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第三部 終わりの伝説
九章 我らが誤算
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わしは勇者マークスⅢと決戦兵の後を追い、城へと突入した。亡道の世界が侵入してくる唯一の空間である大広間へと。そこで見たものは――。
――おおっ。
わしは思わず声をあげていた。
大広間で見たもの。
それは、巨大な空間を埋め尽くす何百、何千という数の亡道の司たちじゃった。
――なんと言うことじゃ。ほんのわずかばかり天命の巫女さまの曲の力を弱めただけで、これほどの数の亡道の司が誕生するとは。
――説明しよう、マークスⅡ。
――ゼッヴォーカーの導師。
――亡道の世界とは本来、天命の世界そのものを包み込んで存在するもの。その巨大さを思えばこの場にいる亡道の司などほんの一切れに過ぎん。
――たしかに。
わしはうなずいた。
それは例えて言えば水に浮かぶスポンジのようなもの。水は徐々にスポンジに染み込み、ついにはスポンジ全体を水で満たしてしまう。そして、スポンジなのか、水の塊なのかわからない状態へとかえてしまう。
そして、亡道の司とはスポンジに染み込む水の一滴いってきのようなもの。本来であれば、この世界すべてを埋め尽くす亡道の司が誕生する。それを思えばたしかに、いくら広大とは言えしょせん、城のなかの一室に入りきる程度の数。ほんのわずかにちがいない。それでも――。
――もし、過去二回の戦いのときにこれほどの数の亡道の司が現れていれば、どれほど力を尽くしても勝利するなど出来ませんでしたな。
――説明しよう、マークスⅡ。まさに、その通りだ。
もちろん、わしの言っていることは正確ではない。人類と世界を滅ぼすのにこれほどの数の亡道の司など必要なかった。ほんの二、三人。たったそれだけの亡道の司がいれば、人類は為す術なく滅びていた。
それを防いできたのが天命の巫女さまの奏でる天命の曲。この曲が水をはじく幕となってスポンジを覆うことで、ただ一滴の水しか染み込まないようにしておる。
それが、いまの世界のありさま。
だからこそ、騎士マークスも、わしも、ただひとりの亡道の司を相手にすればよかった。だからこそ、亡道の世界を退け、勝利することが出来た。
そして、だからこそ天命の巫女さまは一時も休むことなく天命の曲を奏でつづけることができるよう、自らを自動人形にかえなければならなかった。一瞬でも曲が途切れればその途端、スポンジのいたるところから水が染み込み、たちまちのうちにスポンジは水に浸されてしまうから。
――ゼッヴォーカーの導師よ。私はいま改めて天命の巫女さまの偉大さを感じております。二千年もの長きにわたり、これほどの影響から天命の世界を守りつづけてきたとは。
――説明しよう、マークスⅡ。私もまったくの同感だ。
――しかし、もういい。天命の巫女さまはもう充分すぎるほどその役割を果たしてくださった。もう解放されてよい頃だ。なんとしてもこの場で戦いを終わらせ、人間に戻っていただく。
わしは決意を込めてそう宣言した。
そのわしと同じ思いをマークスⅢも抱いたのだろう。相棒であるダンテのリョキの背中にまたがり、混沌の邪剣である鬼骨を手にしたまま亡道の司に向かって叫んだ。
「亡道の司、いや、亡道の世界よ! 今度こそお前たちとの戦いを終わらせる! お前たちすべてを殺しつくし、もう二度と亡道の司が現れない世界を作る!」
――愚かな。亡道の司に死があると思うか。亡道の世界に生もなく、死もなく、すなわち……。
「しゃあああっ!」
マークスⅢの裂帛の気合いが響いた。リョキが巨大な翼をはためかせて亡道の司の群れに飛び込み、マークスⅢが鬼骨をふるった。その一振りが一体の亡道の司を斬り裂いた。そして――。
亡道の司はそのまま消え去った。
渦に巻き込まれた紙切れのように千々に千切れ、溶け去り、空間に呑まれて消えていく。
――おおっ。
亡道の司たちの間にざわめきが起きた。
「亡道に生も死もなく、亡道の司を殺すことなどできん、か。そんな台詞……もう聞き飽きた!」
「へへっ。そう言うこったぜ。おれたちはもうお前たちを殺す力を手に入れた。今回はいままでみてえにはいかねえんだよ!」
マークスⅢの叫びにリョキもつづいた。
マークスⅢは鬼骨を高々と掲げて叫んだ。
「決戦兵、突撃せよ! 亡道の司どもを力場で押し包め!」
その叫びに――。
決戦兵たちが一斉に走り出す。亡道の司目がけて突撃する。その手にもつ槍はもちろん、単なる槍などではない。『もうひとつの輝き』の学士たちが作りあげた、亡道を中和する力場を発生させる機械の槍。
その機械の槍の生み出す力場によって亡道の司を押し包み、無力化する。それが、決戦兵たちの役割。
亡道の司たちもまた力を振るう。亡道の力を炎に、雷撃に、大洪水にかえて決戦兵たちを迎え撃つ。しかし、決戦兵たちは怯まない、怯えない、退かない。力場を発生させる機械の槍を掲げて一歩いっぽゆっくりと、それでもたしかに前進し、亡道の司たちを一カ所に封じ込めていく。
「ふははははっ! 見たか、効いた、驚いたか! これが我らが科学の力だ、恐れおののき、ひれ伏せいっ!」
この様を例の『もうひとつの輝き』の学士が見ていればきっと、そう高笑いしたことだろう。あいにく、例の学士は船に残って音叉を操作しているのでこの場にはいない。その声を聞くことは出来ない。友だちになりたい相手ではないが――。
その姿を見られないのは、いささかさびしい。
この機械の槍によって亡道の司を倒せるわけではない。倒せるわけではないがしかし、亡道の司の攻撃を中和し、打ち消し、無力化することは出来る。そして――。
無力化された亡道の司にとどめを刺すのは勇者マークスⅢ。
この世でただひとつ、亡道の司を殺す力をもつ混沌の邪剣、鬼骨の持ち主。
リョキが巨大な翼を羽ばたかせて亡道の司たちの間を飛び交い、マークスⅢが鬼骨を振るう。鬼骨に斬り裂かれた亡道の司たちは声ひとつなく千々に千切れて空間のなかに溶けて、消えて、なくなっていく。
その威力には作り手であるわし自身、感嘆の声をあげずにはいられなかった。
――おお、なんと言うことだ。あの亡道の司をいともたやすく。これほどの威力とは、わし自身、思いもよらなかった。
――説明しよう、マークスⅡ。現実は理論を凌ぐものだ。
「へっ、思い知ったか、亡道野郎!」
リョキが自慢の翼を羽ばたかせて、空間へと消え去る亡道の司の残渣を吹き飛ばしながら叫んだ。
「おれたちはかわる、かわりつづける、常に成長するんだよ! いつまでも同じままのお前らなんぞ相手になるかよ!」
「その通りだ。お前たちは自らは永遠だと自慢する。しかし、それは停滞でしかない。我らはたしかに死ぬ。死んでいなくなる。だが、死ぬからこそ次の世代に望みを託し、永遠の成長を遂げる! 人間の凄さはかわれる凄さ。かわることなきお前たちが、いつまでも我らの相手になるか!」
――ふふ。言うではないか、人間よ。だが、それで我々に勝ったつもりか?
「なに⁉」
――これは⁉
わしは目を見張った。
亡道の司たちのさらに奥、亡道の世界と唯一、つながる場所であるその空間から新しい霧のようなものが現れはじめていた。その霧はたちまち広がり、決戦兵たちを呑み込んだ。はじめて――。
決戦兵たちが怯む色を見せた。
悲鳴にも似た叫びが響いた。
「マークスⅢ! この霧は我々の力場では中和できません!」
「なんだと⁉」
――マークスⅢ、聞こえるか、マークスⅢ!
突然、騎士マークスの思念が飛び込んできた。かの人らしくもなく慌てふためき、追い詰められた思念じゃった。
――そちらでなにがあった⁉ 突然、新しい亡道のものたちが現れはじめた。いままでに見たことのないものたちだ。こちらの力がまったく効かない!
「なんですって⁉」
――こちら、『もうひとつの輝き』、『もうひとつの輝き』! 騎士マークスの力を借りて連絡している!
例の学士の叫びが届いた。騎士マークス以上に慌てふためき、困惑している声じゃった。
――どういうことだ⁉ この新しい亡道のものたちには我らの力がまったく効かない! 中和できない、弱らせることすら出来ない! このままでは全員、やられるぞ!
「なっ……!」
さしものマークスⅢが声を失った。その眼前であふれ出した霧がひとつになり、人の姿に凝縮していく。
おおっ。
わしは思わず声をあげた。
そこに現れたもの。それは――。
金属の鎧に身を包んだ新しき亡道の司。
――おおっ。
わしは思わず声をあげていた。
大広間で見たもの。
それは、巨大な空間を埋め尽くす何百、何千という数の亡道の司たちじゃった。
――なんと言うことじゃ。ほんのわずかばかり天命の巫女さまの曲の力を弱めただけで、これほどの数の亡道の司が誕生するとは。
――説明しよう、マークスⅡ。
――ゼッヴォーカーの導師。
――亡道の世界とは本来、天命の世界そのものを包み込んで存在するもの。その巨大さを思えばこの場にいる亡道の司などほんの一切れに過ぎん。
――たしかに。
わしはうなずいた。
それは例えて言えば水に浮かぶスポンジのようなもの。水は徐々にスポンジに染み込み、ついにはスポンジ全体を水で満たしてしまう。そして、スポンジなのか、水の塊なのかわからない状態へとかえてしまう。
そして、亡道の司とはスポンジに染み込む水の一滴いってきのようなもの。本来であれば、この世界すべてを埋め尽くす亡道の司が誕生する。それを思えばたしかに、いくら広大とは言えしょせん、城のなかの一室に入りきる程度の数。ほんのわずかにちがいない。それでも――。
――もし、過去二回の戦いのときにこれほどの数の亡道の司が現れていれば、どれほど力を尽くしても勝利するなど出来ませんでしたな。
――説明しよう、マークスⅡ。まさに、その通りだ。
もちろん、わしの言っていることは正確ではない。人類と世界を滅ぼすのにこれほどの数の亡道の司など必要なかった。ほんの二、三人。たったそれだけの亡道の司がいれば、人類は為す術なく滅びていた。
それを防いできたのが天命の巫女さまの奏でる天命の曲。この曲が水をはじく幕となってスポンジを覆うことで、ただ一滴の水しか染み込まないようにしておる。
それが、いまの世界のありさま。
だからこそ、騎士マークスも、わしも、ただひとりの亡道の司を相手にすればよかった。だからこそ、亡道の世界を退け、勝利することが出来た。
そして、だからこそ天命の巫女さまは一時も休むことなく天命の曲を奏でつづけることができるよう、自らを自動人形にかえなければならなかった。一瞬でも曲が途切れればその途端、スポンジのいたるところから水が染み込み、たちまちのうちにスポンジは水に浸されてしまうから。
――ゼッヴォーカーの導師よ。私はいま改めて天命の巫女さまの偉大さを感じております。二千年もの長きにわたり、これほどの影響から天命の世界を守りつづけてきたとは。
――説明しよう、マークスⅡ。私もまったくの同感だ。
――しかし、もういい。天命の巫女さまはもう充分すぎるほどその役割を果たしてくださった。もう解放されてよい頃だ。なんとしてもこの場で戦いを終わらせ、人間に戻っていただく。
わしは決意を込めてそう宣言した。
そのわしと同じ思いをマークスⅢも抱いたのだろう。相棒であるダンテのリョキの背中にまたがり、混沌の邪剣である鬼骨を手にしたまま亡道の司に向かって叫んだ。
「亡道の司、いや、亡道の世界よ! 今度こそお前たちとの戦いを終わらせる! お前たちすべてを殺しつくし、もう二度と亡道の司が現れない世界を作る!」
――愚かな。亡道の司に死があると思うか。亡道の世界に生もなく、死もなく、すなわち……。
「しゃあああっ!」
マークスⅢの裂帛の気合いが響いた。リョキが巨大な翼をはためかせて亡道の司の群れに飛び込み、マークスⅢが鬼骨をふるった。その一振りが一体の亡道の司を斬り裂いた。そして――。
亡道の司はそのまま消え去った。
渦に巻き込まれた紙切れのように千々に千切れ、溶け去り、空間に呑まれて消えていく。
――おおっ。
亡道の司たちの間にざわめきが起きた。
「亡道に生も死もなく、亡道の司を殺すことなどできん、か。そんな台詞……もう聞き飽きた!」
「へへっ。そう言うこったぜ。おれたちはもうお前たちを殺す力を手に入れた。今回はいままでみてえにはいかねえんだよ!」
マークスⅢの叫びにリョキもつづいた。
マークスⅢは鬼骨を高々と掲げて叫んだ。
「決戦兵、突撃せよ! 亡道の司どもを力場で押し包め!」
その叫びに――。
決戦兵たちが一斉に走り出す。亡道の司目がけて突撃する。その手にもつ槍はもちろん、単なる槍などではない。『もうひとつの輝き』の学士たちが作りあげた、亡道を中和する力場を発生させる機械の槍。
その機械の槍の生み出す力場によって亡道の司を押し包み、無力化する。それが、決戦兵たちの役割。
亡道の司たちもまた力を振るう。亡道の力を炎に、雷撃に、大洪水にかえて決戦兵たちを迎え撃つ。しかし、決戦兵たちは怯まない、怯えない、退かない。力場を発生させる機械の槍を掲げて一歩いっぽゆっくりと、それでもたしかに前進し、亡道の司たちを一カ所に封じ込めていく。
「ふははははっ! 見たか、効いた、驚いたか! これが我らが科学の力だ、恐れおののき、ひれ伏せいっ!」
この様を例の『もうひとつの輝き』の学士が見ていればきっと、そう高笑いしたことだろう。あいにく、例の学士は船に残って音叉を操作しているのでこの場にはいない。その声を聞くことは出来ない。友だちになりたい相手ではないが――。
その姿を見られないのは、いささかさびしい。
この機械の槍によって亡道の司を倒せるわけではない。倒せるわけではないがしかし、亡道の司の攻撃を中和し、打ち消し、無力化することは出来る。そして――。
無力化された亡道の司にとどめを刺すのは勇者マークスⅢ。
この世でただひとつ、亡道の司を殺す力をもつ混沌の邪剣、鬼骨の持ち主。
リョキが巨大な翼を羽ばたかせて亡道の司たちの間を飛び交い、マークスⅢが鬼骨を振るう。鬼骨に斬り裂かれた亡道の司たちは声ひとつなく千々に千切れて空間のなかに溶けて、消えて、なくなっていく。
その威力には作り手であるわし自身、感嘆の声をあげずにはいられなかった。
――おお、なんと言うことだ。あの亡道の司をいともたやすく。これほどの威力とは、わし自身、思いもよらなかった。
――説明しよう、マークスⅡ。現実は理論を凌ぐものだ。
「へっ、思い知ったか、亡道野郎!」
リョキが自慢の翼を羽ばたかせて、空間へと消え去る亡道の司の残渣を吹き飛ばしながら叫んだ。
「おれたちはかわる、かわりつづける、常に成長するんだよ! いつまでも同じままのお前らなんぞ相手になるかよ!」
「その通りだ。お前たちは自らは永遠だと自慢する。しかし、それは停滞でしかない。我らはたしかに死ぬ。死んでいなくなる。だが、死ぬからこそ次の世代に望みを託し、永遠の成長を遂げる! 人間の凄さはかわれる凄さ。かわることなきお前たちが、いつまでも我らの相手になるか!」
――ふふ。言うではないか、人間よ。だが、それで我々に勝ったつもりか?
「なに⁉」
――これは⁉
わしは目を見張った。
亡道の司たちのさらに奥、亡道の世界と唯一、つながる場所であるその空間から新しい霧のようなものが現れはじめていた。その霧はたちまち広がり、決戦兵たちを呑み込んだ。はじめて――。
決戦兵たちが怯む色を見せた。
悲鳴にも似た叫びが響いた。
「マークスⅢ! この霧は我々の力場では中和できません!」
「なんだと⁉」
――マークスⅢ、聞こえるか、マークスⅢ!
突然、騎士マークスの思念が飛び込んできた。かの人らしくもなく慌てふためき、追い詰められた思念じゃった。
――そちらでなにがあった⁉ 突然、新しい亡道のものたちが現れはじめた。いままでに見たことのないものたちだ。こちらの力がまったく効かない!
「なんですって⁉」
――こちら、『もうひとつの輝き』、『もうひとつの輝き』! 騎士マークスの力を借りて連絡している!
例の学士の叫びが届いた。騎士マークス以上に慌てふためき、困惑している声じゃった。
――どういうことだ⁉ この新しい亡道のものたちには我らの力がまったく効かない! 中和できない、弱らせることすら出来ない! このままでは全員、やられるぞ!
「なっ……!」
さしものマークスⅢが声を失った。その眼前であふれ出した霧がひとつになり、人の姿に凝縮していく。
おおっ。
わしは思わず声をあげた。
そこに現れたもの。それは――。
金属の鎧に身を包んだ新しき亡道の司。
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