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四章
夢なんて忘れてやる
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始業式はとうに終わっていたけど、おれは一応、これから一年間、通うことになる教室に顔を出しておくことにした。新校舎の階段をのぼり、二年の区画に向かい、A組のドアを開け、なかにはい……ろうとしたその瞬間、
「藤岡ぁっ!」
「わあっ⁉」
突然、教室のなかから肉の固まりが飛びだしてきておれに真正面からぶつかってきた。おれは思わず悲鳴をあげた。肉の固まりはおれの後ろに回り込み、そのままおれを羽交い締めにした。
「藤岡~、見ていたぞお」
「か、金子?」
いきなりぶつかってきて、おれを羽交い締めにしたのは金子雄二。一年のときのクラスメートである。まあ、男のなかではもっとも付き合いのあるうちのひとりだ。どうやら、今年も同じクラスになったらしい。しかし、その金子が何だっておれを羽交い締めに?
こいつは萌えマニアでそっちの趣味はないはずだぞ。
おれは金子のハムのような腕を力ずくで振りほどいて叫んだ。
「金子、いきなり何のつもりだ⁉」
「黙れえぇっ、このリア充野郎っ!」
「何だ、それは?」
「しらばっくれるな! 始業式早々、三年のお姉さまと連れ立ってどこかにしけ込むような真似をしおってえぇっ!」
げっ。あれを見ていたのか。まずいやつに見られた。何しろこいつは大の噂好きで、おまけに尾鰭胸鰭をつけるのが大の得意。今日の一件を知られたら果たして明日にはどんな噂が飛びかっていることやら。
その事態を想像しておれは顔を赤くした……あくまでも警戒のためであって、恥ずかしがったわけではない。念のため。しかし――。
「あっー、藤岡くん、赤くなってるぅ」
突然、女の子の声がした。振り向くと教室に残っていた三人の女の子が一固まりになって、キャイキャイ言いながらこちらを見ている。
彼女たちが新しいクラスメートということだろう。ひとりは去年も同じクラスだった。ひとりはクラスはちがったけど顔と名前は知っている。もうひとりははじめて見る顔だった。しかし、なかなかかわいい。森崎先輩や雪森とちがい、『きれい』というより『愛敬があって親しみやすい』というタイプだ。その子がいかにも人なつっこそうな笑顔を浮かべて挨拶してきた。
「ヤッホー、藤岡くん。はじめてだよねえ。あたし、倉木麻由。これから一年間、よろしくねえ」
と、手など振ってくれる。かなり明るい性格らしい。
「あっ、ああ、うん。よろしく、倉木さん」
おれもあわてて挨拶を返した。女の子相手に非礼を働く趣味はおれにはない。これでも紳士のつもりである。
「うん、よろしくぅ~」
と、倉木さんはあくまでニコニコと手を振ってくる。
女の子にちょっとは丁寧に扱ってもらえるのがサッカー部セミレギュラーの功徳というもの。たいていの女の子は『くん』づけで呼んでくれるし、おれと知り合いになるのを喜んでくれる。これだけでサッカー部に入った甲斐があるというものだ。試合になんて勝てなくても知ったことか。
「ん~? 藤岡くん、もしかして何かあった?」
「えっ? 何で?」
「だって、なんか落ち込んでるっぽいから」
倉木さんが上目遣いにおれの顔を覗き込んでくる。うっ、この姿勢はかなりヤバい。クリクリしたかわいらしい目、ふっくらと制服の胸元を押しあげるふくらみがまともに視線に入る。おれは顔が熱く火照るのを感じた。
「い、いや、そんなことないよ、何でもない」
「そう? ならいいけど……」
倉木さんはそう言いながらもいぶかしそうだった。それにしても、初対面の相手にそこまで見透かされるとは……思っていた以上に引きずっていたらしい。これは気をつけないと。
「でも、藤岡くんも隅におけないわよねえ。始業式早々、三年女子としけこむなんてさ」
「藤岡くん、けっこう人気あるもんねえ。すでに彼女がいたなんて知られたら泣いちゃう子いるんじゃな~い?」
去年から知っていたふたり――河野愛子と古橋早苗が興味津々といった様子で瞳を輝かせながら尋ねてきた。『ヤキモチを妬いている』という様子はない。残念ながら。
まあ、当然か。ふたりとも『会えば挨拶する』という程度の関係でしかない。他の女の子と仲良くしているところを目撃され、ヤキモチを妬かれてつんけんされ、相手の気も知らずに『何を怒ってるんだよ』と文句をつける……なんていう『お約束』も味わってみたいなあ……とか、密かに思っていたりはするのだけど。残念ながらそこまでの好意をもってくれている女の子はいない。
ふたりの質問に答えたのはおれではなく金子だった。意味ありげに人差し指でメガネをいじりながら――マンガによく出てくる、うつむき加減の顔を暗く塗り、『ふっふっ』なんて笑っているアレである――女の子たちに向かって言った。
「ふっふっ。だから言ったでしょう、お嬢さん方。こやつは真面目なそうな顔をして実はかなりのやり手なのですよ」
「ふうん、そうなんだあ。ちょっと意外~」
「そこでいかがです、みなさん? こんな図に乗ったサッカー部員などは放っておいてこれから私と……」
「やだもう、金子ったら」
金子がよっていくと、女の子たちはキャアキャア言いながら一斉に逃げ出した。といっても、本気でいやがっているわけではなく、むしろ楽しそうだ。その証拠にすぐに金子を囲んでおしゃべりに興じはじめた。
金子は太めて短足、メガネで汗っかき、二次元コンプレックスで萌えマニア、そして何よりイベント好き……という典型的なオタク男である。なのに、なぜが女の子にけっこう人気があったりする。顔も広くて、おれの知らない女の子とおしゃべりしているのを見かけることもよくある。
『金子って意外と話題豊富で話していて楽しいのよ』
と、いうことらしいけど、おれの見るところ、ペット扱いされているというのに近い。何しろ、プニプニと肉付きがよくて色の白い金子はいかにも『ミニブタ』っぽい。金子本人がそのことに気がついているかどうかはわからないけれど……黙っているのが『男の友情』というものだろう。
おれがそんなことを考えている間にも金子はあれやこれやと女の子たち相手に話している。女の子たちも何だか楽しそうに聞いている。いかん。このままではどんな尾鰭をつけられるかわかったものじゃない。おれはあわてて会話に割って入った。
「ちがうって。そんなんじゃないんだ。単なる部員勧誘だよ。ほら、知ってるだろ? 校内ナンバー1珍獣の……」
校内ナンバー1珍獣。
その名詞のもつ威力は絶大だった。
「あ~、あの人」
と、女の子たちはたちまち納得し、そろって何度もうなずいたのだ。
「あの人ならなにしでかしても不思議じゃないしね~」
「な~んだ、アヤしい話じゃないんだあ。ちょっとがっかりぃ~」
「でも、すぐに解放されてよかったじゃない。あの人、去年なんて部員を勧誘するために一晩中、他の生徒を閉じこめたこともあるそうだし……」
「そうそう、それそれ。あたしも聞いた。それでついに『森崎警報』なんてものができたって……」
「森崎先輩を見かけたらメールで警告~、なんて習慣があったんだってねえ~」
そんなことまであったのか?
おれはさすがに驚いた。そんな習慣まで生み出すとは――。
森崎陽芽。
まさに恐るべし。
「いえいえ、みなさん。あの方の真価はそんなものではないんですよ。実はですね……」
と、この手の話は大の得意の金子があれやこれやと森崎先輩に関するエピソードを披露しはじめた。なるほど。金子のしゃべり方は口調もこなれているし、身振り手振りも交えて、人の注意を引き込むのがうまい。声を潜めたり、大きくしたりと、起伏をつけるのも実に上手。女の子たちだけでなく、おれまでついつい引き込まれて聞き入ってしまっていた。
気がつくとかなりの時間がたっていた。それを知らせてくれたのは若くて健康なおれの腹時計だった。金子の話を遮るように、おれの腹の虫が大きく鳴ったのだ。一瞬、みんなの視線がおれに集中した。
――いかん。女の子たちの前で腹の虫を鳴らすとは何ということを……。
おれは恥ずかしさのあまり、真っ赤になった。
倉木が時計を見ながら言った。
「あ~、もうこんな時間~」
「お昼近くかあ。そりゃお腹もすくよねえ。藤岡くん、スポーツマンだし」
と、河野が言った。どうやら高感度はさがらずにすんだらしい。この学校では万年一回戦負けの部のセミレギュラーでも『スポーツマン』で通る。
「どう、藤岡くん。みんなでどこかよっていかない?」
古橋が提案してきた。
――女の子三人に囲まれて軽食、か。
「……そうだな。じゃあ、カラオケにでも行かないか? おれがおごるよ。今日はみんなでパアッと騒ごう」
「きゃー、藤岡くん、太っ腹!」
「よっ、お大尽!」
「よおし、今日はみんなで大カラオケパーティーだ! 朝まで歌うぞおっ!」
「おおっ、お任せください。この金子雄二、見事に盛り上げてみせますぞ」
「あんたはアニソン専門でしょ」
みんなでワイワイ言いながら歩き出す。金子などはもうのっけからテンションがあがってしまってスーパーロボット物の主題歌を片っ端から歌いだし、女子に騒がれる始末。普段はウザいやつだけど、このときばかりはこの賑やかさがありがたかった。
――そうだ。これでいいんだ、これで。今日はみんなで歌って、食って、大騒ぎして、よけいなことなんてみんな忘れてやるんだ。
おれは心にそう誓った。
「藤岡ぁっ!」
「わあっ⁉」
突然、教室のなかから肉の固まりが飛びだしてきておれに真正面からぶつかってきた。おれは思わず悲鳴をあげた。肉の固まりはおれの後ろに回り込み、そのままおれを羽交い締めにした。
「藤岡~、見ていたぞお」
「か、金子?」
いきなりぶつかってきて、おれを羽交い締めにしたのは金子雄二。一年のときのクラスメートである。まあ、男のなかではもっとも付き合いのあるうちのひとりだ。どうやら、今年も同じクラスになったらしい。しかし、その金子が何だっておれを羽交い締めに?
こいつは萌えマニアでそっちの趣味はないはずだぞ。
おれは金子のハムのような腕を力ずくで振りほどいて叫んだ。
「金子、いきなり何のつもりだ⁉」
「黙れえぇっ、このリア充野郎っ!」
「何だ、それは?」
「しらばっくれるな! 始業式早々、三年のお姉さまと連れ立ってどこかにしけ込むような真似をしおってえぇっ!」
げっ。あれを見ていたのか。まずいやつに見られた。何しろこいつは大の噂好きで、おまけに尾鰭胸鰭をつけるのが大の得意。今日の一件を知られたら果たして明日にはどんな噂が飛びかっていることやら。
その事態を想像しておれは顔を赤くした……あくまでも警戒のためであって、恥ずかしがったわけではない。念のため。しかし――。
「あっー、藤岡くん、赤くなってるぅ」
突然、女の子の声がした。振り向くと教室に残っていた三人の女の子が一固まりになって、キャイキャイ言いながらこちらを見ている。
彼女たちが新しいクラスメートということだろう。ひとりは去年も同じクラスだった。ひとりはクラスはちがったけど顔と名前は知っている。もうひとりははじめて見る顔だった。しかし、なかなかかわいい。森崎先輩や雪森とちがい、『きれい』というより『愛敬があって親しみやすい』というタイプだ。その子がいかにも人なつっこそうな笑顔を浮かべて挨拶してきた。
「ヤッホー、藤岡くん。はじめてだよねえ。あたし、倉木麻由。これから一年間、よろしくねえ」
と、手など振ってくれる。かなり明るい性格らしい。
「あっ、ああ、うん。よろしく、倉木さん」
おれもあわてて挨拶を返した。女の子相手に非礼を働く趣味はおれにはない。これでも紳士のつもりである。
「うん、よろしくぅ~」
と、倉木さんはあくまでニコニコと手を振ってくる。
女の子にちょっとは丁寧に扱ってもらえるのがサッカー部セミレギュラーの功徳というもの。たいていの女の子は『くん』づけで呼んでくれるし、おれと知り合いになるのを喜んでくれる。これだけでサッカー部に入った甲斐があるというものだ。試合になんて勝てなくても知ったことか。
「ん~? 藤岡くん、もしかして何かあった?」
「えっ? 何で?」
「だって、なんか落ち込んでるっぽいから」
倉木さんが上目遣いにおれの顔を覗き込んでくる。うっ、この姿勢はかなりヤバい。クリクリしたかわいらしい目、ふっくらと制服の胸元を押しあげるふくらみがまともに視線に入る。おれは顔が熱く火照るのを感じた。
「い、いや、そんなことないよ、何でもない」
「そう? ならいいけど……」
倉木さんはそう言いながらもいぶかしそうだった。それにしても、初対面の相手にそこまで見透かされるとは……思っていた以上に引きずっていたらしい。これは気をつけないと。
「でも、藤岡くんも隅におけないわよねえ。始業式早々、三年女子としけこむなんてさ」
「藤岡くん、けっこう人気あるもんねえ。すでに彼女がいたなんて知られたら泣いちゃう子いるんじゃな~い?」
去年から知っていたふたり――河野愛子と古橋早苗が興味津々といった様子で瞳を輝かせながら尋ねてきた。『ヤキモチを妬いている』という様子はない。残念ながら。
まあ、当然か。ふたりとも『会えば挨拶する』という程度の関係でしかない。他の女の子と仲良くしているところを目撃され、ヤキモチを妬かれてつんけんされ、相手の気も知らずに『何を怒ってるんだよ』と文句をつける……なんていう『お約束』も味わってみたいなあ……とか、密かに思っていたりはするのだけど。残念ながらそこまでの好意をもってくれている女の子はいない。
ふたりの質問に答えたのはおれではなく金子だった。意味ありげに人差し指でメガネをいじりながら――マンガによく出てくる、うつむき加減の顔を暗く塗り、『ふっふっ』なんて笑っているアレである――女の子たちに向かって言った。
「ふっふっ。だから言ったでしょう、お嬢さん方。こやつは真面目なそうな顔をして実はかなりのやり手なのですよ」
「ふうん、そうなんだあ。ちょっと意外~」
「そこでいかがです、みなさん? こんな図に乗ったサッカー部員などは放っておいてこれから私と……」
「やだもう、金子ったら」
金子がよっていくと、女の子たちはキャアキャア言いながら一斉に逃げ出した。といっても、本気でいやがっているわけではなく、むしろ楽しそうだ。その証拠にすぐに金子を囲んでおしゃべりに興じはじめた。
金子は太めて短足、メガネで汗っかき、二次元コンプレックスで萌えマニア、そして何よりイベント好き……という典型的なオタク男である。なのに、なぜが女の子にけっこう人気があったりする。顔も広くて、おれの知らない女の子とおしゃべりしているのを見かけることもよくある。
『金子って意外と話題豊富で話していて楽しいのよ』
と、いうことらしいけど、おれの見るところ、ペット扱いされているというのに近い。何しろ、プニプニと肉付きがよくて色の白い金子はいかにも『ミニブタ』っぽい。金子本人がそのことに気がついているかどうかはわからないけれど……黙っているのが『男の友情』というものだろう。
おれがそんなことを考えている間にも金子はあれやこれやと女の子たち相手に話している。女の子たちも何だか楽しそうに聞いている。いかん。このままではどんな尾鰭をつけられるかわかったものじゃない。おれはあわてて会話に割って入った。
「ちがうって。そんなんじゃないんだ。単なる部員勧誘だよ。ほら、知ってるだろ? 校内ナンバー1珍獣の……」
校内ナンバー1珍獣。
その名詞のもつ威力は絶大だった。
「あ~、あの人」
と、女の子たちはたちまち納得し、そろって何度もうなずいたのだ。
「あの人ならなにしでかしても不思議じゃないしね~」
「な~んだ、アヤしい話じゃないんだあ。ちょっとがっかりぃ~」
「でも、すぐに解放されてよかったじゃない。あの人、去年なんて部員を勧誘するために一晩中、他の生徒を閉じこめたこともあるそうだし……」
「そうそう、それそれ。あたしも聞いた。それでついに『森崎警報』なんてものができたって……」
「森崎先輩を見かけたらメールで警告~、なんて習慣があったんだってねえ~」
そんなことまであったのか?
おれはさすがに驚いた。そんな習慣まで生み出すとは――。
森崎陽芽。
まさに恐るべし。
「いえいえ、みなさん。あの方の真価はそんなものではないんですよ。実はですね……」
と、この手の話は大の得意の金子があれやこれやと森崎先輩に関するエピソードを披露しはじめた。なるほど。金子のしゃべり方は口調もこなれているし、身振り手振りも交えて、人の注意を引き込むのがうまい。声を潜めたり、大きくしたりと、起伏をつけるのも実に上手。女の子たちだけでなく、おれまでついつい引き込まれて聞き入ってしまっていた。
気がつくとかなりの時間がたっていた。それを知らせてくれたのは若くて健康なおれの腹時計だった。金子の話を遮るように、おれの腹の虫が大きく鳴ったのだ。一瞬、みんなの視線がおれに集中した。
――いかん。女の子たちの前で腹の虫を鳴らすとは何ということを……。
おれは恥ずかしさのあまり、真っ赤になった。
倉木が時計を見ながら言った。
「あ~、もうこんな時間~」
「お昼近くかあ。そりゃお腹もすくよねえ。藤岡くん、スポーツマンだし」
と、河野が言った。どうやら高感度はさがらずにすんだらしい。この学校では万年一回戦負けの部のセミレギュラーでも『スポーツマン』で通る。
「どう、藤岡くん。みんなでどこかよっていかない?」
古橋が提案してきた。
――女の子三人に囲まれて軽食、か。
「……そうだな。じゃあ、カラオケにでも行かないか? おれがおごるよ。今日はみんなでパアッと騒ごう」
「きゃー、藤岡くん、太っ腹!」
「よっ、お大尽!」
「よおし、今日はみんなで大カラオケパーティーだ! 朝まで歌うぞおっ!」
「おおっ、お任せください。この金子雄二、見事に盛り上げてみせますぞ」
「あんたはアニソン専門でしょ」
みんなでワイワイ言いながら歩き出す。金子などはもうのっけからテンションがあがってしまってスーパーロボット物の主題歌を片っ端から歌いだし、女子に騒がれる始末。普段はウザいやつだけど、このときばかりはこの賑やかさがありがたかった。
――そうだ。これでいいんだ、これで。今日はみんなで歌って、食って、大騒ぎして、よけいなことなんてみんな忘れてやるんだ。
おれは心にそう誓った。
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