世にも平和な物語

越知 学

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待ち続けた先

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待って待って、待ち続けた。
私は彼の手を握りしめる。
いつ起きるのか……いや、いつ私の呼びかけに応えてくれるのか分からない。
でも私は毎日その手を掴んだ。
そんな彼が目を開いた時、まず浮かんだ感情はーー
喜びではなく己への憎悪だった。
5年という月日は、私の酔いを覚ますには十分すぎた。
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