37 / 75
その三五
な~すときゅ~うりがで~あった
しおりを挟む
な~すときゅ~うりがで~あった。
と言うわけでようやく、ナスとキュウリが実りはじめた。
本当に『ようやく』である。種から育てている分、どうしても収穫までは遅くなる。苗を買ってきて育てるのに比べて優に一ヶ月以上、遅い。
が、まあ良い。もとより、趣味のベランダ菜園に『効率』なぞ求めていない。成長する姿が見られて、それなりに収穫出来て、楽しむことが出来ればそれでいい。いや、もちろん、早く、多く、実がついてくれるならそれにこしたことはないわけだけどね。
ところで、ナスの苗は結局、買うことはなかった。育ちの遅れていた株も気温があがると同時にどんどん育って、いまでは一番、成長の早かった株とかわらないぐらい大きくなっている。
と言うか、実をつけたのは育ちの遅れていた株の方。花を咲かせるのは成長の早かった株の方が先だった。ところが、この花、雌しべが雄しべより短かった。ナスは多くの肥料を必要とすることで有名な野菜であり、雌しべが雄しべより短いのは肥料が足りていないサイン。こういう花は実をつけないか、つけてもおいしくない……とのこと。
話の通り、この花は実をつけることなく落ちてしまった。すぐに肥料をたしたおかげか次に咲いた花はちゃんと、雌しべの方が長かった。
しかし、これも実をつけることはなかった。
正確に言うと小さな実がついていることはついていたのだが育たなかった。あわてて肥料をやったぐらいでは株全体にきちんと栄養が行き渡らず、実を育てる力がなかったのだろう。
残念だが、まあ良い。
ナスの収穫期は結構長く、秋まで収穫出来る。しかも、秋ナスはおいしいことで有名。『秋ナスは嫁には食わすな』という有名な言葉もあるぐらい。ただし、この言葉、『ナスは体を冷やすので子どもを生む嫁には食べさせない方がいい』という解釈もあるそうだが。
それはともかく、我が家のナス。とにかく元気に育っているからこれから先、どんどん実をつけてくれるだろう。楽しみである。
ナスとは対照的に短期勝負なのがキュウリ。なにしろ、キュウリの場合、九月に入るとウリハムシがやってくる。葉っぱを食い荒らすだけならまあいいが、実までかじる。おかげで、こいつらが出てくるともう食べるところがなくなる。
九月になるまでに何本とれるか。
まさに、短期決戦である。
それにしても本当、どこからやってくるんだ、こいつら。
どうやって、キュウリがあることを知る?
そもそも、キュウリ――と言うかウリ科の植物――を食べて生きているのなら、キュウリのない夏場以外はなにを食って生きているんだ?
どこからともなくやってくるテントウムシといい、以前は見かけなかったのにイチジクの木を植えた途端、姿を見せるようになったカミキリムシといい、昆虫というのは不思議である。
その他、オクラもつぼみをつけはじめた。
知っての通り、オクラはネバネバ食感。ネバネバ食材は夏場のスタミナ源として有効と言うからこれからの時期には欠かせない。新鮮なオクラを生でかじるとポリポリとした食感で心地良いし、どんどん育ってもらいたい。
ところでこのオクラ、原産地である東北アフリカでも『オクラ』と言うらしい。
えっ?
『原産地の名前をそのまま取り入れたんじゃないのか?』って?
多分、ちがうだろう。少なくとも、私の読んだ野菜の本にはそんな風には書いていなかった。
さて、ナス、キュウリ、オクラとくれば残るは夏野菜四天王最強(?)トマトである。
実はこのトマト、少し後悔している。真夏の暑さで花粉が死んでしまい、花は付けても実を付けない。その傾向があるから今年は秋になってから花を咲かせるよう、春先に種を蒔くのはやめたのだが……。
トマトの種は春先に蒔くと発芽するまで優に一月はかかる。本当に、それぐらいかかるのだ。忘れた頃に『ぴょこ!』という感じで芽を出している。だから、暑くなってから蒔いても同じぐらいかかるだろうと思って六月中に蒔いたのだが……ほんの数日で芽が出てしまった。
やはり、気温が高いと発芽までの時間も短くなるらしい。おかげでもうそこそこ育ってしまった。この調子で育っていくと八月中に花をつけてしまいそうだ。八月の暑さを避けるために遅蒔きにしたのに……大丈夫か? ちゃんと実はつけるか?
なんて、心配しても仕方がない。
しょせん、自然相手の作業。運を天に任せるしかない。
さあ、この夏、夏野菜四天王そろい踏みは見られるか⁉
と言うわけでようやく、ナスとキュウリが実りはじめた。
本当に『ようやく』である。種から育てている分、どうしても収穫までは遅くなる。苗を買ってきて育てるのに比べて優に一ヶ月以上、遅い。
が、まあ良い。もとより、趣味のベランダ菜園に『効率』なぞ求めていない。成長する姿が見られて、それなりに収穫出来て、楽しむことが出来ればそれでいい。いや、もちろん、早く、多く、実がついてくれるならそれにこしたことはないわけだけどね。
ところで、ナスの苗は結局、買うことはなかった。育ちの遅れていた株も気温があがると同時にどんどん育って、いまでは一番、成長の早かった株とかわらないぐらい大きくなっている。
と言うか、実をつけたのは育ちの遅れていた株の方。花を咲かせるのは成長の早かった株の方が先だった。ところが、この花、雌しべが雄しべより短かった。ナスは多くの肥料を必要とすることで有名な野菜であり、雌しべが雄しべより短いのは肥料が足りていないサイン。こういう花は実をつけないか、つけてもおいしくない……とのこと。
話の通り、この花は実をつけることなく落ちてしまった。すぐに肥料をたしたおかげか次に咲いた花はちゃんと、雌しべの方が長かった。
しかし、これも実をつけることはなかった。
正確に言うと小さな実がついていることはついていたのだが育たなかった。あわてて肥料をやったぐらいでは株全体にきちんと栄養が行き渡らず、実を育てる力がなかったのだろう。
残念だが、まあ良い。
ナスの収穫期は結構長く、秋まで収穫出来る。しかも、秋ナスはおいしいことで有名。『秋ナスは嫁には食わすな』という有名な言葉もあるぐらい。ただし、この言葉、『ナスは体を冷やすので子どもを生む嫁には食べさせない方がいい』という解釈もあるそうだが。
それはともかく、我が家のナス。とにかく元気に育っているからこれから先、どんどん実をつけてくれるだろう。楽しみである。
ナスとは対照的に短期勝負なのがキュウリ。なにしろ、キュウリの場合、九月に入るとウリハムシがやってくる。葉っぱを食い荒らすだけならまあいいが、実までかじる。おかげで、こいつらが出てくるともう食べるところがなくなる。
九月になるまでに何本とれるか。
まさに、短期決戦である。
それにしても本当、どこからやってくるんだ、こいつら。
どうやって、キュウリがあることを知る?
そもそも、キュウリ――と言うかウリ科の植物――を食べて生きているのなら、キュウリのない夏場以外はなにを食って生きているんだ?
どこからともなくやってくるテントウムシといい、以前は見かけなかったのにイチジクの木を植えた途端、姿を見せるようになったカミキリムシといい、昆虫というのは不思議である。
その他、オクラもつぼみをつけはじめた。
知っての通り、オクラはネバネバ食感。ネバネバ食材は夏場のスタミナ源として有効と言うからこれからの時期には欠かせない。新鮮なオクラを生でかじるとポリポリとした食感で心地良いし、どんどん育ってもらいたい。
ところでこのオクラ、原産地である東北アフリカでも『オクラ』と言うらしい。
えっ?
『原産地の名前をそのまま取り入れたんじゃないのか?』って?
多分、ちがうだろう。少なくとも、私の読んだ野菜の本にはそんな風には書いていなかった。
さて、ナス、キュウリ、オクラとくれば残るは夏野菜四天王最強(?)トマトである。
実はこのトマト、少し後悔している。真夏の暑さで花粉が死んでしまい、花は付けても実を付けない。その傾向があるから今年は秋になってから花を咲かせるよう、春先に種を蒔くのはやめたのだが……。
トマトの種は春先に蒔くと発芽するまで優に一月はかかる。本当に、それぐらいかかるのだ。忘れた頃に『ぴょこ!』という感じで芽を出している。だから、暑くなってから蒔いても同じぐらいかかるだろうと思って六月中に蒔いたのだが……ほんの数日で芽が出てしまった。
やはり、気温が高いと発芽までの時間も短くなるらしい。おかげでもうそこそこ育ってしまった。この調子で育っていくと八月中に花をつけてしまいそうだ。八月の暑さを避けるために遅蒔きにしたのに……大丈夫か? ちゃんと実はつけるか?
なんて、心配しても仕方がない。
しょせん、自然相手の作業。運を天に任せるしかない。
さあ、この夏、夏野菜四天王そろい踏みは見られるか⁉
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
生きる 〜アルコール依存症と戦って〜
いしかわ もずく(ペンネーム)
エッセイ・ノンフィクション
皆より酒が強いと思っていた。最初はごく普通の酒豪だとしか思わなかった。
それがいつに間にか自分で自分をコントロールできないほどの酒浸りに陥ってしまい家族、仕事そして最後は自己破産。
残されたものはたったのひとつ。 命だけ。
アルコール依存専門病院に7回の入退院を繰り返しながら、底なし沼から社会復帰していった著者の12年にわたるセミ・ドキュメンタリー
現在、医療従事者として現役。2024年3月で還暦を迎える男の物語。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる