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第二部 絆ぐ伝説
第一〇話八章 セシリアの覚悟(2)
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「どういうことですか⁉」
怒り心頭に発したセシリアは単身――頭にきすぎて、護衛の兵をつけることさえ思いつかなかったので――大臣たちの集う会議室に飛び込んだ。
会議室、と言ってもやはり、その目的のために接収した一般家屋である。部屋と部屋を仕切る壁を取っ払い、閣僚全員が入れる大部屋にしただけの場所。
会議室にいたるまでの長い廊下もなく、扉の前を守る屈強な衛兵もいない。玄関を開ければすぐそこに丸テーブルの置かれた会議室が目に飛び込んでくる。そういう場所。
叫びと共に玄関を開けたセシリアが感じたものは、鈍い表情を浮かべてでっぷり太った体を揺らす大臣たちの姿ではなかった。ムッとするような濃密な酒の匂い。まだ子どものセシリアは思わず顔をゆがめ、後ずさってしまった。それぐらい、ワインの匂いが部屋中にプンプンしていた。
そこでようやく、大臣たちの姿が目に入った。予想通り、大臣たちは太った体の上に頬肉のだぶついた顔を乗せ、鈍い表情を浮かべていた。その目は誰が見ても酒に酔ってトロンと濁っているのが一目でわかるものだった。
そして、本来であれば会議のための資料が載せられているべき丸テーブルの上にあるのは、豪奢な銀のゴブレットと数えることもできないワインの瓶。
ワインの瓶の多くがすでに空であり、丸テーブルの上に倒れて、その口からあまった液体を垂れ流している。そのせいで、丸テーブルの上はすでにベトベト。床にさえワインの瓶が散乱し、強い匂いを放つ液体をその口からこぼしている。
その不作法で行儀の悪い姿はとてもではないが高貴にして上品たる貴族の酒宴とは思えない。がさつな海賊たちのらんちき騒ぎの場だ。
実際、ガレノアのもとで料理長を務めてきたミッキーがこの様を見れば、こう言うにちがいない。
「いやあ、懐かしい。うちの若い連中は、いつもこんな調子だからなあ」
そんな乱雑なありさまを目にとめたセシリアの心に怒りの雲がむくむくとわき起こってきた。
――いま、こうしている間にも、多くの人々が亡道の司の侵略に対抗するために戦っているというのに……。
実際、いま、このときも、プリンス配下の戦士たちは亡道に冒されたパンゲアの地で戦っているのだ。世界を、人々を、亡道の怪物たちから守るために。命を懸けて。
ならば、外の世界にとどまる人間たちのすべきことはただひとつ。
全力でその戦いを支援すること。
戦士たちが戦いに勝てるよう水と食糧、その他の補給物資を用意し、滞りなく送りとどけ、医療体制を整備し、交代要員を送れるよう新兵を鍛えあげること。
そのために、万人がそれぞれの持ち場で全力を尽くさなければならない。そうでなければ、亡道の司との戦いには決して勝てない。
――それなのに、この人たちは……。
セシリアはギュッと拳を握りしめた。悔しさのあまり、歯ぎしりした。
大公たる自分を無視して、大臣たちだけで国政に関する会議を開いた。
それは、まだいい。
許したくはないが許せる。
わずか一二歳の子供でしかない自分が信頼されるはずがないことも、おとなたちが『自分たちだけでやった方がうまくいく』と思うのも理解できる。
だから、自分が無視されたことはいい。しかし、世界と人々のために真剣に討議するならともかく、浴びるように酒を飲みながらの楽しいおしゃべりとは。
――こいつらは、いまの状況をなんだと思ってるの⁉
セシリアは貴族令嬢にあるまじき激しさで、大臣たちを心のなかでののしった。もはや、怒りを通りこして、憎しみしか感じられなくなっていた。
のっそりと。
まさに、そう表現するのがふさわしいノロノロした動きで大臣たちがセシリアを見た。もともと鈍い表情が酒に濁った目のせいでなおさら鈍く見える。
「おや、これはこれは大公殿下」
『大公殿下』という言い方も、もはや、表面を取りつくろうための表現を超えて、相手を侮辱し、傷つけるためのものとなっている。奴隷の子に対して、あえて『プリンス』と名付けるのと同じ品性の下劣さだった。
「なんのご用ですかな?」
と、酒臭い、というよりも、もはや酒そのもののような息を吐きながら主席閣僚が尋ねた。そのトロンとした目にはいかなる意味での知性も宿っているようには思えない。
ふう、と、セシリアは息をついて気を落ち着かせた。喧嘩をしにきたわけではない。大臣たちを説得して、協力を取りつけなくてはならないのだ。
「……あなたたちは、なにをしているのです?」
いくら必死に心を押さえても憎しみは消せない。思わず、感情をむき出しにした目で大臣たちをにらみながら、セシリアはまずはそれだけを言った。
「大公たるわたしを無視して自分たちだけで会議とは。しかも、真面目に討議するならともかく、酒を飲みながらとは。いったい、なんの会議なのです?」
「国政に関する会議ですとも、もちろん」
深紅のワインをなみなみとそそいだ銀のゴブレットを片手に、赤い色が見えるような息を吐きながら悪びれることなくそう答えてのけたのは、いっそあっぱれだったかも知れない。
「我々はいつでも国民のことを思っておりますでな。より良き未来のための会議は欠かせませんて」
「さようさよう。国民は我らが立派に治めてみせます。大公殿下はどうかなにもお気になさらず、お稽古事にでも没頭しておられるがよろしい」
「国民のための会議? 酒を飲みながらですか? その態度のどこが国民のためだと言うのです?」
「やれやれ。お子さまにはわからないでしょうな。おとなの会議には酒が必要なのですよ」
「さよう。酒こそ人生の潤滑油。酒なしではうまく行くものも行きません」
「さあ、酒の味もわからないお子さまには引き取っていただきましょう。おとなの話を邪魔しないでいただきたい」
大臣たちは口々に言う。
鈍い表情。
トロンとした目。
ふてぶてしい態度。
いずれをとってもセシリアの言葉や思いなど届かないし、そもそも、セシリアの存在自体を相手にする気がないことは明らかだった。
ギリッ、と、セシリアは音を立てて歯ぎしりした。爪が皮膚に食い込むほど強く、拳を握りしめた。
これがプリンスであれば、話は簡単だ。問答無用で全員を殴りたおし、泣いて謝るまでぶちのめし、腕力にものをいわせて無理やり従えている。
男殺しの〝ブレスト〟・ザイナブであれば、さらに手軽だ。無言のままに抜く手も見せずに剣が放たれ、一瞬のうちに全員の首を刎ねとばしている。
セシリアもできることならそうしてやりたいところだった。しかし、いかに相手が飲みすぎ食べ過ぎ運動不足の三重苦で、ぶよぶよの贅肉の塊となった人の姿のウシガエルであっても、大の男。それが、何人もいるのだ。わずか一二歳の少女が腕力で従えられるはずもない。
セシリアは結局、歯ぎしりしたまま一言もなく、背を向けた。そのまま、会議室をあとにした。酒の匂いに満たされた、らんちき騒ぎという名の会議室を。
その姿を見て――。
「やれやれ。あんなことでは嫁のもらい手もないなあ」
と、大臣たちは一斉に嗤ったのだった。
セシリアはトウナのもとを訪れていた。
トウナはいま、夫であるプリンスが王を務める国、平等の国リンカーンの本拠地であるイスカンダル城塞群跡にあって、タラの島改め医療都市イムホテピアの市長として、平等の国リンカーンの王妃として、そして、都市網社会の代表たるロウワンの名代として、様々な政務に取り組んでいた。
「……だいぶ、お腹が目立つようになってきましたね」
セシリアはトウナの腹部に目をやりながら言った。夫プリンスの子を宿し、ふっくらとふくらんでいるその腹を。
――おかわりになられた。
トウナを見ながら、セシリアはそう思った。
トウナといえばかつては、赤銅色に焼けた肌と引きしまった肢体をもつ野性的な少女だった。それこそ、女海賊の物語の表紙を飾れるような、そんな攻撃的な美しさをもった美少女だったのだ。
それがいまでは、腹部以外もどこか丸みを帯びたふっくらした姿にかわり、女性的な印象が強くなっている。その目も、表情も、以前のように野性的でも攻撃的でもなく、優しさが増しているように見える。
「もう半年だから」
そう答える声も落ち着き払った貫禄のあるもので、まさに『女王』と呼ぶのにふさわしいものだった。
――母親になるって、こういうことなのね。
一二歳の少女にはまだまだ遠い未来の姿を見ながら、セシリアはそう思った。
「それで、セシリア」
トウナはまるで歳のはなれた姉のようにセシリアに話しかけた。
「なんの用なの? わざわざそんなことを言うところを見ると、話しにくいことのようだけど」
「それは……」
トウナに内心を見抜かれ、セシリアは言葉を失った。それも一瞬、すぐに覚悟を決め、拳を握りしめながら答えた。
「……と言うわけなんです。このままでは大臣たちに好き勝手にされ、安心の国ラインは、単なる貴族主義の国となってしまいます」
そんなことになれば国を立ちあげた理由も失われる。亡道の司との戦いに際してまともな貢献をすることもできなくなるだろう。おそらくはそのはるか以前に、弾圧と反乱の悪循環に陥るはずだ。
なにしろ、元奴隷の身から国王に成りあがったプリンスという前例がいるのだ。労働者階級ももはや、黙って貴族に従いはしない。以前のローラシアのように支配しようとするなら実力をもって立ち向かうことだろう。自分たちの世界を作るために。
「そう」
と、トウナはセシリアの話を聞き終えたあと、静かに答えた。
その落ちつきもまた、以前のトウナからは考えられないようなものだった。
「セシリア。それは、あなたの覚悟次第でしょう」
「わたしの……覚悟?」
「そう。あなたはなぜ、安心の国ラインを作ろうと思ったのか。そのために、どれだけのことをする覚悟があるか。その覚悟を示せるかどうかの問題でしょう」
「わたしの……覚悟」
……その日も、安心の国ラインの大臣たちは大公セシリアそっちのけで会議を行っていた。相変わらず、酒の匂いのプンプンする部屋のなかで。
丸テーブルの上にワインの瓶だけではなく、幾枚かの書類があるだけまし……と言うべきだろうか。たとえ、その書類が自分たちのためだけの、贅を尽くした豪壮な邸宅の設計図だとしても。
世界の危機も、亡道の司との戦いも、かの人たちにとってはなんの興味も関心もないことだった。重要なのはただひとつ。〝賢者〟たちの狼藉によって不当にも奪われた自分たちの特権と栄華。それを回復することだけ。
一度は奪われた貴族としての暮らし。
それを、これから取り戻さなくてはならない。
それこそが、ただひとつの正義。
労働者階級の生活の安定、産業の育成、教育の拡充……そんな、政治家であれば考えて当たり前のことなど、この大貴族出身の大臣たちの頭のなかには欠片もありはしない。頭のなかにあるものはただひとつ。いかに、自分たちの特権を守るか。ただそれだけ。
それは、大臣たちにとっては疑う余地すらない完璧な真理であり、正義だった。
この世は貴族のためにある。すなわち、自分たちのためにある。貴族以外の人間はすべて、貴族に奉仕するための存在。鳥や獣が人間の食糧として神に生みだされた存在であるように、貴族である自分たちに奉仕し、役に立つために生みだされた存在。
だというのになぜ、労働者階級の生活など考えてやらなければならないのか。そんなやつらは自分たちに奉仕するために、ひたすら働いていればいい。自分の家や飲み食いのことなど考えず、ひたすら貴族に尽くし、奉仕していればいい。
それが、貴族以外のすべての人間の存在意義であり、その役割を果たすために生かされている存在ではないか。貴族に奉仕する精神をもたない非貴族の人間など、生きている価値はない!
そう信じきっている。
ただし、公平を期して言うならば、それを本人たちのみの責任にするのは酷だろう。ローラシアという国そのものがそんな価値観のなかで運営されていた国であり、大貴族の子弟として生まれたかの人たちは、生まれたときからその価値観を徹底的に叩き込まれてきたのだから。
他の何者かになる機会など、かの人たちには最初からなかったのだ。
だからと言って、かの人たちを環境の被害者として認めるべきかというと、行者あたりが皮肉な笑みを浮かべながら言うことだろう。
「環境のせいもあるけど、本人も有罪」
ともあれ、大貴族出身の大臣たちは酒に濁った目でお互いを見やりながら、話に話に花を咲かせていた。
「そういえば、あの小娘はどこかに出て行ったらしいですな」
「おお、そうらしいな。あの小娘もようやく、おのれの分をわきまえたと見える」
「そのようですな。まったく、たかだか中堅程度の貴族の出てありながら我らの上に立とうなどとは身の程知らずにもほどがある。大いに反省してもらわなくてはなりませんな」
「さようさよう。反省して身の程をわきまえれば、妾ぐらいにはしてやってもよいですがな」
そう言って、一斉に大笑いする。まさに、そのとき――。
音高く、扉が開いた。そこに立っていたのは唇を真一文字に引きむすんだ厳しい表情のセシリア。そして、後ろに並ぶ屈強な兵士たち。平等の国リンカーンの記章をつけた兵士たちだった。
「な、何事だ……⁉」
大臣たちもさすがにうろたえた。いくら酒に濁った鈍い頭であっても、完全武装した兵士たちが自分たちの場に飛び込んできたとなれば安穏としてはいられない。
「連れて行きなさい」
セシリアが厳しい表情のまま、振り返りもせずに兵士たちに告げた。兵士たちは獰猛な笑みを浮かべて大臣たちに近づいた。単純な重量だけならでっぷりと贅肉をつけた大臣たちの方が上だろう。だが、もちろん、その身についた筋肉量と戦闘技術、なにより、場慣れした糞度胸では勝負にならない。
その獰猛な雰囲気に呑まれ、抵抗する暇もなく腕をねじあげられ、取り押さえられていた。
「な、なんだ、なにをする⁉ 無礼であるぞ! 我らは神に選ばれた大貴族なのだぞ!」
そう叫んだのは、さすがに主席閣僚と言うべきだったろうか。
セシリアはそんな主席閣僚に対し、冷ややかに言った。
「主席閣僚。そして、大臣方。あなた方を平等の国リンカーンに引きわたします。自分たちの行いの報いを受けてきなさい」
「なんだと⁉」
「我らを売るというのか⁉」
「あなたたちの行いにふさわしい扱いをするだけです」
「馬鹿な! そんなことが許されると思うか⁉ 我らはローラシアきっての大貴族、神に選ばれた選民なのだぞ!」
「あなたたちは、なにをしました?」
「なに?」
「我が兄ルドヴィクスとアルバートは国を守るために戦い、命を落としました。わたし自身も救護班として戦場を駆けまわりました。そして、なによりも、数多くの下級貴族や平民、奴隷身分の人々、あなたたちが『下賤の輩』として蔑む多くの人々が祖国のために〝賢者〟と戦い、命を落としたのです。それなのに、あなたたちはなにもしなかった。安全な場所に逃げ出して、すべてが終わってからのこのこと出てきただけでしょう」
セシリアは一息にそう言ってからさらにつづけた。
「そも、貴族とはなにか。それは、自らを犠牲にしても人々のために尽くす魂をもった人間。その魂をもたないあなたたちは貴族ではありません! 単なる卑劣な罪人です」
セシリアは容赦なく弾劾した。これほど激しい断罪の言葉を投げかけられたのは、大貴族としての人生のなかではじめてのことだった。大臣たちはセシリアのその言葉に顔を真っ赤に染めた。
しかし、それは恥じ入ったためではない。怒りのためだ。自らを神に選ばれた選民と信じて疑わない大貴族たちである。
弾劾を弾劾として受けとり恥じ入るような、そんな殊勝さは欠片も持ち合わせてはいない。
セシリアの言葉は大臣たちにとって、許しがたい侮辱でしかなかった。恥じ入るかわりに怒りに駆られ、顔を真っ赤にして叫んだ。
「それがなんだ⁉ 我らは神に選ばれた選民だ、大貴族だ! 下賤の輩どものように汗水たらして働く必要などない! まして、戦場で戦う必要などどこにある⁉ そんなことは我々に対する当然の奉仕として、下賤の輩が行うことだ」
「ですから……」
セシリアは静かに答えた。主席閣僚の叫びに対してはもはや、怒ってみせる気にさえなれはしなかった。
「そんな役立たずは必要ないと言っているのです。そもそも、ローラシアを支えてきたのは、現場をとりしきる下級貴族や平民たちでした。それなのに、肩書きに惑わされ、あなたたち名前ばかりの貴族を頼ったのがまちがいでした。今後は身分に問わず、必要な人材を広く募集することとします。そして、そのなかから人を選び出して新しい貴族をそろえます。自分を犠牲にしてでも国民のために尽くす気概をもつ本物の貴族を」
「馬鹿な! 下賤の輩に国の運営などできるものか! なにひとつまともにはできずに泣きを見るのがオチだぞ」
「そのときは……」
セシリアは揺らぐことのない覚悟を示しながら答えた。
「わたしひとりで、すべての政務をとりしきります」
「なんだと⁉」
「わたしは覚悟を決めたのです。たとえ、ひとりであっても安心の国ラインを作りあげると。あなたたち、名前だけの貴族にはもう二度と頼らないし、期待しないと。さあ、リンカーンの兵士たち。その罪人たちを連れて行ってください」
セシリアのその言葉に――。
主席閣僚の腕をねじり上げていた兵士がニヤリと笑った。どう控えに目に言っても不吉きわまる笑顔だった。
「よう、久しぶりだな。おれのことを覚えているか?」
「な、なんだ、この無礼者め! 手を放せ! きさまなど見たこともないわ!」
「あ~、やっぱ、覚えてねえか。だが、おれはお前のことを忘れたことはないぜ。ガキの頃は散々、鞭で殴られたからな。だが、これからは、おれがお前のご主人さまだ。お前に鞭で殴られたぶん、きっちり殴り返してやるから楽しみにしとけ」
その言葉に――。
主席閣僚は声を失った。顔面を蒼白にした。空気中から突然、酸素がなくなったようにあえぎはじめた。
いや、主席閣僚だけではない。すべての大臣が同じだった。全員が、顔も名前も覚えていない。しかし、確かに過去において鞭で殴りつけてきた相手に取り押さえられて怯えている。恐怖に震えている。
元奴隷たちはニヤニヤと笑いながら、かつてのご主人さまを連行していく。引っ張り出していく。屠殺場に送られるブタも恥じらうような情けない悲鳴が響くなか、セシリアはひとり、思っていた。
――天国におられるルドヴィクス兄さま、アルバート兄さま。そしてきっと、どこかで生きていらっしゃるはずのソフィア姉さま。見ていてください。セシリアは必ず、ライン公国を再興してみせます。
怒り心頭に発したセシリアは単身――頭にきすぎて、護衛の兵をつけることさえ思いつかなかったので――大臣たちの集う会議室に飛び込んだ。
会議室、と言ってもやはり、その目的のために接収した一般家屋である。部屋と部屋を仕切る壁を取っ払い、閣僚全員が入れる大部屋にしただけの場所。
会議室にいたるまでの長い廊下もなく、扉の前を守る屈強な衛兵もいない。玄関を開ければすぐそこに丸テーブルの置かれた会議室が目に飛び込んでくる。そういう場所。
叫びと共に玄関を開けたセシリアが感じたものは、鈍い表情を浮かべてでっぷり太った体を揺らす大臣たちの姿ではなかった。ムッとするような濃密な酒の匂い。まだ子どものセシリアは思わず顔をゆがめ、後ずさってしまった。それぐらい、ワインの匂いが部屋中にプンプンしていた。
そこでようやく、大臣たちの姿が目に入った。予想通り、大臣たちは太った体の上に頬肉のだぶついた顔を乗せ、鈍い表情を浮かべていた。その目は誰が見ても酒に酔ってトロンと濁っているのが一目でわかるものだった。
そして、本来であれば会議のための資料が載せられているべき丸テーブルの上にあるのは、豪奢な銀のゴブレットと数えることもできないワインの瓶。
ワインの瓶の多くがすでに空であり、丸テーブルの上に倒れて、その口からあまった液体を垂れ流している。そのせいで、丸テーブルの上はすでにベトベト。床にさえワインの瓶が散乱し、強い匂いを放つ液体をその口からこぼしている。
その不作法で行儀の悪い姿はとてもではないが高貴にして上品たる貴族の酒宴とは思えない。がさつな海賊たちのらんちき騒ぎの場だ。
実際、ガレノアのもとで料理長を務めてきたミッキーがこの様を見れば、こう言うにちがいない。
「いやあ、懐かしい。うちの若い連中は、いつもこんな調子だからなあ」
そんな乱雑なありさまを目にとめたセシリアの心に怒りの雲がむくむくとわき起こってきた。
――いま、こうしている間にも、多くの人々が亡道の司の侵略に対抗するために戦っているというのに……。
実際、いま、このときも、プリンス配下の戦士たちは亡道に冒されたパンゲアの地で戦っているのだ。世界を、人々を、亡道の怪物たちから守るために。命を懸けて。
ならば、外の世界にとどまる人間たちのすべきことはただひとつ。
全力でその戦いを支援すること。
戦士たちが戦いに勝てるよう水と食糧、その他の補給物資を用意し、滞りなく送りとどけ、医療体制を整備し、交代要員を送れるよう新兵を鍛えあげること。
そのために、万人がそれぞれの持ち場で全力を尽くさなければならない。そうでなければ、亡道の司との戦いには決して勝てない。
――それなのに、この人たちは……。
セシリアはギュッと拳を握りしめた。悔しさのあまり、歯ぎしりした。
大公たる自分を無視して、大臣たちだけで国政に関する会議を開いた。
それは、まだいい。
許したくはないが許せる。
わずか一二歳の子供でしかない自分が信頼されるはずがないことも、おとなたちが『自分たちだけでやった方がうまくいく』と思うのも理解できる。
だから、自分が無視されたことはいい。しかし、世界と人々のために真剣に討議するならともかく、浴びるように酒を飲みながらの楽しいおしゃべりとは。
――こいつらは、いまの状況をなんだと思ってるの⁉
セシリアは貴族令嬢にあるまじき激しさで、大臣たちを心のなかでののしった。もはや、怒りを通りこして、憎しみしか感じられなくなっていた。
のっそりと。
まさに、そう表現するのがふさわしいノロノロした動きで大臣たちがセシリアを見た。もともと鈍い表情が酒に濁った目のせいでなおさら鈍く見える。
「おや、これはこれは大公殿下」
『大公殿下』という言い方も、もはや、表面を取りつくろうための表現を超えて、相手を侮辱し、傷つけるためのものとなっている。奴隷の子に対して、あえて『プリンス』と名付けるのと同じ品性の下劣さだった。
「なんのご用ですかな?」
と、酒臭い、というよりも、もはや酒そのもののような息を吐きながら主席閣僚が尋ねた。そのトロンとした目にはいかなる意味での知性も宿っているようには思えない。
ふう、と、セシリアは息をついて気を落ち着かせた。喧嘩をしにきたわけではない。大臣たちを説得して、協力を取りつけなくてはならないのだ。
「……あなたたちは、なにをしているのです?」
いくら必死に心を押さえても憎しみは消せない。思わず、感情をむき出しにした目で大臣たちをにらみながら、セシリアはまずはそれだけを言った。
「大公たるわたしを無視して自分たちだけで会議とは。しかも、真面目に討議するならともかく、酒を飲みながらとは。いったい、なんの会議なのです?」
「国政に関する会議ですとも、もちろん」
深紅のワインをなみなみとそそいだ銀のゴブレットを片手に、赤い色が見えるような息を吐きながら悪びれることなくそう答えてのけたのは、いっそあっぱれだったかも知れない。
「我々はいつでも国民のことを思っておりますでな。より良き未来のための会議は欠かせませんて」
「さようさよう。国民は我らが立派に治めてみせます。大公殿下はどうかなにもお気になさらず、お稽古事にでも没頭しておられるがよろしい」
「国民のための会議? 酒を飲みながらですか? その態度のどこが国民のためだと言うのです?」
「やれやれ。お子さまにはわからないでしょうな。おとなの会議には酒が必要なのですよ」
「さよう。酒こそ人生の潤滑油。酒なしではうまく行くものも行きません」
「さあ、酒の味もわからないお子さまには引き取っていただきましょう。おとなの話を邪魔しないでいただきたい」
大臣たちは口々に言う。
鈍い表情。
トロンとした目。
ふてぶてしい態度。
いずれをとってもセシリアの言葉や思いなど届かないし、そもそも、セシリアの存在自体を相手にする気がないことは明らかだった。
ギリッ、と、セシリアは音を立てて歯ぎしりした。爪が皮膚に食い込むほど強く、拳を握りしめた。
これがプリンスであれば、話は簡単だ。問答無用で全員を殴りたおし、泣いて謝るまでぶちのめし、腕力にものをいわせて無理やり従えている。
男殺しの〝ブレスト〟・ザイナブであれば、さらに手軽だ。無言のままに抜く手も見せずに剣が放たれ、一瞬のうちに全員の首を刎ねとばしている。
セシリアもできることならそうしてやりたいところだった。しかし、いかに相手が飲みすぎ食べ過ぎ運動不足の三重苦で、ぶよぶよの贅肉の塊となった人の姿のウシガエルであっても、大の男。それが、何人もいるのだ。わずか一二歳の少女が腕力で従えられるはずもない。
セシリアは結局、歯ぎしりしたまま一言もなく、背を向けた。そのまま、会議室をあとにした。酒の匂いに満たされた、らんちき騒ぎという名の会議室を。
その姿を見て――。
「やれやれ。あんなことでは嫁のもらい手もないなあ」
と、大臣たちは一斉に嗤ったのだった。
セシリアはトウナのもとを訪れていた。
トウナはいま、夫であるプリンスが王を務める国、平等の国リンカーンの本拠地であるイスカンダル城塞群跡にあって、タラの島改め医療都市イムホテピアの市長として、平等の国リンカーンの王妃として、そして、都市網社会の代表たるロウワンの名代として、様々な政務に取り組んでいた。
「……だいぶ、お腹が目立つようになってきましたね」
セシリアはトウナの腹部に目をやりながら言った。夫プリンスの子を宿し、ふっくらとふくらんでいるその腹を。
――おかわりになられた。
トウナを見ながら、セシリアはそう思った。
トウナといえばかつては、赤銅色に焼けた肌と引きしまった肢体をもつ野性的な少女だった。それこそ、女海賊の物語の表紙を飾れるような、そんな攻撃的な美しさをもった美少女だったのだ。
それがいまでは、腹部以外もどこか丸みを帯びたふっくらした姿にかわり、女性的な印象が強くなっている。その目も、表情も、以前のように野性的でも攻撃的でもなく、優しさが増しているように見える。
「もう半年だから」
そう答える声も落ち着き払った貫禄のあるもので、まさに『女王』と呼ぶのにふさわしいものだった。
――母親になるって、こういうことなのね。
一二歳の少女にはまだまだ遠い未来の姿を見ながら、セシリアはそう思った。
「それで、セシリア」
トウナはまるで歳のはなれた姉のようにセシリアに話しかけた。
「なんの用なの? わざわざそんなことを言うところを見ると、話しにくいことのようだけど」
「それは……」
トウナに内心を見抜かれ、セシリアは言葉を失った。それも一瞬、すぐに覚悟を決め、拳を握りしめながら答えた。
「……と言うわけなんです。このままでは大臣たちに好き勝手にされ、安心の国ラインは、単なる貴族主義の国となってしまいます」
そんなことになれば国を立ちあげた理由も失われる。亡道の司との戦いに際してまともな貢献をすることもできなくなるだろう。おそらくはそのはるか以前に、弾圧と反乱の悪循環に陥るはずだ。
なにしろ、元奴隷の身から国王に成りあがったプリンスという前例がいるのだ。労働者階級ももはや、黙って貴族に従いはしない。以前のローラシアのように支配しようとするなら実力をもって立ち向かうことだろう。自分たちの世界を作るために。
「そう」
と、トウナはセシリアの話を聞き終えたあと、静かに答えた。
その落ちつきもまた、以前のトウナからは考えられないようなものだった。
「セシリア。それは、あなたの覚悟次第でしょう」
「わたしの……覚悟?」
「そう。あなたはなぜ、安心の国ラインを作ろうと思ったのか。そのために、どれだけのことをする覚悟があるか。その覚悟を示せるかどうかの問題でしょう」
「わたしの……覚悟」
……その日も、安心の国ラインの大臣たちは大公セシリアそっちのけで会議を行っていた。相変わらず、酒の匂いのプンプンする部屋のなかで。
丸テーブルの上にワインの瓶だけではなく、幾枚かの書類があるだけまし……と言うべきだろうか。たとえ、その書類が自分たちのためだけの、贅を尽くした豪壮な邸宅の設計図だとしても。
世界の危機も、亡道の司との戦いも、かの人たちにとってはなんの興味も関心もないことだった。重要なのはただひとつ。〝賢者〟たちの狼藉によって不当にも奪われた自分たちの特権と栄華。それを回復することだけ。
一度は奪われた貴族としての暮らし。
それを、これから取り戻さなくてはならない。
それこそが、ただひとつの正義。
労働者階級の生活の安定、産業の育成、教育の拡充……そんな、政治家であれば考えて当たり前のことなど、この大貴族出身の大臣たちの頭のなかには欠片もありはしない。頭のなかにあるものはただひとつ。いかに、自分たちの特権を守るか。ただそれだけ。
それは、大臣たちにとっては疑う余地すらない完璧な真理であり、正義だった。
この世は貴族のためにある。すなわち、自分たちのためにある。貴族以外の人間はすべて、貴族に奉仕するための存在。鳥や獣が人間の食糧として神に生みだされた存在であるように、貴族である自分たちに奉仕し、役に立つために生みだされた存在。
だというのになぜ、労働者階級の生活など考えてやらなければならないのか。そんなやつらは自分たちに奉仕するために、ひたすら働いていればいい。自分の家や飲み食いのことなど考えず、ひたすら貴族に尽くし、奉仕していればいい。
それが、貴族以外のすべての人間の存在意義であり、その役割を果たすために生かされている存在ではないか。貴族に奉仕する精神をもたない非貴族の人間など、生きている価値はない!
そう信じきっている。
ただし、公平を期して言うならば、それを本人たちのみの責任にするのは酷だろう。ローラシアという国そのものがそんな価値観のなかで運営されていた国であり、大貴族の子弟として生まれたかの人たちは、生まれたときからその価値観を徹底的に叩き込まれてきたのだから。
他の何者かになる機会など、かの人たちには最初からなかったのだ。
だからと言って、かの人たちを環境の被害者として認めるべきかというと、行者あたりが皮肉な笑みを浮かべながら言うことだろう。
「環境のせいもあるけど、本人も有罪」
ともあれ、大貴族出身の大臣たちは酒に濁った目でお互いを見やりながら、話に話に花を咲かせていた。
「そういえば、あの小娘はどこかに出て行ったらしいですな」
「おお、そうらしいな。あの小娘もようやく、おのれの分をわきまえたと見える」
「そのようですな。まったく、たかだか中堅程度の貴族の出てありながら我らの上に立とうなどとは身の程知らずにもほどがある。大いに反省してもらわなくてはなりませんな」
「さようさよう。反省して身の程をわきまえれば、妾ぐらいにはしてやってもよいですがな」
そう言って、一斉に大笑いする。まさに、そのとき――。
音高く、扉が開いた。そこに立っていたのは唇を真一文字に引きむすんだ厳しい表情のセシリア。そして、後ろに並ぶ屈強な兵士たち。平等の国リンカーンの記章をつけた兵士たちだった。
「な、何事だ……⁉」
大臣たちもさすがにうろたえた。いくら酒に濁った鈍い頭であっても、完全武装した兵士たちが自分たちの場に飛び込んできたとなれば安穏としてはいられない。
「連れて行きなさい」
セシリアが厳しい表情のまま、振り返りもせずに兵士たちに告げた。兵士たちは獰猛な笑みを浮かべて大臣たちに近づいた。単純な重量だけならでっぷりと贅肉をつけた大臣たちの方が上だろう。だが、もちろん、その身についた筋肉量と戦闘技術、なにより、場慣れした糞度胸では勝負にならない。
その獰猛な雰囲気に呑まれ、抵抗する暇もなく腕をねじあげられ、取り押さえられていた。
「な、なんだ、なにをする⁉ 無礼であるぞ! 我らは神に選ばれた大貴族なのだぞ!」
そう叫んだのは、さすがに主席閣僚と言うべきだったろうか。
セシリアはそんな主席閣僚に対し、冷ややかに言った。
「主席閣僚。そして、大臣方。あなた方を平等の国リンカーンに引きわたします。自分たちの行いの報いを受けてきなさい」
「なんだと⁉」
「我らを売るというのか⁉」
「あなたたちの行いにふさわしい扱いをするだけです」
「馬鹿な! そんなことが許されると思うか⁉ 我らはローラシアきっての大貴族、神に選ばれた選民なのだぞ!」
「あなたたちは、なにをしました?」
「なに?」
「我が兄ルドヴィクスとアルバートは国を守るために戦い、命を落としました。わたし自身も救護班として戦場を駆けまわりました。そして、なによりも、数多くの下級貴族や平民、奴隷身分の人々、あなたたちが『下賤の輩』として蔑む多くの人々が祖国のために〝賢者〟と戦い、命を落としたのです。それなのに、あなたたちはなにもしなかった。安全な場所に逃げ出して、すべてが終わってからのこのこと出てきただけでしょう」
セシリアは一息にそう言ってからさらにつづけた。
「そも、貴族とはなにか。それは、自らを犠牲にしても人々のために尽くす魂をもった人間。その魂をもたないあなたたちは貴族ではありません! 単なる卑劣な罪人です」
セシリアは容赦なく弾劾した。これほど激しい断罪の言葉を投げかけられたのは、大貴族としての人生のなかではじめてのことだった。大臣たちはセシリアのその言葉に顔を真っ赤に染めた。
しかし、それは恥じ入ったためではない。怒りのためだ。自らを神に選ばれた選民と信じて疑わない大貴族たちである。
弾劾を弾劾として受けとり恥じ入るような、そんな殊勝さは欠片も持ち合わせてはいない。
セシリアの言葉は大臣たちにとって、許しがたい侮辱でしかなかった。恥じ入るかわりに怒りに駆られ、顔を真っ赤にして叫んだ。
「それがなんだ⁉ 我らは神に選ばれた選民だ、大貴族だ! 下賤の輩どものように汗水たらして働く必要などない! まして、戦場で戦う必要などどこにある⁉ そんなことは我々に対する当然の奉仕として、下賤の輩が行うことだ」
「ですから……」
セシリアは静かに答えた。主席閣僚の叫びに対してはもはや、怒ってみせる気にさえなれはしなかった。
「そんな役立たずは必要ないと言っているのです。そもそも、ローラシアを支えてきたのは、現場をとりしきる下級貴族や平民たちでした。それなのに、肩書きに惑わされ、あなたたち名前ばかりの貴族を頼ったのがまちがいでした。今後は身分に問わず、必要な人材を広く募集することとします。そして、そのなかから人を選び出して新しい貴族をそろえます。自分を犠牲にしてでも国民のために尽くす気概をもつ本物の貴族を」
「馬鹿な! 下賤の輩に国の運営などできるものか! なにひとつまともにはできずに泣きを見るのがオチだぞ」
「そのときは……」
セシリアは揺らぐことのない覚悟を示しながら答えた。
「わたしひとりで、すべての政務をとりしきります」
「なんだと⁉」
「わたしは覚悟を決めたのです。たとえ、ひとりであっても安心の国ラインを作りあげると。あなたたち、名前だけの貴族にはもう二度と頼らないし、期待しないと。さあ、リンカーンの兵士たち。その罪人たちを連れて行ってください」
セシリアのその言葉に――。
主席閣僚の腕をねじり上げていた兵士がニヤリと笑った。どう控えに目に言っても不吉きわまる笑顔だった。
「よう、久しぶりだな。おれのことを覚えているか?」
「な、なんだ、この無礼者め! 手を放せ! きさまなど見たこともないわ!」
「あ~、やっぱ、覚えてねえか。だが、おれはお前のことを忘れたことはないぜ。ガキの頃は散々、鞭で殴られたからな。だが、これからは、おれがお前のご主人さまだ。お前に鞭で殴られたぶん、きっちり殴り返してやるから楽しみにしとけ」
その言葉に――。
主席閣僚は声を失った。顔面を蒼白にした。空気中から突然、酸素がなくなったようにあえぎはじめた。
いや、主席閣僚だけではない。すべての大臣が同じだった。全員が、顔も名前も覚えていない。しかし、確かに過去において鞭で殴りつけてきた相手に取り押さえられて怯えている。恐怖に震えている。
元奴隷たちはニヤニヤと笑いながら、かつてのご主人さまを連行していく。引っ張り出していく。屠殺場に送られるブタも恥じらうような情けない悲鳴が響くなか、セシリアはひとり、思っていた。
――天国におられるルドヴィクス兄さま、アルバート兄さま。そしてきっと、どこかで生きていらっしゃるはずのソフィア姉さま。見ていてください。セシリアは必ず、ライン公国を再興してみせます。
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