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任務完了!次は買い物よ!
しおりを挟む結局、メッセージを送ったのは16時過ぎ。
『こんにちは、鈴木です。よろしくお願いします』
って感じで。
無難でしょう?
挨拶して、名乗って。
……ちょっとそこ!面接みたいって言わないで!
仕方ないじゃないの。それ以上思いつかなかったし、宿題しなきゃだし。
これで良いのよ!
「シチュー♪」
「シチュー♪」
スーパーのタイムセールは、余裕で間に合った。……宿題は終わらなかったけどね。
瑞季と要、シチュー好きなの。家を出発した時から、ずっとご機嫌だわ。食べ物ひとつでこうなるって、羨ましい。
「ブロッコリーとアサリと鮭と……」
私は、出掛けに書いた買い物メモを見ながら順路を辿る。本当はスマホに書ければ楽なんだけど、歩きスマホになっちゃうからね。紙なら許されるって、違いがわからないけど仕方ない。
「にんじんはお家にあったよ!」
「良く覚えてるわねー。じゃあ、玉ねぎは?」
「う、え、えっとお」
「ない!」
「ハズレ~。一昨日買ったやつがあります!」
「外したあ!」
あはは。要、本当に悔しそう。
私たちは、そんな会話をしながら次々とカゴの中へ商品を入れていく。
本当は、1週間分とかまとめて購入した方がいいんだろうけど。私の力だと、持ち運びできないのよね。自転車もないし。
「お米炊くの、少しでいいかな。食パンは買うから」
「うん!8枚切りがいい!」
「私、4枚切り!」
「えー、どっちかにしてよ。余っちゃうじゃん」
「いいじゃん、今日にいちゃん来るんでしょう?食べられる!」
そうだった。メッセージ送って満足してたけど、今日青葉くんが来るかもしれないんだ。
青葉くん、食パンは何枚切りが好きなのかな。それとも、お米の方がいい?聞いておけばよかった。
「じゃあ、今日だけだからね。次からは1種類にしてよ」
「わーい!」
「やったあ!」
「そのかわり、ちゃんとサラダも食べること!」
「ど、どりょくはします」
「わ、わたしも」
「何その政治家みたいな発言」
子どもたち、生野菜が苦手なのよね。温野菜食べるからいいけど、それでもサラダは出す!……私が好きだから、なんて言ったらブーイングかな。
「それより!買い忘れはない?」
「あとは、牛乳と鮭だけかな」
「まだある!」
「えー、何?」
「ぼくたちのお菓子!」
「はいはい、1個までね」
「やった!」
「ありがとう、おねえちゃん!」
「お魚コーナー行ってから乳製品のところ回るから、選んだらおいでよ」
「はーい」
「わかった!」
たまには、ね。
今日は、お金に余裕あるから買える。
お母さんに言えば出してくれるだろうけど、毎回お菓子買うと夕飯の食べが悪いのよ。絶対帰ったらお菓子タイムになっちゃうし、良くない。
「……鮭、あるかな」
お魚コーナーへ移動した私は、タイムセール中の棚へと向かう。
その時、バッグの中に入れていたスマホが震えたんだけど、私は気づかなかった。……安くなってる鮭を探すのに必死だったから。
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