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BMI16.2って人間じゃないよね!?
しおりを挟む「今日はお肉!」
「たくさん食べる!」
「ぼくも!」
今日は、豚ロースを4パック買った。
それに、水菜がいつも158円なのに今日は98円!朝のチラシには120円って書いてあったのに。思わず、2袋買っちゃったわ。
水菜を下に敷いて、上にお肉を置こう。
ゴマダレを作るのに、白胡麻も買っちゃった。タレって、結構家にある調味料でできちゃうんだよね。既製品買うよりも、全然安い。
「重いでしょう、ごめんね」
「大丈夫。一応、鍛えてるから」
「そんな細いのに?」
「うーん。筋トレしても筋肉つかないんだよね」
「体質ね。でも、腕の筋肉はついてると思うよ」
「かなあ。奏に付き合ってよくジム行くんだけど、あいつばかり筋肉ついて。羨ましい」
「橋下くんと仲良いね」
双子を連れて買い物を終えた私たちは、袋を2つずつ持ちながら帰路につく。青葉くんが、瓶類とか重い方持ってくれるからすごく楽。明日、明後日分の食材も買っちゃったわ。
瑞季と要は、嬉しそうに歌を唄いながら前を歩いている。
青葉くんと迎えに行ったら、物凄いスピードで帰り支度してたわ。本当、彼のこと好きよね。
「あ、そうそう。鈴木さんに言われて、あれから体重計買ったんだ」
「今まで家になかったの?」
「なかった。久しぶりに測ったよ」
「……いくつだった?」
「えっとね、51キロ」
「ぶっ!!!??!??」
あれ、青葉くんって結構身長あった気がするんだけど……。
その数字を聞いた私は、思わず吹き出してしまった。
聞き間違い?聞き間違いよね、きっと。
「あれ、青葉くんって身長……」
「学校の身体測定では、177センチだったかな」
「……で、体重が」
「51キロ。……正確には50.7キロだった」
「……」
「あ、体脂肪率は10%台だったよ!」
「…………」
……うん、聞き間違いじゃなかったわね。
元々細いとは思っていたけど、ここまでとは。青葉くん、気づいたら消えちゃいそう。なんなら、ちゃんと視界に入れておかないと心配しちゃうレベルだわ。セーター着てるから、その分カロリー消費が激しいとか?
……間違っても、私の体重なんか言えないな。
「……もっと食べた方が良いと思う」
「結構食べてるんだけどなあ」
「2人前食べた方がいいと思う……」
「それは吐く」
「じゃあ、カロリー!カロリーあるものを!」
「脂っこいものあんま好きじゃない。あ、でも、甘いものは好き」
「ケーキをホールで食べるとか!」
「たまにやる。……とかいうと、大抵引かれるけどね」
「引かないわよ。私もホールで食べるもん」
「あ、一緒だ」
一緒だ、じゃないわ!体重が違う!
……今日、ホールケーキ買うお金あるかしら。青葉くんに食べさせないと!!
「何号のホールがいい?」
「え?号って……。他にも誰か来るの?」
「おねえちゃん、ケーキ食べるの?」
「ぼく、サクラのチョコケーキがいい!」
「サクラ行く!わたしは、フルーツタルト!」
「はいはい。みんなで食べましょうね。……とりあえず、7号は必要だから……」
「待って、誰がそんなに食べるの。……え、鈴木さん。俺、そんな食べられないよ?」
私は、一番カロリーがありそうなケーキは何かを考えながら、行きつけの……知り合いというかそれ以下というか……のいるケーキ屋さん「サクラ」へ向かった。
***
「落ち着いた?」
「はい、ごめんなさい」
ソラ先輩は、使っていない更衣室へと私を案内してくれた。
ここは数人用みたいで、ロッカーが4つ、2人座ってもまだ余裕のありそうなベンチが置かれている。前に使った場所より、ずっと広かった。
「雅人と何かあったの?」
そうだ、もう1人の先輩の名前、雅人先輩だ。秋原雅人先輩。ソラ先輩の苗字と似てるから、混ざっちゃうなって思ってたんだ。
ソラ先輩は、ベンチに座っている私の前に腰を下ろし、同じ目線になって話しかけてくれる。こういう気遣いしてくれるの、ソラ先輩らしいよね。
「えっと……」
私は、さっきよりも落ち着いた気分になって話し始めた。
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