我が家のベランダ菜園物語

藍条森也

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その三四

色づくフルーツ

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 ブドウの実が色づきはじめた。
 まだ数ある房のなかのひとつふたつで、そのなかのさらにひとつふたつが色づきはじめたばかりだが、緑の皮が紫色に染まりつつある。
 思っていたよりも早かった。今年はよく出来ているので、このまま色づいてくれればかなり楽しめそうだ。
 やはり、ブドウを増やすか。
 去年、今年とよくできているし、実るかどうかわからないフルーツにあれこれ手を出すより、こうしてはっきり好結果が出るとわかっているブドウを増やした方が効率はいい。ブドウの大きな葉は緑のカーテンにもうってつけだし、枯れ葉はダンゴムシをはじめ、土を肥やしてくれる土壌生物たちの食糧として重宝する。
 しかし、ブドウはそれほど好きなわけじゃないしなあ。近所にブドウと交換できる果物を作っている知り合いでもいればいいんだが、そんな相手もいないし……。
 悩む。

 イチジクの秋果も色づきはじめている。一個だけ実った夏果は食べ頃を見逃して無駄にしてしまったし、今度はきちんと食べ頃を見極めなければ。しかし、この時期に熟すなら『秋果』じゃなくて『夏果』だよなあ。
 旧暦だとこの時期はもう秋だったのか?
 それとも、品種改良で熟す時期が早くなったのか?
 それとも、まさか、温暖化のせい……?

 なお、根っ子食いに根を食い荒らされたスイカの苗だが……結局、ダメだった。そのまま回復することなく枯れてしまった。
 枯れた苗を見ると、ほとんどなくなっていた根っ子がすっかりなくなっていたから他にもまだ根っ子食いが潜んでいるのかと思ったが……かわりとしてあわてて蒔いたキュウリはちゃんと育っているからそういうわけでもないようだ。やはり、根っ子を食われすぎて回復する余力がなかったのだろう。
 合掌。
 冥福を祈って『虫に根っ子を食われて枯れたスイカが転生したらジャック・オ・ランタンだった』でも書いてみようか。
 ……いや、スイカがカボチャにされたら怒るよな、やっぱり。
                  完
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