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第二部 絆ぐ伝説
第一〇話一〇章 野生の戦い
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大アトラス山嶺。
大陸のほぼ中央を北から南にかけて縦断し、大陸の西方世界と東方世界とをわける大陸最大の山脈。
その世界最大の山脈にいま、ビーブと妻のコハ、そして、ひとり息子のミッツはやってきていた。
この地はビーブやコハにとっては特別な意味をもっていた。
かつて、ロウワンや野伏、野生の生き物たちと共に亡道の影響で生まれた異形の怪物たち、それに、謎の巨人〝すさまじきもの〟と戦った場所。そして、なにより、ビーブとコハが出会い夫婦となる約束を交わした場所なのだから。
――どうだ、ミッツ。ここが父さんと母さんが出会った場所なんだぞ。
――そうよ、ミッツ。この山が母さんの故郷なの。
ビーブが誇らしげに、コハが懐かしそうに、それぞれの思いを込めて息子に語る。そう言われた息子はというと、
――ふうん。
と、あまり気のない返事をしながらあちこちをキョロキョロ見まわしている。
どうやら、この幼い息子は、両親が期待したような感動は覚えなかったらしい。親の心子知らず……と、これも言えるのかどうか。
それでも、自由の国の第一の戦士たるビーブの息子ということで、人の町で過ごすことの多かったミッツにとっては、これほど濃密な野性の気配ははじめての体験。それなりに興味深そうにあちこちを見まわしたり、辺りに生えている草や木の葉をかじったりしている。
ザザッ、と、音がして木の枝が揺れた。枝と枝の合間をぬって、一羽の大きなワシが降りてきた。さらに、下生えの草を踏みわける音がして、いかにも剽悍そうなオオカミと、重厚感あふれる巨大なクマとが姿を表した。
かつて、この地において共に異形の怪物と戦った野性の友。
大アトラス山嶺の空を支配するオオワシの風切り丸。
ハイイロオオカミの群れを束ねるロボ。
そして、大アトラス山嶺の王にして神、ホラアナグマのバルバルウ。
その三者である。
三者三様の姿を見てビーブがニッと笑った。
――よう。生きてたか。安心したぜ。
――お前も壮健そうでなによりだ。
王にして神たるもの、バルバルウが三者を代表して答えた。
――その子はお前たちの子か? めでたいことだ。
空の支配者、風切り丸が祝うように翼をばたつかせながら言った。当のミッツはと言えばさすがに見ず知らずの巨大な獣たちが表れて驚いたのだろう。怯えた表情で母のコハにしがみついている。
――挨拶よりも聞きたいことがある。
そう言ったのは、ハイイロオオカミの群れを束ねるロボ。野性味あふれる瞳のなかに深い知性を感じさせる山の賢者である。
――最近、まれにだが奇妙な生き物が姿を表すようになった。いや、『生き物』と言うべきではないだろうな。アレからは『命』の匂いがしない。
――ああ。
と、ロボの言葉にビーブは真剣な面持ちでうなずいた。
――今日は、そのことを話しに来たんだ。
そして、ビーブは野性の友に語った。
いま、この世界で起きていることを。
――なんと。そのようなことが。
重厚感あふれる山の王にして神、ホラアナグマのバルバルウもさすがに驚いたらしい。目を丸くして答えた。
――そのような存在をむざむざ解きはなってしまうとは。度しがたいな。
――まあな、ロボ。けど、人間のやることだ。しょうがないさ。
――確かに。人間のやることでは仕方ないな。
羽繕いしながら達観したようにそう言ったのは空の支配者、オオワシの風切り丸である。
――だが、どのみち、今回の件はこの世界の運命がまるごとかかっていることだ。人間たちだけに任せておくわけにはいかねえ。おれたちも、おれたちの世界を守るために一肌、脱がないとな。ってことで、協力を頼みに来たのさ。
ビーブはそう言ってからさらにつづけた。
――なにしろ、亡道の怪物どもはこの広大な山脈のどこに出てくるかわからねえ。人間たちにそいつらを監視して退治してまわれなんて無理な話だ。この野生の世界を守るためにはおれたちが必要なんだ。おれたちの野性の感覚がな。
――異論はない。
三者を代表してバルバルウが断言した。
――もとより、この山は我らの世界。あのような怪物どもの好きにさせるわけにはいかん。なにより、我はすでにあの人間の若者に約定した。『この山は我らに任せろ』とな。その約定をたがえることはしない。
――おう、ありがてえ。よろしく頼むぞ。
――しかし、問題はある。
ハイイロオオカミのロボが、その知的な瞳に警戒の色を浮かべながら言った。
――人間は我らを狩る。我らを殺し、食らうものと協力しあうことは無理だ。この山を守り抜くためには人間たちに行動をかえてもらう必要があるぞ。
ロボの言葉にビーブはうなずいた。
――わかってる。人間たちにはおれから説明する。すでに、『狩りをしない』と約束してくれた人間の王もいる。
――そうか。ならば、人間のことはそなたに任せ、我らはこの山を守ることに尽力しよう。
――しかし、正直、楽観はできんぞ。
オオワシの風切り丸が力強いその翼を広げながら言った。
たたでさえ、空を往くものとしては例外的な巨体のオオワシだ。そうして、翼を広げたときの威圧感、圧倒的な迫力はひとしおだ。その姿を一目見れば、天帰教の掲げる天使など鳥に憧れ、鳥の真似をして無様に羽ばたく惨めな人間でしかないことがわかるだろう。
――やつらは強い。我らの爪と嘴をもってしてもその身を引き裂くことは容易ではない。しかも、いくら傷つけてもやつらは死なん。動きつづける。細かな肉片にまでバラバラにしてようやく、動きをとめることができる。そういう相手だからな。
言われて、ビーブもうなずいた。
――ああ、確かにな。やつらは生きていない。だから、殺すこともできない。天命の理を使えないおれたちじゃあ、バラバラにして動きをとめる以外に対抗する術はない。だが……。
ギラリ、と、ビーブの目が光った。
――そのかわり、おれたちには人間にはない力がある。人間以上の力があり、速さがある。爪があり、牙があり、嘴がある。その力に懸けてやつらをしとめる。バラバラにしなけりゃとめられないならバラバラにするまでだ。細かな肉片になるまで食いちぎる。それだけのことさ。
――ふっ……。
ビーブのその言葉にバルバルウは思わず相好をくずした。そして、
――ふはははははっ!
なんとも爽快で、雄大そのものの日々をもつ笑い声を立てた。
――その通りだ! 我らは獣。獣には獣の戦い方がある。我らが誇りに懸けて、天地自然の理に反する化け物どもを始末して見せようぞ。
大アトラス山嶺の王にして神、バルバルウの力強い言葉に――。
風切り丸とロボもそろってうなずいた。
その小さな仕種に込められた覚悟と力強さ。
それを見れば誰であれ、なによりも頼もしい味方を得ることができたのだと納得し、安心することだろう。
――その通りだ。そもそも、我らはあの怪物、〝すさまじきもの〟から、この山々を解放してもらった恩がある。受けた恩を返さないものは人間にも劣る。恩に報いるために、全力をもってこの世界を守ろう。
――しかり。世界を守るために戦うことは人間だけの特権ではない。我らもまた、我らの世界を守るために全力で戦う。
――おう。そう言ってもらえれば心強い。よろしく頼むぜ。
ビーブがそう胸を張って、野性の仲間たちの言葉に答えたときだ。空の上で警戒を発する鳴き声が鳴り響いた。
――ふっ。
と、ハイイロオオカミのロボが不敵な笑みをもらした。
――どうやらさっそく、誓いを果たすときが来たようだな。
――うむ。亡道の怪物。それも、数体まとめてやって来たようだ。
――相手にとって不足はない。我が爪と牙をもって粉微塵にしてくれよう。
――ああ。
ビーブが身構えて野性の仲間たちの声に答えたそのときだ。木々をぬって数体の亡道の怪物たちが姿を表した。
――やつらは異界の化け物どもだ。そんなやつらの好き勝手にさせたとあっちゃあ、この世界の名折れ。叩きのめせ!
ビーブのその声に――。
風切り丸が、
ロボが、
バルバルウが、
一斉に亡道の怪物に襲いかかった。
大陸のほぼ中央を北から南にかけて縦断し、大陸の西方世界と東方世界とをわける大陸最大の山脈。
その世界最大の山脈にいま、ビーブと妻のコハ、そして、ひとり息子のミッツはやってきていた。
この地はビーブやコハにとっては特別な意味をもっていた。
かつて、ロウワンや野伏、野生の生き物たちと共に亡道の影響で生まれた異形の怪物たち、それに、謎の巨人〝すさまじきもの〟と戦った場所。そして、なにより、ビーブとコハが出会い夫婦となる約束を交わした場所なのだから。
――どうだ、ミッツ。ここが父さんと母さんが出会った場所なんだぞ。
――そうよ、ミッツ。この山が母さんの故郷なの。
ビーブが誇らしげに、コハが懐かしそうに、それぞれの思いを込めて息子に語る。そう言われた息子はというと、
――ふうん。
と、あまり気のない返事をしながらあちこちをキョロキョロ見まわしている。
どうやら、この幼い息子は、両親が期待したような感動は覚えなかったらしい。親の心子知らず……と、これも言えるのかどうか。
それでも、自由の国の第一の戦士たるビーブの息子ということで、人の町で過ごすことの多かったミッツにとっては、これほど濃密な野性の気配ははじめての体験。それなりに興味深そうにあちこちを見まわしたり、辺りに生えている草や木の葉をかじったりしている。
ザザッ、と、音がして木の枝が揺れた。枝と枝の合間をぬって、一羽の大きなワシが降りてきた。さらに、下生えの草を踏みわける音がして、いかにも剽悍そうなオオカミと、重厚感あふれる巨大なクマとが姿を表した。
かつて、この地において共に異形の怪物と戦った野性の友。
大アトラス山嶺の空を支配するオオワシの風切り丸。
ハイイロオオカミの群れを束ねるロボ。
そして、大アトラス山嶺の王にして神、ホラアナグマのバルバルウ。
その三者である。
三者三様の姿を見てビーブがニッと笑った。
――よう。生きてたか。安心したぜ。
――お前も壮健そうでなによりだ。
王にして神たるもの、バルバルウが三者を代表して答えた。
――その子はお前たちの子か? めでたいことだ。
空の支配者、風切り丸が祝うように翼をばたつかせながら言った。当のミッツはと言えばさすがに見ず知らずの巨大な獣たちが表れて驚いたのだろう。怯えた表情で母のコハにしがみついている。
――挨拶よりも聞きたいことがある。
そう言ったのは、ハイイロオオカミの群れを束ねるロボ。野性味あふれる瞳のなかに深い知性を感じさせる山の賢者である。
――最近、まれにだが奇妙な生き物が姿を表すようになった。いや、『生き物』と言うべきではないだろうな。アレからは『命』の匂いがしない。
――ああ。
と、ロボの言葉にビーブは真剣な面持ちでうなずいた。
――今日は、そのことを話しに来たんだ。
そして、ビーブは野性の友に語った。
いま、この世界で起きていることを。
――なんと。そのようなことが。
重厚感あふれる山の王にして神、ホラアナグマのバルバルウもさすがに驚いたらしい。目を丸くして答えた。
――そのような存在をむざむざ解きはなってしまうとは。度しがたいな。
――まあな、ロボ。けど、人間のやることだ。しょうがないさ。
――確かに。人間のやることでは仕方ないな。
羽繕いしながら達観したようにそう言ったのは空の支配者、オオワシの風切り丸である。
――だが、どのみち、今回の件はこの世界の運命がまるごとかかっていることだ。人間たちだけに任せておくわけにはいかねえ。おれたちも、おれたちの世界を守るために一肌、脱がないとな。ってことで、協力を頼みに来たのさ。
ビーブはそう言ってからさらにつづけた。
――なにしろ、亡道の怪物どもはこの広大な山脈のどこに出てくるかわからねえ。人間たちにそいつらを監視して退治してまわれなんて無理な話だ。この野生の世界を守るためにはおれたちが必要なんだ。おれたちの野性の感覚がな。
――異論はない。
三者を代表してバルバルウが断言した。
――もとより、この山は我らの世界。あのような怪物どもの好きにさせるわけにはいかん。なにより、我はすでにあの人間の若者に約定した。『この山は我らに任せろ』とな。その約定をたがえることはしない。
――おう、ありがてえ。よろしく頼むぞ。
――しかし、問題はある。
ハイイロオオカミのロボが、その知的な瞳に警戒の色を浮かべながら言った。
――人間は我らを狩る。我らを殺し、食らうものと協力しあうことは無理だ。この山を守り抜くためには人間たちに行動をかえてもらう必要があるぞ。
ロボの言葉にビーブはうなずいた。
――わかってる。人間たちにはおれから説明する。すでに、『狩りをしない』と約束してくれた人間の王もいる。
――そうか。ならば、人間のことはそなたに任せ、我らはこの山を守ることに尽力しよう。
――しかし、正直、楽観はできんぞ。
オオワシの風切り丸が力強いその翼を広げながら言った。
たたでさえ、空を往くものとしては例外的な巨体のオオワシだ。そうして、翼を広げたときの威圧感、圧倒的な迫力はひとしおだ。その姿を一目見れば、天帰教の掲げる天使など鳥に憧れ、鳥の真似をして無様に羽ばたく惨めな人間でしかないことがわかるだろう。
――やつらは強い。我らの爪と嘴をもってしてもその身を引き裂くことは容易ではない。しかも、いくら傷つけてもやつらは死なん。動きつづける。細かな肉片にまでバラバラにしてようやく、動きをとめることができる。そういう相手だからな。
言われて、ビーブもうなずいた。
――ああ、確かにな。やつらは生きていない。だから、殺すこともできない。天命の理を使えないおれたちじゃあ、バラバラにして動きをとめる以外に対抗する術はない。だが……。
ギラリ、と、ビーブの目が光った。
――そのかわり、おれたちには人間にはない力がある。人間以上の力があり、速さがある。爪があり、牙があり、嘴がある。その力に懸けてやつらをしとめる。バラバラにしなけりゃとめられないならバラバラにするまでだ。細かな肉片になるまで食いちぎる。それだけのことさ。
――ふっ……。
ビーブのその言葉にバルバルウは思わず相好をくずした。そして、
――ふはははははっ!
なんとも爽快で、雄大そのものの日々をもつ笑い声を立てた。
――その通りだ! 我らは獣。獣には獣の戦い方がある。我らが誇りに懸けて、天地自然の理に反する化け物どもを始末して見せようぞ。
大アトラス山嶺の王にして神、バルバルウの力強い言葉に――。
風切り丸とロボもそろってうなずいた。
その小さな仕種に込められた覚悟と力強さ。
それを見れば誰であれ、なによりも頼もしい味方を得ることができたのだと納得し、安心することだろう。
――その通りだ。そもそも、我らはあの怪物、〝すさまじきもの〟から、この山々を解放してもらった恩がある。受けた恩を返さないものは人間にも劣る。恩に報いるために、全力をもってこの世界を守ろう。
――しかり。世界を守るために戦うことは人間だけの特権ではない。我らもまた、我らの世界を守るために全力で戦う。
――おう。そう言ってもらえれば心強い。よろしく頼むぜ。
ビーブがそう胸を張って、野性の仲間たちの言葉に答えたときだ。空の上で警戒を発する鳴き声が鳴り響いた。
――ふっ。
と、ハイイロオオカミのロボが不敵な笑みをもらした。
――どうやらさっそく、誓いを果たすときが来たようだな。
――うむ。亡道の怪物。それも、数体まとめてやって来たようだ。
――相手にとって不足はない。我が爪と牙をもって粉微塵にしてくれよう。
――ああ。
ビーブが身構えて野性の仲間たちの声に答えたそのときだ。木々をぬって数体の亡道の怪物たちが姿を表した。
――やつらは異界の化け物どもだ。そんなやつらの好き勝手にさせたとあっちゃあ、この世界の名折れ。叩きのめせ!
ビーブのその声に――。
風切り丸が、
ロボが、
バルバルウが、
一斉に亡道の怪物に襲いかかった。
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