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第4章 性獣たちの宴

その6 口開けの一杯

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 老人は得意げにマリアの顔を見上げている。

「ほら、いった通りだ」
「違うの、これは…」

 マリアは目を閉じて顔を背ける。

「ウソつきは、どっちだ?」
「知らない…あたしのせいじゃない」

 老人は舌を伸ばして谷間から溢れる蜜をべろりと舐めあげる。マリアの腰が砕けてストンと床に座り込む。

「あ…」
「これが、罪の味…甘酸っぱさの中にほのかな苦味が入り混じる」

 老人は目を閉じて舌先に残る余韻を楽しんでいる。マリアは両手を後ろについて力に抜けた下半身を引きずっている。

「待て、待て、味見テイスティングが済んだばかりだぞ」

 老人はじわじわとマリアを壁際に追い詰める。マリアは両膝を立てたまま動けなくなる。怯えた表情を眺めながら老人は股間に顔を近づける。

「いや…やめて…あ」

 老人の舌先が蕾に触れるとマリアは目を閉じて口を開く。波打つ舌の動きにつれて唇が小刻みに震えだす。細い腰がピクピクと持ち上がる。

 ナメクジのような舌が上下に動き円を描く。動きのむきが変わるたびにマリアの喉の奥から小さな声が漏れる。

 長いくり返しの果てにふと舌の動きが止まる。

「もう、よかろう」
「…え?」

 マリアがうっすらと目を開ける。

「一杯目をいただこう」

 老人はマリアに目配せをすると小高い丘を頬張ってチュウチュウと蜜を吸いあげる。

「あっ、あっ…ああ!」

 マリアが大声で叫び出す。老人はガクガク震える腰にぴったりと口を押しつけて最後の一滴まで搾りとる。

「…美味い」

 マリアは脚を開いてぐったりと壁に寄りかかる。

「これが貧しい娘の心づくしのもてなしか。気に入ったぞ。ワシのお返しも捨てたもんじゃないだろ。ほら、お前も一緒に楽しみなさい…」

 老人が顔をのぞきこむ。マリアは老人を睨み返すとフルフルと首を横に振る。

「まだ逆らうか。なんと強情なやつ」
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