壊れたオルゴール ~三つの伝説~

藍条森也

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第二部 絆ぐ伝説

第一〇話一一章 行者の悔恨

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 そこには亡道もうどう世界せかいがあった。
 中空にポツンと浮かぶ一点の染み。
 なにものにも支えられることなく宙に浮く不思議な渦。
 その渦が回転し、脈打ち、形をかえる。
 まるで、水のなかでうごめくアメーバのように。
 そんな呑気に観察していられたのもつかの間。宙に浮かぶ染みのような亡道もうどう世界せかいは、はじけたように膨張して一気に数百倍もの大きさに成長した。
 そのまま際限なく拡大をつづけてこの世界、天命てんめい世界せかいを呑み込むかと思われた。その瞬間――。
 亡道もうどう世界せかいの膨張に呼応するかのように機械音が響いた。
 小さく低いモーター音。
 電気で動く機械仕掛けのからくり。
 モーター音が鳴り響き、機械仕掛けのからくりから目に見えないなにかの力が放射される。
 その力が亡道もうどう世界せかいを捕えた。
 膨張しようとする動きを押さえ込んだ。
 しばしの間、ふたつの力は拮抗していた。
 どこまでも広がろうとする亡道もうどう世界せかいの力と。
 それを押さえ込もうとする機械の力。
 やがて、亡道もうどう世界せかいがピクピクと脈打った。陸地にあげられ、渇きに苦しみ、断末魔の踊りを舞うアメーバのように。そして――。
 すうっ、と、耳よりも目に届くような音を立てて亡道もうどう世界せかいは姿を消した。
 その瞬間――。
 「やったあっ!」
 研究室のなかに、うら若き乙女の声が響いた。
 元気と言うよりもやんちゃ。明るいと言うよりも脳天気。両腕を振りあげて跳びはね、床を踏みならす音を立てながらの歓喜の叫び。
 「やった! 成功! 見事、亡道もうどう世界せかいを中和してやった! 見たか、科学大好き少女、セアラちゃんの実力!」
 叫んだのは『もうひとつの輝き』のおさメリッサの妹であり、不在の姉にかわっておさ代理だいりを務めるセアラだった。
 ハルキス島に作られた『もうひとつの輝き』の研究室でのことだった。
 かつて、『もうひとつの輝き』の一員であったハルキスが弾圧を逃れてたどり着き、五〇〇年にわたって過ごした島。そして、いまだ『ただの少年』であった頃のロウワンが流れ着き、一年に及ぶ修行を重ね、きょうだい分たるビーブと出会った島。
 その島はいま、現代の『もうひとつの輝き』によって研究室として使われている。
 その研究室でいま、世界の運命を左右するであろう重大な実験が行われていた。天命てんめいことわりによってではなく、科学の力によって亡道もうどう世界せかいを制御しようとの実験が。
 「ふむ。大したものだね」
 感心しているのか、からかっているのか、よくわからない声でそう言ったのは、溌剌はつらつとして元気いっぱい、年頃の少女というよりはやんちゃな男の子のように見えるセアラとは対照的に、なんともなまめかしい色香を感じさせる妖しの少年、空狩くうがりの行者ぎょうじゃだった。
 その行者ぎょうじゃはいま、指先に小さなびんをつまんでいる。それは千年前、騎士マークスが亡道もうどう世界せかいから持ち帰った、亡道もうどう世界せかいの一部を収めたびんだった。
 行者ぎょうじゃはそのびんを指先でクルクルまわしながら――もし、そのびんが床に落ちて割れでもしたらたちまち、なかから亡道もうどう世界せかいがあふれ、この世界を呑み尽くすというのに――セアラに語りかけた。
 「まさか、本当に科学の力で亡道もうどう世界せかいを中和できるなんて思わなかったよ。さすが、あのメリッサが『ある意味では自分以上』と認めただけのことはある逸材いつざいだね」
 行者ぎょうじゃはそう言いながら妖しく片目など閉じてみせる。
 そんな仕種がまたなんともなまめかしい。セアラのようなタイプには一生、学んでもとうてい出すことのできない耽美たんびてきな色香である。
 そんな行者ぎょうじゃの色香もまだまだお子ちゃまなセアラには通じないらしい。褒められたことを無邪気に喜び、自慢そうに控えめな胸を反らした。
 「ふふん」
 とばかりに、鼻息荒く片目を閉じて――もちろんそこには、行者ぎょうじゃのような妖しい魅力は欠片かけらもない――得意になって見せた。
 「そりゃあね。姉さんがいない間、ボクが留守を任されたんだから。成果はきっちり出さないとね」
 そう言って、ますます鼻息を荒くする。
 どうやら、行者ぎょうじゃに褒められた点ではなく『メリッサが認めた』という点に喜んでいるらしい。姉大好きのセアラらしい反応だった。
 そんなセアラであるが、ふいに真顔に戻った。
 やんちゃな表情さえなければやはり、年頃の少女。それも、相当に美しい部類の少女だ。その大きな瞳にキラキラした好奇心を照らして行者ぎょうじゃに尋ねた。
 「だけど、七曜しちようくうだっけ? 行者ぎょうじゃの力も便利だよねえ。そのびんのなかには、亡道もうどう世界せかいがすっぽり入ってるんでしょう?」
 「まあね」
 行者ぎょうじゃびんをクルクルまわしながら答えた。
 「見た目はこんな小さなびんだけど、なかには無限の世界が広がっている。というより、このびんそのものが亡道もうどう世界せかいにつながる入り口となっている。そう言うべきなのかな。とにかく、このびんのなかには亡道もうどう世界せかいがすっぽり入っている。扱いをまちがえれば、たちまち亡道もうどう世界せかいがあふれ出して、この世界を呑み込んでしまう」
 「そっかあ……」
 と、セアラはかわいい唇に手を当てて呟いた。
 口調は軽いが表情は真剣そのもの。姉メリッサと並んで当代屈指の天命てんめい博士はくしとして、その事態の深刻さは理解できるし、姉に留守を任された身として、そんな事態は決して招けないとの責任感もある。
 「だけど、ボクたちが亡道もうどう世界せかいに関して研究するためには、そのびんを使うしかない。亡道もうどう世界せかいを小出しにして、実験を繰り返すしかね。
 本当、行者ぎょうじゃがいてくれてよかったよ。ボクたちだけじゃそんな制御はとてもできなかった。行者ぎょうじゃ七曜しちようくうを使って、亡道もうどう世界せかいを制御してくれるから存分に実験ができる。ほんと、ありがとうね」
 「どういたしまして」
 行者ぎょうじゃはセアラから礼を言われて片目をつぶりながら答えてみせた。
 その顔に浮かぶ笑顔は大抵の女性と、ある種の趣味の男たちをまとめて堕とすのに充分なものだった。
 「見目麗しい乙女のためとあれば、いくらでも協力するよ」
 「へへっー、ありがとね」
 と、『見目麗しい乙女』と言われて恥じらうどころか、得意になるセアラであった。
 「だけど、七曜しちようくうも不思議だよねえ。どうしたらそんな力がもてるの? どういう原理?」
 セアラは行者ぎょうじゃにグイグイと迫る、迫る。
 身動きひとつできなくなった得物を狙う肉食獣というか、長年探し求めた研究対象をついに解剖する機会を得た学者のようにと言うか、とにかく尋常でない食いつきよう。好奇心丸出しの目で行者ぎょうじゃの全身をジロジロと見つめる。
 こんな目付きで見られたらさすがに不気味になり、怖くもなろうといもの。
 しかし、それはあくまでも普通の人間の場合。こんな目付きで見られても何事もないかのように笑みを浮かべて軽く受け流すふてぶてしさこそが、空狩くうがりの行者ぎょうじゃという少年の売りである。
 例によって例のごとく、片目を軽く閉じながら答えた。
 「見目麗しき乙女の願いとあれば、いつ何時でもこの身を捧げる覚悟はあるよ」
 「ほんと⁉ それじゃさっそく……」
 と、いつの間にか両手にメスをもって行者ぎょうじゃに迫るセアラ。無邪気な表情で目をキラキラさせているのがなかなかに怖い。
 そんなセアラの頭を、爽快そうかいなほどの音を立てて引っぱたいたものがいた。
 「いい加減にしなさい、セアラ」
 そう言ってセアラをにらみつけたのは、セアラよりも少しだけ背の高い女性。そろそろ中年と言ってもいい年頃だが顔立ちは充分に美しい。しかも、メリッサやセアラによく似ていた。実際にはメリッサとセアラがこの女性に似ているのだが。
 その女性、マートルは両手を腰につけると『めっ!』とばかりにセアラをにらみつけた。それから、説教口調で言った。
 「いまは、そんなことをしている場合ではないでしょう。そんなことは後回しにして、亡道もうどう世界せかいへの対応策に集中なさい」
 ――『やめなさい』とは言わないんだね。
 行者ぎょうじゃが内心でそう苦笑したのは『似たもの親子だ』と思ったからだった。
 マートルこそはメリッサとセアラ、『もうひとつの輝き』を支える美人姉妹の生みの親だった。
 「はあい」
 と、セアラは叩かれた頭に手を当てながら答えた。その返事の仕方がまた、イタズラを叱られたやんちゃな男の子といった感じ。
 セアラは大胆不敵に短いスカートの裾をヒラヒラさせながら研究のために自分の実験室に戻っていった。大抵の男はそのガードの緩すぎる裾の動きに目を奪われたことだろう。
 あいにく、『僕はこの世の誰よりも美しい』と、本気かどうかはともかく公言してはばからない行者ぎょうじゃには通用しなかったようだけど。
 はああ、と、そんな娘の様子を見ながらマートルはため息をついた。
 「まったく。あの子もそろそろ年頃なのに、いつまでもあの調子で」
 いつになったら女性らしくなるのか……。
 と、ため息をつく様子はまぎれもなく、娘の将来を心配する母親の姿だった。
 そんなマートルに対して行者ぎょうじゃは笑いかけた。例によって片目をつぶった妖しい笑顔。端から見れば口説いているようにしか見えない態度。マートルに夫がいたら少々――少々ではなく?――面倒なことになっていただろう。
 「かのは充分に魅力的ですよ。ああいう自分の魅力に自覚のない女子というのも良いものです。それに……」
 と、行者ぎょうじゃはかのにしては真面目そうな表情になって言った。
 「才能は本物ですからね。まさか、本当に科学の力で亡道もうどう世界せかいを中和する技術を開発するとは思わなかった」
 「確かに」
 と、マートルもうなずいた。
 平静を装ってはいても口元がひくついているあたりやはり、娘を褒められてニヤけてしまいそうになる親バカ振りは隠しきれていない。
 「天命てんめい博士はくしとしてはともかく、科学技術に関しては、わたしやメリッサでもかなわない勘をもっているから。あの子のおかげで、亡道もうどう世界せかいを中和する技術に目処めどがついた。この技術を使った道具を量産できれば、亡道もうどうつかさとの戦いに大きな力となることはまちがいないわ。ただ……」
 マートルはそこまで言ってからため息をついた。
 その視線の先には部屋ひとつを丸々、占拠する複雑怪奇な機械の塊と、それよりさらに何倍も大きい蒸気機関があった。
 「あんなちっぽけな亡道もうどうを中和するために、こんな大きな機械が必要。しかも、その機械を動かすための電気を得るためには、家一件分よりも大きな蒸気機関が必要と言うんじゃあね。とても、実用的とは言えないわ。人ひとりがもてるぐらいにまで小型化し、蒸気機関よりもはるかに効率的な発電機関を開発して……正直、今回の戦いに間に合うとは思えないわ」
 「大丈夫」
 行者ぎょうじゃは片目を閉じて請け負った。
 「今回の戦いに勝利すれば、人類とこの世界は千年の猶予ゆうよを得られます。その間に実用化すればいいんですよ」
 事実、このときにセアラの開発した技術は、のちに洗練され、実用化され、亡道もうどうつかさと戦う兵士たちの使う機械の槍として結実することになる。しかし、それはなお千年先の話である。
 「僕たちは今回の戦いに必ず勝ちます」
 行者ぎょうじゃはそう宣言した。
 ロウワンや野伏のぶせが見れば『行者ぎょうじゃでもこんなに真剣な表情をするのか』と驚くぐらい、かのらしくもない真摯しんしな表情だった。
 「いまの人類には多くの勇者たちがいる。そして、なによりも僕がいる。僕が必ず人類を勝たせてみせます」
 その言葉に――。
 マートルは不思議なものを見る表情になった。
 「あなた……なにかかわった? 以前はそんな真面目な顔をしたり、言ったりしなかったはずだけど」
 「人には謎がつきものですよ」
 行者ぎょうじゃはそうはぐらかすと身を翻した。髪にさした自慢のかんざし飾りをシャラシャラ言わせながら歩きだした。
 「さて。僕は少し夜風に当たってきます。ごきげんよう」
 「ええ……」
 と、マートルはやはり、歩き去る行者ぎょうじゃに向けて不思議そうな視線を投げかけていた。

 島はすでに夜の闇に包まれていた。
 ビーブの仲間たちが過ごす森の外。かつて、ロウワンが流れ着いた浜辺に立ち、行者ぎょうじゃは満天の星空を眺めていた。
 「……無数の星々。かつて、高神たかかみによって世界が混沌こんとんと秩序にわけられたとき、秩序の世界から追いやられた混沌こんとんの神々。果たして、僕の故郷はあのなかのどこかにあるのか……」
 行者ぎょうじゃは星空を見上げながらそう呟いた。
 いったい、あのときからどれほどの時が立ったのか。
 覚えきれないほどに永い時間。
 そしてきっと、これからももっと永い時間がかかる。
 それほどの永い時間がたっても忘れることのできない、忘れることを許されない罪。
 その罪を犯したあのとき。
 栄光と賞賛に包まれ、何不自由なく過ごしていたのだ。
 その日までは。
 一族きっての天才。
 史上最高の七曜しちようくうの使い手。
 そんな、華やかな肩書きに彩られ、一族の未来を照らす輝かしい星として期待を一身に集めていた。
 事実、それにふさわしいだけの才能を有していた。
 誰よりも早く、誰よりも精緻に、七曜しちようくうを操ることができた。まだほんの少年の時期に、長老たちの伝える最奥の秘術さえも身につけてのけたのだ。しかし――。
 それゆえに才におぼれた。
 己の力を過信し、できないことなどないとうぬぼれた。
 その結果、禁断の領域に手を伸ばした。そして――。
 かつてない巨大なくうを呼び出してしまった。
 行者ぎょうじゃの故郷は、そのくうに呑み込まれてこの世から消え去った。
 行者ぎょうじゃはひとり、その光景を見つめていた。
 見せつけられていた。
 故郷と共に、そこに住む仲間たちとともに、巨大なくうに吸い込まれることすらできずに。
 忘れることのできない、忘れることを許されないその光景。
 「子どもだった……」
 どんなコーヒーよりも苦い思いを噛みしめながら行者ぎょうじゃは呟いた。
 そう。本当にただの子どもだったのだ。
 身の程知らず、怖い物知らずの無邪気な子ども。まわりから褒められ、チヤホヤされて、すっかり調子に乗った馬鹿な子ども。
 だからこそ、取り返しのつかないことをしてしまった。
 二度と晴れることのない罪を帯びてしまった。
 その日からずっとずっと旅をつづけている。故郷を呑み込んだくうを見つけ出し、故郷をこの世界に取り戻す。そのために。
 償い……などではない。
 償いようのない罪だということはわかっている。しかし、だからこそ、やらなくてはならない。自分自身の過去に決着をつけるために。これから先、またどれほどの時がかかろうと。
 「……本当に、ただの馬鹿な子どもだった。でも、驚いたね。僕と同じ馬鹿が他にもいたなんて。ぎょしえないものをぎょせると信じ、うかつに手を出した。そして、解きはなってはいけないものを解きはなってしまった。パンゲアの教皇きょうこうは僕と同じ過ちを犯した。放っておくわけにはいかない。同じ過ちを犯したものとして、僕がその過ちを正さなくてはならない」
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