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第二部 絆ぐ伝説
第九話六章 千年の過去より来る
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海が噴火。
まさに、そう言うしかない勢いで海面が盛りあがり、跳ねあがった。
津波というのも生温い巨大な波が起こり、海水の壁となって船の四方に立ちのぼり、視界を遮る巨大な結界となった。
頂点に達した波がそこで一瞬、動きをとめ、弧を描いて船の甲板めがけて降りそそぐ。世界のどんな滝よりも高く、激しい水流となって襲いかかる。
降りかかる水滴はまるで砲丸。無数の鉄の玉を力いっぱい投げつけられているかのよう。大きく、重く、体にぶつかるつど筋肉がきしみ、骨が折れるのではないかとの衝撃を受ける。
そのなかでさらに、轟音を立てて何本もの海水の柱が立ちのぼった。
まるで、海の底から海水そのものを凝縮して作りあげた砲弾を天を目指して発射したかのよう。螺旋を描いた波の柱が何本もなんぼんも打ちあげられては頂点に達してくずれ、四散して、飛び散っていく。
その様はまさに、灼熱の溶岩を吐き出しながら無数の岩石を撃ち出す、怒れる火山そのものだった。
それなのに――。
それほどの波にさらされながらマークスの幽霊船は揺らぐことはなかった。波に打ちあげられ、噴きあげられることもなかった。
それどころか、波の動きに逆らって海のなかへと吸いよせられている。まるで、見えざる巨大な悪魔の手がガッシリと船をつかみ、海底深くに引きずり込もうとしているかのように。
「な、なんだ、なんなんだ、これは なんでいきなり、こんなことになるんだ⁉」
ロウワンは、突如として巨大洪水に襲われた甲板の上で叫んだ。そうすることしかできなかった。船はグイグイと海中へと引っ張られ、甲板の上では膨大な量の海水がごうごうと音を立てて荒れくるう。少しでも気を抜けばたちまちのうちに水に呑まれ、海へと投げ出されてしまう。
ロウワンは必死に甲板につかまり、水の流れに耐えていた。幸い、と言うべきか、幽霊船の甲板は穴だらけ。その穴に手をかけ、足を引っかけ、どうにか水の流れに抵抗している。しかし、真上から振りそそぐ水の量と勢い、そして、その重さときたら……。
ロウワンは騎士マークスの船長服に守られている分、まだ我慢できる。しかし、そんな加護のないメリッサは……。
――くそっ! メリッサを守らなきゃ!
ロウワンは必死にメリッサに近づこうとした。その上に覆い被さり、守ろうとした。そのメリッサもまた、甲板の穴縁を必死に手でつかみ、巨大な水の流れになんとか耐えている。
「メリッサ、いま行く! もう少し……」
耐えて!
そう叫ぶロウワンに向かい、メリッサは決死の表情を向けた。それはしかし、助けを求める表情ではなかった。
「ロウワン!」
顔中を水の流れに殴られながら、メリッサは必死に声をあげた。
「海のなか……なにか、途方もない力をもったものがいる……!」
「海のなか? 海のなかにいったい、なにが?」
「わからない……。でも、すごい力。それにこれは、なに? 思い? 感情? なんで、そんなものが……」
「喋らないで! いま行くから、つかまっていることだけに集中して……」
ロウワンがそう言ったときだ。身にまとった船長服を通じて騎士マークスの思いが伝わってきた。
「な、なんだ、これは? マークスが必死になっている。力を振りしぼっている。力の限り、逃れようとしている。これは……この感情は怖れ? 怖れるあまり、逃げ出そうとしている?」
かつて、人類とこの世界とを守り抜いた英雄マークス。
そのマークスがこれほどまでに怖れ、逃げ出そうとするなんて。いったい、なにが起こってるんだ⁉
ロウワンはほとんど怒りに駆られて心のなかでそう叫んだ。
その間にも海は荒れつづける。津波よりも巨大な波が立ち、海水の柱が何本となく立ちのぼる。その一方で海に潜む謎の力は船をガッシリとつかみ、すさまじい力で海中に引きずり込もうとする。騎士マークスの魂がその力に対抗し、逃れようとする。ふたつの力にはさまれ、船体が真っ二つに引き裂かれるかと思うほどだった。
噴きあがった海水が重力に引かれて落下し、甲板に叩きつけられてあり得ない洪水を引き起こす。
空は晴れているのに。
太陽が輝いているのに。
海鳥たちが飛んでいるのに。
風もないのに。
それなのに、船の上で想像もできないほどの洪水にさらされている。
まさに、『あるはずのない』状況だった。
甲板に降りかかった海水が穴という穴から船体に入り込み、船体の横に開いた穴から鉄砲水の勢いで吹き出していく。
普通の船ならば、降りそそぐ水の勢いにとっくにバラバラになり、海のモクズとなっていた。たとえ、ほんの一日あとに、一〇〇万の目で探してみたところで破片ひとつ見つからないほどに粉々にされていたことだろう。
しかし、この船は騎士マークスの魂が宿った文字通りの幽霊船。騎士の魂の宿った船体はその見た目からは想像もできない堅牢さを発揮して水の勢いに耐えている。抵抗している。
しかし、苦しい。船体がギシギシと悲鳴をあげている。そのなかで、船を海中に引きずり込もうとする力はますます強まる。それに対して騎士マークスの魂も必死にその力を振りほどき、逃れようとしている。ふたつの力の巨大な綱引き。敗れれば、命どころか魂までも消え失せる。そんな戦い。
ひときわ巨大な水塊が甲板を直撃した。いままでに二倍する高さの洪水が甲板の上を荒れくるった。
「あっ……!」
メリッサの握力がついに限界に達した。必死に甲板の穴縁をつかんでいた指が一本残らずはがされ、水に呑まれ、海のなかへと引きずり込まれようとした。
「メリッサ!」
間一髪、ロウワンの伸ばした腕がメリッサの手をつかんだ。全力でその手を握りしめ、水の流れに耐えてメリッサの身をひきとどめる。もう片方の手で穴縁をつかみ、両足を穴に引っかけ、なんとかメリッサを引っ張りあげようと全力を振りしぼる。
「ロウワン、手を放して! あなたまで流されてしまう……!」
「馬鹿を言うな! おれはあなたを守る!」
「ロウワン……」
荒れくるう波に顔面を殴りつけられながらそれでもなお、ロウワンは必死の形相でメリッサの身を引っ張りつづけた。メリッサの身に覆い被さり、荒れくるう水の流れからメリッサをかばった。水に流れさないよう必死につかまりながらどうにか船長服を脱ぎ、メリッサにかぶせた。
「これを着て。この船長服を着ていれば騎士マークスの魂が守ってくれる」
「ロウワン……」
ロウワンは〝鬼〟の大刀をつかみ、杖のように甲板に突き立てて立ちあがった。その表情はまさに鬼。そう呼ぶにふさわしい覚悟に満ちていた。
「メリッサ。この異変を引き起こしている力は海のなかにいる。そう言ったな?」
「え、ええ……」
「ならば……!」
ロウワンは〝鬼〟の大刀を振りかざした。渾身の叫びと共に切っ先に甲板を突き立てた。
「〝鬼〟の大刀。お前には〝鬼〟の力が込められている。この世で最強の存在の力が。お前に断てない力などない。海のなかの力を断ちきれ!」
叫びと共に――。
甲板に突き立てられた大刀から力があふれ出した。この世のいかなる力にも勝る力。〝鬼〟の力が。
力がふくれあがり、船を包み、海中へと突き込まれる。
斬った!
音もしない。
手応えもない。
それでも、ロウワンはたしかに、大刀の放った力が海中に潜む力を断ちきったことを感じていた。
嘘のように。
そんな言葉の見本のように、突如として海は穏やかさを取り戻した。もはや、津波より巨大な波も、立ちのぼる水の柱もありはしない。
空は青く晴れわたり、太陽は輝き、水鳥たちが舞う。心地よい風が吹き、海は静かに波を立てる。そんな、心地よい船旅が戻ってきていた。
マークスの幽霊船はロウワンとメリッサのふたりを乗せたまま再び、力強く海を渡りはじめた。
マークスの幽霊船が海を進むなか――。
海のなかから巨大な陰が浮かびあがった。
クジラよりもなお巨大な姿。
ドレッドヘアのように絡まりあった体毛。
毛という毛にビッシリとついたフジツボ。
体毛の隙間から見える小さな瞳。
万の子を宿せし海の雌牛。
その名で知られる伝説の海の怪物。
その額からはドクドクと血が流れだし、あたり一面を深紅の水にかえていた。
――マークス。
――マークス。
海の雌牛の全身からその思念派が漏れ出している。
それは、限りない憎悪。
千年の時を超えてつむがれつづける憎しみの言葉だった。
まさに、そう言うしかない勢いで海面が盛りあがり、跳ねあがった。
津波というのも生温い巨大な波が起こり、海水の壁となって船の四方に立ちのぼり、視界を遮る巨大な結界となった。
頂点に達した波がそこで一瞬、動きをとめ、弧を描いて船の甲板めがけて降りそそぐ。世界のどんな滝よりも高く、激しい水流となって襲いかかる。
降りかかる水滴はまるで砲丸。無数の鉄の玉を力いっぱい投げつけられているかのよう。大きく、重く、体にぶつかるつど筋肉がきしみ、骨が折れるのではないかとの衝撃を受ける。
そのなかでさらに、轟音を立てて何本もの海水の柱が立ちのぼった。
まるで、海の底から海水そのものを凝縮して作りあげた砲弾を天を目指して発射したかのよう。螺旋を描いた波の柱が何本もなんぼんも打ちあげられては頂点に達してくずれ、四散して、飛び散っていく。
その様はまさに、灼熱の溶岩を吐き出しながら無数の岩石を撃ち出す、怒れる火山そのものだった。
それなのに――。
それほどの波にさらされながらマークスの幽霊船は揺らぐことはなかった。波に打ちあげられ、噴きあげられることもなかった。
それどころか、波の動きに逆らって海のなかへと吸いよせられている。まるで、見えざる巨大な悪魔の手がガッシリと船をつかみ、海底深くに引きずり込もうとしているかのように。
「な、なんだ、なんなんだ、これは なんでいきなり、こんなことになるんだ⁉」
ロウワンは、突如として巨大洪水に襲われた甲板の上で叫んだ。そうすることしかできなかった。船はグイグイと海中へと引っ張られ、甲板の上では膨大な量の海水がごうごうと音を立てて荒れくるう。少しでも気を抜けばたちまちのうちに水に呑まれ、海へと投げ出されてしまう。
ロウワンは必死に甲板につかまり、水の流れに耐えていた。幸い、と言うべきか、幽霊船の甲板は穴だらけ。その穴に手をかけ、足を引っかけ、どうにか水の流れに抵抗している。しかし、真上から振りそそぐ水の量と勢い、そして、その重さときたら……。
ロウワンは騎士マークスの船長服に守られている分、まだ我慢できる。しかし、そんな加護のないメリッサは……。
――くそっ! メリッサを守らなきゃ!
ロウワンは必死にメリッサに近づこうとした。その上に覆い被さり、守ろうとした。そのメリッサもまた、甲板の穴縁を必死に手でつかみ、巨大な水の流れになんとか耐えている。
「メリッサ、いま行く! もう少し……」
耐えて!
そう叫ぶロウワンに向かい、メリッサは決死の表情を向けた。それはしかし、助けを求める表情ではなかった。
「ロウワン!」
顔中を水の流れに殴られながら、メリッサは必死に声をあげた。
「海のなか……なにか、途方もない力をもったものがいる……!」
「海のなか? 海のなかにいったい、なにが?」
「わからない……。でも、すごい力。それにこれは、なに? 思い? 感情? なんで、そんなものが……」
「喋らないで! いま行くから、つかまっていることだけに集中して……」
ロウワンがそう言ったときだ。身にまとった船長服を通じて騎士マークスの思いが伝わってきた。
「な、なんだ、これは? マークスが必死になっている。力を振りしぼっている。力の限り、逃れようとしている。これは……この感情は怖れ? 怖れるあまり、逃げ出そうとしている?」
かつて、人類とこの世界とを守り抜いた英雄マークス。
そのマークスがこれほどまでに怖れ、逃げ出そうとするなんて。いったい、なにが起こってるんだ⁉
ロウワンはほとんど怒りに駆られて心のなかでそう叫んだ。
その間にも海は荒れつづける。津波よりも巨大な波が立ち、海水の柱が何本となく立ちのぼる。その一方で海に潜む謎の力は船をガッシリとつかみ、すさまじい力で海中に引きずり込もうとする。騎士マークスの魂がその力に対抗し、逃れようとする。ふたつの力にはさまれ、船体が真っ二つに引き裂かれるかと思うほどだった。
噴きあがった海水が重力に引かれて落下し、甲板に叩きつけられてあり得ない洪水を引き起こす。
空は晴れているのに。
太陽が輝いているのに。
海鳥たちが飛んでいるのに。
風もないのに。
それなのに、船の上で想像もできないほどの洪水にさらされている。
まさに、『あるはずのない』状況だった。
甲板に降りかかった海水が穴という穴から船体に入り込み、船体の横に開いた穴から鉄砲水の勢いで吹き出していく。
普通の船ならば、降りそそぐ水の勢いにとっくにバラバラになり、海のモクズとなっていた。たとえ、ほんの一日あとに、一〇〇万の目で探してみたところで破片ひとつ見つからないほどに粉々にされていたことだろう。
しかし、この船は騎士マークスの魂が宿った文字通りの幽霊船。騎士の魂の宿った船体はその見た目からは想像もできない堅牢さを発揮して水の勢いに耐えている。抵抗している。
しかし、苦しい。船体がギシギシと悲鳴をあげている。そのなかで、船を海中に引きずり込もうとする力はますます強まる。それに対して騎士マークスの魂も必死にその力を振りほどき、逃れようとしている。ふたつの力の巨大な綱引き。敗れれば、命どころか魂までも消え失せる。そんな戦い。
ひときわ巨大な水塊が甲板を直撃した。いままでに二倍する高さの洪水が甲板の上を荒れくるった。
「あっ……!」
メリッサの握力がついに限界に達した。必死に甲板の穴縁をつかんでいた指が一本残らずはがされ、水に呑まれ、海のなかへと引きずり込まれようとした。
「メリッサ!」
間一髪、ロウワンの伸ばした腕がメリッサの手をつかんだ。全力でその手を握りしめ、水の流れに耐えてメリッサの身をひきとどめる。もう片方の手で穴縁をつかみ、両足を穴に引っかけ、なんとかメリッサを引っ張りあげようと全力を振りしぼる。
「ロウワン、手を放して! あなたまで流されてしまう……!」
「馬鹿を言うな! おれはあなたを守る!」
「ロウワン……」
荒れくるう波に顔面を殴りつけられながらそれでもなお、ロウワンは必死の形相でメリッサの身を引っ張りつづけた。メリッサの身に覆い被さり、荒れくるう水の流れからメリッサをかばった。水に流れさないよう必死につかまりながらどうにか船長服を脱ぎ、メリッサにかぶせた。
「これを着て。この船長服を着ていれば騎士マークスの魂が守ってくれる」
「ロウワン……」
ロウワンは〝鬼〟の大刀をつかみ、杖のように甲板に突き立てて立ちあがった。その表情はまさに鬼。そう呼ぶにふさわしい覚悟に満ちていた。
「メリッサ。この異変を引き起こしている力は海のなかにいる。そう言ったな?」
「え、ええ……」
「ならば……!」
ロウワンは〝鬼〟の大刀を振りかざした。渾身の叫びと共に切っ先に甲板を突き立てた。
「〝鬼〟の大刀。お前には〝鬼〟の力が込められている。この世で最強の存在の力が。お前に断てない力などない。海のなかの力を断ちきれ!」
叫びと共に――。
甲板に突き立てられた大刀から力があふれ出した。この世のいかなる力にも勝る力。〝鬼〟の力が。
力がふくれあがり、船を包み、海中へと突き込まれる。
斬った!
音もしない。
手応えもない。
それでも、ロウワンはたしかに、大刀の放った力が海中に潜む力を断ちきったことを感じていた。
嘘のように。
そんな言葉の見本のように、突如として海は穏やかさを取り戻した。もはや、津波より巨大な波も、立ちのぼる水の柱もありはしない。
空は青く晴れわたり、太陽は輝き、水鳥たちが舞う。心地よい風が吹き、海は静かに波を立てる。そんな、心地よい船旅が戻ってきていた。
マークスの幽霊船はロウワンとメリッサのふたりを乗せたまま再び、力強く海を渡りはじめた。
マークスの幽霊船が海を進むなか――。
海のなかから巨大な陰が浮かびあがった。
クジラよりもなお巨大な姿。
ドレッドヘアのように絡まりあった体毛。
毛という毛にビッシリとついたフジツボ。
体毛の隙間から見える小さな瞳。
万の子を宿せし海の雌牛。
その名で知られる伝説の海の怪物。
その額からはドクドクと血が流れだし、あたり一面を深紅の水にかえていた。
――マークス。
――マークス。
海の雌牛の全身からその思念派が漏れ出している。
それは、限りない憎悪。
千年の時を超えてつむがれつづける憎しみの言葉だった。
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