世にも平和な物語

越知 学

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取り合い

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「いいよ私が持つから」
しかし彼は引かない。
「こういうのは男が持つんだから」
私も意地になる。
「背が高い方が持つべきだよ」
彼は少し頬を膨らませ、鞄からあるものを取り出そうとした。
私は観念して彼に渡す。
「それでよし」
得意気な彼は傘を受け取ると私が濡れないように肩を寄せてきた。
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