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第一部 はじまりの伝説
三章 最初の勝利
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「進め! 怯むな、怖れるな! 波状攻撃をしかけて間断なく攻めつづけろ! やつに一時たりとも休む暇を与えるな!」
戦場に騎士マークスの檄が飛ぶ。
「いくら強くてもやつはひとりだ! 助けはこない、かわりはいない、休むことも出来ない! 攻めて、攻めて、攻めつづければ、いずれは体力も亡力も使い果たす! そのときこそ我らの勝利、未来が守られるときだ!」
おおおっー!
マークスの檄に答え、一千万の精兵たちが鬨の声をあげる。
一〇〇人、二〇〇人、いや、それ以上。それだけの数の兵士たちがひとつの塊となって突進していく。剣を、槍を、斧を、ありったけの武器をもって亡道の司にせめて一太刀でも浴びせようと突き進んでいく。
そのたびに亡道の業が炸裂し、突進していった兵士たちは亡道の司の影にさえふれることの出来ないまま消し飛んでいく。それでも、誰も退かない、逃げ出さない。決死の表情で突撃を繰り返す。
世界を異界へとかえないために。
自分たちの子や孫や、さらにその子たちの未来を守る、そのために。
戦っているのは兵士だけじゃない。傷ついた兵士を救うために同行している看護士たちも必死の戦いを繰り広げていた。
いまだ亡道の業の余波が残るなかに突進し、傷ついた兵士を抱き起こす。そこに、新しい亡道の業が襲いかかる。みんなまとめて吹き飛ばされる。それでも、誰もあきらめない。ひとりでも、ふたりでも、少しでも多くの兵士たちを助け出そうと突撃を繰り返す。傷ついた兵士をその背に背負い、後方の拠点目がけて駆けていく。自分が力尽きればその場に待機している別の看護士に兵士を託し、自分は死んでいく。
――これは、どう見ても助からないだろう。
素人の僕でさえそう思うような重傷の兵士たちも見捨てない。抱えあげ、背負い、必死になって後方の拠点へと運んでいく。
拠点には何十人という医師たちが控えていた。運ばれてきた兵士たちに次々と応急処置を施し、船旅に耐えられるようにする。そこからは船乗りたちの仕事だ。傷ついた兵士を船に乗せ、体力のつづく限り海を行き来して兵士たちを人間の世界へと運んでいく。兵士たちはそこで治療を受け、作り物の手足をつけられ、再び戦場へと戻ってくる。
――これが、千年前の戦い。
僕はその光景に圧倒された。唖然とし、呆然とした。
なんて言う過酷な戦いだろう。伝説には聞いていた亡道の司との戦い。それがこんなにも悲惨で、残酷なものだったなんて。
亡道の司との戦いに和平はない。妥協もない。逃げる先もない。亡道の司に敗れればこの世界すべてが異界にかわる。生きとし生けるものすべてが死と腐敗の異形にかわる。
勝って生き延びるか、負けて滅びるか。
そのどちらかしかない究極の戦い。
それを差し引いてもやっぱり、この戦いはひどいものだった。見るに耐えなかった。でも、見なければならない。見届けなければならない。この人たちがすべてを懸けて亡道の司と戦い、倒してくれたからこそ、僕たちの生きる『いま』がある。僕たちに『生命』を与えてくれた人たちの戦いから目をそらすわけにはいかない。
ともすれば、背けてしまうそうになる顔を必死に正面に向けて、僕は人類と亡道の司の戦いを見続けた。
兵士たちは突進を繰り返す。殺されても、殺されても、後からあとから次の兵士が現れて突進を繰り返す。そんな兵士たちを鼓舞し、守っているのは騎士マークスの檄、そして、世界を覆う、天命の巫女の奏でる天命の曲。
亡道の司という絶対的存在。その前ではあまりにもひ弱で、ちっぽけで、とるにたらない人間という生き物。それでも――。
『人類』という種は決して亡道の司にも引けを取らない存在だった。
その戦いを見つめるうち、僕の目頭は熱くなった。
涙がこらえられなかった。
悔しかった。
悔しくて、くやしくて、仕方なかった。
どうして、僕はあの戦いに参加できないんだろう。戦うことが出来ないならせめて、傷ついた兵士たちに包帯のひとつも巻いてあげたい。死に行くなかでただ一口の水を求める兵士の口元に水を運んであげたい。
でも、出来ない。
マークスの記憶に共鳴して過去を見ているだけの僕にはこの世界になにかをすることはできない。ただ、見ていることしか出来ない。
いつの間にか僕は手のひらに血が滲むほど強く、拳を握りしめていた。
戦いは一年にもわたってつづいた。
人類の総力を結集した一千万の精兵たち。
その精兵たちが一年の間、一時たりと休む間もなく攻めたててなお、倒すことの出来ない存在。
それが、亡道の司。
最初にいた数は一千万。そこに、さらに何十万という補充があった。それなのに一年たったいま、満足に動ける兵士はほんの数千にまで減っていた。
――なんてことだ。
僕は震えた。
恐ろしさに身がすくんだ。
――これが、亡道の司。千年前の人たちはこんなやつと戦い抜いたのか。
指揮すべき兵士たちのほとんどを失ったマークスはいま、亡道の司と真っ向から対峙していた。白銀の太陽のようにまばゆく輝いていた鎧は見る影もなく汚れ、ボロボロになっている。それでも――。
マークスの目に宿る光は全然、衰えていなかった。
――愚かな騎士よ。
亡道の司の思念がマークスの脳裏に響き渡る。
――いや、罪深き人間、か。見よ。おのれのまわりを。この島を埋め尽くすほどにいた人間どもはいまやほとんどおらん。皆、死んでいった。きさまの指揮のもと、きさまに煽られ、無駄に死んでいったのだ。それなのに、きさまはこうしてのうのうと生きている。なんとも罪深きことよな。
「……黙れ」
マークスは答えた。
「無駄などではない。無駄に死んだ兵などひとりもいない。その証拠に見ろ! きさまは一年前には何百という人間を一瞬で屠っていた。一月前でもまだ、何十人という人間をまとめて殺せていた。それが、いまはどうだ。おれひとり殺すことも出来ない。それほどにお前は弱っている。消耗している。この地に集った一千万の兵は自らの生命を武器にきさまの力を削り取った。未来を守る、そのために。無駄死にしたものなどひとりもいない!」
嘘だ。
強がりだ。
マークスは嘘をついている。
僕にはそのことがはっきりとわかっていた。他ならない、マークスその人の記憶に共鳴している僕には。
――何百万という兵を無為に死なせながら、自分はこうして生きている。
そのことに対する罪悪感、その大きすぎる罪に対する不安、恐怖。それは、亡道の司なんかに言われるまでもなく、誰よりもマークス本人が感じていた。
――だが! だからこそ。
マークスは心に叫ぶ。
――おれがこいつを倒さなければならない。そうでなければ、何百万という兵士たちはなんのために死んでいったんだ!
見ていろ、皆。おれは必ずこいつを倒す。
その思いと共に――。
マークスは最後の切り札を取り出した。
それはひとつの小瓶。透明な水晶の瓶のなかに深紅の液体が入っている。
それは、天命の巫女の血。
瓶のなかに封じ込められて一年以上の時を経てなお、固まることも、乾くこともない、神聖な生命力に満たされた聖なる血。
マークスはその血を天命の巫女本人から渡されていた。天命の曲を奏でつづける自動人形になる前の天命の巫女から。
「いいですか、騎士マークス」
天命の巫女はマークスに伝えていた。
「戦いの最後にこの血を使ってください。この血を使えば亡道の司の身に直接、わたしの力を送り込むことが出来ます。本来、不死身にして不滅の存在である亡道の司という存在そのものに干渉し、滅ぼすことが出来ます。
ですが、くれぐれも言っておきます。この血を使うのは最後の最後、亡道の司が消耗し、本来の力を失った後。そうなる前に使ったところで効果は望めません。どれほどの被害が出ようとも、その時がくるまでは決して使ってはなりません。いいですね、騎士マークス」
マークスは天命の巫女のその言葉を胸に刻み、必死に耐えていたんだ。
増えるばかりの被害。次々と死んでいく兵士たち。弱らない亡道の司。
それを見ているうちに何度、この血を使って亡道の司に突撃をしかけたくなったかわからない。そのたびに天命の巫女の言葉を思い出して耐えた。必死に耐えた。でも、もういい。もう耐えなくていい。
天命の巫女の言う『最後の時』はついに来た。亡道の司はもう抜け殻だ。どんなに威張っていてももう本来の存在にはほど遠い。死んでいった兵士たちは亡道の司の力をそれほどまでに削っていたんだ。
マークスはそっと小瓶の蓋を開けた。天命の巫女の血を自分の剣に振りかけた。そして――。
――おれも行くぞ、皆。おれを火炙りにする準備をしておけよ。
その思いを抱えながら――。
マークスは突撃した。
「これで終わりだ、亡道の司!」
マークスが叫ぶ。
亡道の司の手から炎が、目から雷が、口から突風が放たれる。そのすべてをマークスは剣を振るって跳ね返した。マークスの言ったとおり、亡道の司にはもう、人ひとり殺す力さえ残っていないんだ!
そして、ついに――。
マークスの剣が亡道の司の身に突き刺さった。
――ぐおっ! こ、これは……!
「天命の巫女の血だ、亡道の司。天命の巫女の血はきさまの全身に染み渡り、きさまを縛る。天命の曲と共鳴し、きさまという存在そのものを破壊する。きさまの死ぬときがきたのだ、亡道の司!」
渾身の力をもって振るわれたマークスの剣。その剣が亡道の司の身を真っ二つに両断した。
そのとき、その瞬間こそ――。
歴史上はじめて、人間が亡道の司に勝った瞬間だった。
戦場に騎士マークスの檄が飛ぶ。
「いくら強くてもやつはひとりだ! 助けはこない、かわりはいない、休むことも出来ない! 攻めて、攻めて、攻めつづければ、いずれは体力も亡力も使い果たす! そのときこそ我らの勝利、未来が守られるときだ!」
おおおっー!
マークスの檄に答え、一千万の精兵たちが鬨の声をあげる。
一〇〇人、二〇〇人、いや、それ以上。それだけの数の兵士たちがひとつの塊となって突進していく。剣を、槍を、斧を、ありったけの武器をもって亡道の司にせめて一太刀でも浴びせようと突き進んでいく。
そのたびに亡道の業が炸裂し、突進していった兵士たちは亡道の司の影にさえふれることの出来ないまま消し飛んでいく。それでも、誰も退かない、逃げ出さない。決死の表情で突撃を繰り返す。
世界を異界へとかえないために。
自分たちの子や孫や、さらにその子たちの未来を守る、そのために。
戦っているのは兵士だけじゃない。傷ついた兵士を救うために同行している看護士たちも必死の戦いを繰り広げていた。
いまだ亡道の業の余波が残るなかに突進し、傷ついた兵士を抱き起こす。そこに、新しい亡道の業が襲いかかる。みんなまとめて吹き飛ばされる。それでも、誰もあきらめない。ひとりでも、ふたりでも、少しでも多くの兵士たちを助け出そうと突撃を繰り返す。傷ついた兵士をその背に背負い、後方の拠点目がけて駆けていく。自分が力尽きればその場に待機している別の看護士に兵士を託し、自分は死んでいく。
――これは、どう見ても助からないだろう。
素人の僕でさえそう思うような重傷の兵士たちも見捨てない。抱えあげ、背負い、必死になって後方の拠点へと運んでいく。
拠点には何十人という医師たちが控えていた。運ばれてきた兵士たちに次々と応急処置を施し、船旅に耐えられるようにする。そこからは船乗りたちの仕事だ。傷ついた兵士を船に乗せ、体力のつづく限り海を行き来して兵士たちを人間の世界へと運んでいく。兵士たちはそこで治療を受け、作り物の手足をつけられ、再び戦場へと戻ってくる。
――これが、千年前の戦い。
僕はその光景に圧倒された。唖然とし、呆然とした。
なんて言う過酷な戦いだろう。伝説には聞いていた亡道の司との戦い。それがこんなにも悲惨で、残酷なものだったなんて。
亡道の司との戦いに和平はない。妥協もない。逃げる先もない。亡道の司に敗れればこの世界すべてが異界にかわる。生きとし生けるものすべてが死と腐敗の異形にかわる。
勝って生き延びるか、負けて滅びるか。
そのどちらかしかない究極の戦い。
それを差し引いてもやっぱり、この戦いはひどいものだった。見るに耐えなかった。でも、見なければならない。見届けなければならない。この人たちがすべてを懸けて亡道の司と戦い、倒してくれたからこそ、僕たちの生きる『いま』がある。僕たちに『生命』を与えてくれた人たちの戦いから目をそらすわけにはいかない。
ともすれば、背けてしまうそうになる顔を必死に正面に向けて、僕は人類と亡道の司の戦いを見続けた。
兵士たちは突進を繰り返す。殺されても、殺されても、後からあとから次の兵士が現れて突進を繰り返す。そんな兵士たちを鼓舞し、守っているのは騎士マークスの檄、そして、世界を覆う、天命の巫女の奏でる天命の曲。
亡道の司という絶対的存在。その前ではあまりにもひ弱で、ちっぽけで、とるにたらない人間という生き物。それでも――。
『人類』という種は決して亡道の司にも引けを取らない存在だった。
その戦いを見つめるうち、僕の目頭は熱くなった。
涙がこらえられなかった。
悔しかった。
悔しくて、くやしくて、仕方なかった。
どうして、僕はあの戦いに参加できないんだろう。戦うことが出来ないならせめて、傷ついた兵士たちに包帯のひとつも巻いてあげたい。死に行くなかでただ一口の水を求める兵士の口元に水を運んであげたい。
でも、出来ない。
マークスの記憶に共鳴して過去を見ているだけの僕にはこの世界になにかをすることはできない。ただ、見ていることしか出来ない。
いつの間にか僕は手のひらに血が滲むほど強く、拳を握りしめていた。
戦いは一年にもわたってつづいた。
人類の総力を結集した一千万の精兵たち。
その精兵たちが一年の間、一時たりと休む間もなく攻めたててなお、倒すことの出来ない存在。
それが、亡道の司。
最初にいた数は一千万。そこに、さらに何十万という補充があった。それなのに一年たったいま、満足に動ける兵士はほんの数千にまで減っていた。
――なんてことだ。
僕は震えた。
恐ろしさに身がすくんだ。
――これが、亡道の司。千年前の人たちはこんなやつと戦い抜いたのか。
指揮すべき兵士たちのほとんどを失ったマークスはいま、亡道の司と真っ向から対峙していた。白銀の太陽のようにまばゆく輝いていた鎧は見る影もなく汚れ、ボロボロになっている。それでも――。
マークスの目に宿る光は全然、衰えていなかった。
――愚かな騎士よ。
亡道の司の思念がマークスの脳裏に響き渡る。
――いや、罪深き人間、か。見よ。おのれのまわりを。この島を埋め尽くすほどにいた人間どもはいまやほとんどおらん。皆、死んでいった。きさまの指揮のもと、きさまに煽られ、無駄に死んでいったのだ。それなのに、きさまはこうしてのうのうと生きている。なんとも罪深きことよな。
「……黙れ」
マークスは答えた。
「無駄などではない。無駄に死んだ兵などひとりもいない。その証拠に見ろ! きさまは一年前には何百という人間を一瞬で屠っていた。一月前でもまだ、何十人という人間をまとめて殺せていた。それが、いまはどうだ。おれひとり殺すことも出来ない。それほどにお前は弱っている。消耗している。この地に集った一千万の兵は自らの生命を武器にきさまの力を削り取った。未来を守る、そのために。無駄死にしたものなどひとりもいない!」
嘘だ。
強がりだ。
マークスは嘘をついている。
僕にはそのことがはっきりとわかっていた。他ならない、マークスその人の記憶に共鳴している僕には。
――何百万という兵を無為に死なせながら、自分はこうして生きている。
そのことに対する罪悪感、その大きすぎる罪に対する不安、恐怖。それは、亡道の司なんかに言われるまでもなく、誰よりもマークス本人が感じていた。
――だが! だからこそ。
マークスは心に叫ぶ。
――おれがこいつを倒さなければならない。そうでなければ、何百万という兵士たちはなんのために死んでいったんだ!
見ていろ、皆。おれは必ずこいつを倒す。
その思いと共に――。
マークスは最後の切り札を取り出した。
それはひとつの小瓶。透明な水晶の瓶のなかに深紅の液体が入っている。
それは、天命の巫女の血。
瓶のなかに封じ込められて一年以上の時を経てなお、固まることも、乾くこともない、神聖な生命力に満たされた聖なる血。
マークスはその血を天命の巫女本人から渡されていた。天命の曲を奏でつづける自動人形になる前の天命の巫女から。
「いいですか、騎士マークス」
天命の巫女はマークスに伝えていた。
「戦いの最後にこの血を使ってください。この血を使えば亡道の司の身に直接、わたしの力を送り込むことが出来ます。本来、不死身にして不滅の存在である亡道の司という存在そのものに干渉し、滅ぼすことが出来ます。
ですが、くれぐれも言っておきます。この血を使うのは最後の最後、亡道の司が消耗し、本来の力を失った後。そうなる前に使ったところで効果は望めません。どれほどの被害が出ようとも、その時がくるまでは決して使ってはなりません。いいですね、騎士マークス」
マークスは天命の巫女のその言葉を胸に刻み、必死に耐えていたんだ。
増えるばかりの被害。次々と死んでいく兵士たち。弱らない亡道の司。
それを見ているうちに何度、この血を使って亡道の司に突撃をしかけたくなったかわからない。そのたびに天命の巫女の言葉を思い出して耐えた。必死に耐えた。でも、もういい。もう耐えなくていい。
天命の巫女の言う『最後の時』はついに来た。亡道の司はもう抜け殻だ。どんなに威張っていてももう本来の存在にはほど遠い。死んでいった兵士たちは亡道の司の力をそれほどまでに削っていたんだ。
マークスはそっと小瓶の蓋を開けた。天命の巫女の血を自分の剣に振りかけた。そして――。
――おれも行くぞ、皆。おれを火炙りにする準備をしておけよ。
その思いを抱えながら――。
マークスは突撃した。
「これで終わりだ、亡道の司!」
マークスが叫ぶ。
亡道の司の手から炎が、目から雷が、口から突風が放たれる。そのすべてをマークスは剣を振るって跳ね返した。マークスの言ったとおり、亡道の司にはもう、人ひとり殺す力さえ残っていないんだ!
そして、ついに――。
マークスの剣が亡道の司の身に突き刺さった。
――ぐおっ! こ、これは……!
「天命の巫女の血だ、亡道の司。天命の巫女の血はきさまの全身に染み渡り、きさまを縛る。天命の曲と共鳴し、きさまという存在そのものを破壊する。きさまの死ぬときがきたのだ、亡道の司!」
渾身の力をもって振るわれたマークスの剣。その剣が亡道の司の身を真っ二つに両断した。
そのとき、その瞬間こそ――。
歴史上はじめて、人間が亡道の司に勝った瞬間だった。
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