我が家のベランダ菜園物語

藍条森也

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その四九 2024ファーストブロー

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 年がかわった。
 いよいよ二〇二四年。
 その二〇二四年、真っ先に飛び出したのは――。
 クワ。
 クワの木が一月に入ってすぐに新芽を伸ばしはじめた。ちょっと見には鳥の糞に見えるような黒い小さな実もつけている。いや、実際には小さな花の集まったもので、この花がこれから咲いて、実をつけるのだろうけど。見た目的にはどちらもあまりかわらないので、一緒にして『実』と呼んでいる。
 さて、そのクワだが――。
 いくら、四季咲き性の品種とはいえ冬真っ盛りの一月に芽を伸ばしはじめるのは、さすがに早すぎないか?
 とは言え、去年――と言うか、昨シーズン――は、一二月のうちに新芽を伸ばしはじめてしまった。つまり、二〇二二年一二月に芽を伸ばしはじめてしまったのだ。
 これにはさすがに驚いた。
 ――真冬に芽を出したりして大丈夫なのか?
 そう心配になったものだが案の定、去年の一月終盤――つまり、ちょうどいまの時期――に、やってきた最強寒波に襲われ、すべて枯れてしまった。三月になってから改めて芽を伸ばし、多くの実もつけてくれたので瑞々しい果実を味わうことは出来たわけだが、それまでの間、
 ――葉が枯れてしまって木の方は大丈夫か? 生きているか? 死んでないか? 改めて芽吹いたとしても体内時計が狂ってしまって、実をつけないんじゃないか?
 と、さんざん心配させられた。
 そして、今年も一月早々に芽を出してしまった。
 去年はちょうどいまの時期に枯れてしまったわけだが、今年の葉は青々としている。
 しかし、なんと言ってもまだ一月。これから二月を迎え、寒さはまだまだ厳しくなるだろう。いくら、温暖化が進行して冬がなくなりつつあるご時世とは言え、強烈な寒波のひとつやふたつはやってくるはず。
 果たして、今年のクワはそれらの試練を乗り越え生きつづけることができるのか?
 それとも、今年もまた早すぎる出芽が仇となり、寒波によって枯れてしまうのか?
 注目である。
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