が見込める方法ほど採用されないのが人の世の常。みんな、問題を解決するより『困った、困った、どうしよう』と、心配している方が好きなわけか……。
 
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

無転ファン
2024.08.11 無転ファン

1話:面白かった。天敵と戦って全滅したら元も子もないから、また新たに巣を作るために無駄に戦わず子供を見殺しにするって事かな?なるほどな〜。

藍条森也
2024.08.11 藍条森也

 コメントありがとうございます。
 本当にこの出来事を見ることができたのは貴重な体験でした。自然の掟、野生のたくましさを教えられました。

解除

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

BL書籍の印税で娘の振り袖買うつもりが無理だった話【取らぬ狸の皮算用】

月歌(ツキウタ)
エッセイ・ノンフィクション
【取らぬ狸の皮算用】 書籍化したら印税で娘の成人式の準備をしようと考えていましたが‥‥無理でした。 取らぬ狸の皮算用とはこのこと。 ☆書籍化作家の金銭的には夢のないお話です。でも、暗い話じゃないよ☺子育ての楽しさと創作の楽しさを満喫している貧弱書籍化作家のつぶやきです。あー、重版したいw ☆月歌ってどんな人?こんな人↓↓☆ 『嫌われ悪役令息は王子のベッドで前世を思い出す』が、アルファポリスの第9回BL小説大賞にて奨励賞を受賞(#^.^#) その後、幸運な事に書籍化の話が進み、2023年3月13日に無事に刊行される運びとなりました。49歳で商業BL作家としてデビューさせていただく機会を得ました。 ☆表紙絵、挿絵は全てAIイラスです

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。