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プロローグ

私は、楽しい話がしたい

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 私、鈴木梓。今年で中学2年生になるの。

 1学期は、先生にお願いされてクラス委員をしていたわ。2学期もお願いされたけど、連続してはちょっとね。

「えー! 梓ちゃんって、双子の世話もしてるの!?」
「それでクラス委員の仕事もしてたってすごくない?」

 次の授業の準備をしていた時だった。
 友達のありさちゃんと優奈ちゃんがやってきたの。いつもこうやって、仲の良いグループで集まっておしゃべりを楽しむんだ。

「う、うん」

 私には、双子の妹と弟がいる。
 ちょっとわがままだけど、すごく可愛い。

 昨日なんか、私が作った夕飯をおかわりしてくれたのよ。
 お砂糖とお塩を間違えてね。すごく甘い野菜炒めになったのに、「美味しい!」って言って食べてくれたの。
 ……もう、間違えないけど!

「すごい! だから、部活に入ってないんだね」
「放課後は委員の仕事もしてなかったよね」
「幼稚園の学童の迎えがあるから難しいかな。お昼休みとか使えば、仕事は終わるし……」
「へー、お迎えもしてるんだ!」
「主婦みたい!」
「ま、まあ……。それよりさ」

 私のお母さんは、週6でお仕事をしているの。だから、家にはほとんどいない。
 パパは、もうここしばらく姿を見ていないな。最後に見たのは、私が授業参観だった時。制服姿で見にきたから、すごく恥ずかしかったのを覚えている。

 それより、昨日発売したネイルカラーの話をしようよ。
 すごく綺麗な色だったから、今度のお休みにお母さんにおねだりするんだ。

「でも、大変だねえ」
「ねー、可哀想」
「……?」

 私が話題を振ろうと思った時、ありさちゃんと優奈ちゃんはそう言って笑った。

 ……ん?
 可哀想?誰が?

「だって、自分の時間ないんでしょう?」
「双子の子守りして、家事もやってさー。超お荷物じゃん、双子。親がありえない」
「……え?」
「それで、学校の宿題もやってテスト勉強も? 私無理ー」
「……あはは」

 違う。違うよ。そんなことない。
 私の家族を悪く言わないで。

 私は、その言葉が出ずただただ笑うだけにした。

「梓は偉いね。一昨日のテストも満点だったでしょ? なんか、うちらとは別格」
「わかるー。別世界の住人って感じ」
「……」
「あ、そんなことよりさ。次の大会なんだけど」
「なになに? あのタルいやつ?」


 ……あれ、なんでこんな話になったんだっけ?

 私は、楽しそうに部活について愚痴るありさちゃんと優奈ちゃんを見ながら笑顔で相槌を打つ。

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