64 / 75
その六二
パセリが一年草になる日
しおりを挟む
昨秋、種を蒔いたイタリアンパセリがすべて、薹立ちした。
なぜ?
パセリは二年草ではなかったか?
秋に蒔いたパセリは翌年、一年間、花を咲かせることなく葉を繁らせ、二年目の春に薹立ちして枯れるものだろう?
いや、もちろん、一年目の春に薹立ちする場合もあることは知っている。
しかし、すべてだぞ、す・べ・て。
本来、二年草である植物がそろいもそろって一年目の春に花を咲かせて枯れるなんて、そんなことあり得るか?
それとも、イタリアンパセリは一年草なのか?
そんなことはないはずだが。
そもそも、イタリアンパセリは毎年のように作っているが、いままで『そろって』一年目の春に薹立ちしたことなんてなかったはずだぞ。今回、買った種がたまたま一年目に花を咲かせる遺伝子をもっていたのか?
それとも。
それとも――。
温暖化による気温上昇で、パセリの生理が狂ったのか?
いまどきはもう本当に、春なんてすっ飛ばして夏だからなあ。そりゃ、植物もおかくしなるだろ。うちのベランダ菜園ではトマトが事実上、栽培不可になっているし、プロ農家でさえ温暖化のせいでうまく育てられないと聞いているし。
いや、野菜類はまだいいのだ。葉っぱさえ伸びれば食用になる。深刻なのは果樹類だ。温帯果樹は冬の間、寒さにあたり、一定期間以上、休眠しないと翌年に花を咲かせない。つまり、実をつけなくなる。このまま気温があがりつづけ、冬と呼べる冬がなくなったなら、そのときは……。
リンゴも、ナシも、カキも、馴染みの果物がなにひとつ存在しない世界になる。
そして、米や小麦だって、あまりに暑ければ実をつけなくなる……。
大規模な気候変動によって従来の栽培技術が一切、通用しなくなり、農業が壊滅する日は近い……かも知れない。
なぜ?
パセリは二年草ではなかったか?
秋に蒔いたパセリは翌年、一年間、花を咲かせることなく葉を繁らせ、二年目の春に薹立ちして枯れるものだろう?
いや、もちろん、一年目の春に薹立ちする場合もあることは知っている。
しかし、すべてだぞ、す・べ・て。
本来、二年草である植物がそろいもそろって一年目の春に花を咲かせて枯れるなんて、そんなことあり得るか?
それとも、イタリアンパセリは一年草なのか?
そんなことはないはずだが。
そもそも、イタリアンパセリは毎年のように作っているが、いままで『そろって』一年目の春に薹立ちしたことなんてなかったはずだぞ。今回、買った種がたまたま一年目に花を咲かせる遺伝子をもっていたのか?
それとも。
それとも――。
温暖化による気温上昇で、パセリの生理が狂ったのか?
いまどきはもう本当に、春なんてすっ飛ばして夏だからなあ。そりゃ、植物もおかくしなるだろ。うちのベランダ菜園ではトマトが事実上、栽培不可になっているし、プロ農家でさえ温暖化のせいでうまく育てられないと聞いているし。
いや、野菜類はまだいいのだ。葉っぱさえ伸びれば食用になる。深刻なのは果樹類だ。温帯果樹は冬の間、寒さにあたり、一定期間以上、休眠しないと翌年に花を咲かせない。つまり、実をつけなくなる。このまま気温があがりつづけ、冬と呼べる冬がなくなったなら、そのときは……。
リンゴも、ナシも、カキも、馴染みの果物がなにひとつ存在しない世界になる。
そして、米や小麦だって、あまりに暑ければ実をつけなくなる……。
大規模な気候変動によって従来の栽培技術が一切、通用しなくなり、農業が壊滅する日は近い……かも知れない。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
生きる 〜アルコール依存症と戦って〜
いしかわ もずく(ペンネーム)
エッセイ・ノンフィクション
皆より酒が強いと思っていた。最初はごく普通の酒豪だとしか思わなかった。
それがいつに間にか自分で自分をコントロールできないほどの酒浸りに陥ってしまい家族、仕事そして最後は自己破産。
残されたものはたったのひとつ。 命だけ。
アルコール依存専門病院に7回の入退院を繰り返しながら、底なし沼から社会復帰していった著者の12年にわたるセミ・ドキュメンタリー
現在、医療従事者として現役。2024年3月で還暦を迎える男の物語。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる