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その四三
キュウリの芽が出た
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キュウリの芽が出た。
キュウリは九月になるとウリハムシが出て葉も、実も、食い荒らされる。
そのため、九月に入ると片付けてしまう。その際、黄色く熟したキュウリ(店で売っている細長くて緑色のキュウリは実はまだ未熟な状態。完熟したキュウリはウリみたいに大きく、太くなり、黄色くなる。緑のときとはちがった味わいがして実にうまい)を採り、スライスしてプランターの上に置いておく。
こうしておくと、実のほうはいずれ土に戻り、種だけが残る。種は気温の低下によって休眠状態に入り、冬を越えて翌年の晩春か初夏のあたりに芽を出す。つまり、熟した実を適当に置いておくだけで種まきが出来て、来年の収穫が見込めるわけだ。それなのに――。
今年はこの来年用に置いておいた種がさっさと芽を出してしまった。
困った。
これでは、来年分がなくなってしまうではないか。
大体、高温を好むキュウリが九月も末に芽を出すとは……やはり、今年は暑いのだなあと実感した。
それにしても、このキュウリ、ちゃんと育つのか?
実はつけるのか?
いくら、今年が異常な暑さとは言ってもすでに一〇月。これから冬に向かい、気温がどんどんさがっていくのはまちがいない。そのなかで高温を好むキュウリが育ち、実を付ける……などということがあるのだろうか?
仮にあったとしても天敵ウリハムシはどうなる?
九月になるとどこからともなくやってくるこの憎き虫。一〇月以降も現れるのか?
なんにしても興味深いので、このまま放っておくことにした。うまくそだてばお慰み。枯れたところでダメでもともとなので惜しくもない。真冬のキュウリ、なる珍品が収穫出来たら貴重な体験。趣味のベランダ農家としてはなんとしてもためさねばなるまい。
果たして、冬にキュウリは実るのか。さあ、注目の展開だ!
しかし――。
保温もしていない真冬のベランダ菜園でキュウリが実ったら……地球環境、終わってる気がする。
キュウリは九月になるとウリハムシが出て葉も、実も、食い荒らされる。
そのため、九月に入ると片付けてしまう。その際、黄色く熟したキュウリ(店で売っている細長くて緑色のキュウリは実はまだ未熟な状態。完熟したキュウリはウリみたいに大きく、太くなり、黄色くなる。緑のときとはちがった味わいがして実にうまい)を採り、スライスしてプランターの上に置いておく。
こうしておくと、実のほうはいずれ土に戻り、種だけが残る。種は気温の低下によって休眠状態に入り、冬を越えて翌年の晩春か初夏のあたりに芽を出す。つまり、熟した実を適当に置いておくだけで種まきが出来て、来年の収穫が見込めるわけだ。それなのに――。
今年はこの来年用に置いておいた種がさっさと芽を出してしまった。
困った。
これでは、来年分がなくなってしまうではないか。
大体、高温を好むキュウリが九月も末に芽を出すとは……やはり、今年は暑いのだなあと実感した。
それにしても、このキュウリ、ちゃんと育つのか?
実はつけるのか?
いくら、今年が異常な暑さとは言ってもすでに一〇月。これから冬に向かい、気温がどんどんさがっていくのはまちがいない。そのなかで高温を好むキュウリが育ち、実を付ける……などということがあるのだろうか?
仮にあったとしても天敵ウリハムシはどうなる?
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果たして、冬にキュウリは実るのか。さあ、注目の展開だ!
しかし――。
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