オフ会という名のエロス

ルル

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第一章

外出

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暑い…
太陽が照りつけ、私の白い肌をジリジリと焼いていく。
日焼け止めを塗っていない肌は紫外線にさらされ、少しずつ痛みにも似たような感覚が増していく。
いつも休日は家に籠ってソーシャルゲームばかりで、外の暑さを把握出来ていなかったのが原因だ。
こんな引き籠もりの私が焼けたくて外に出ているわけではない。
外出せずに済むのなら、それにこしたことはない。
だが、約束してしまった手前、今更断るわけにもいかない。

ゲーム内のフレンドとチャットで休日の話しをしていると、一緒に出掛けない?という話しになった。
しかし、毎日ゲームしかしていない私は外に出掛けるなんて興味がなかった。
なので、丁重にお断りしようとしたのだが、柔らかい言い方で断ろうとするも相手はそんなことお構いなしにグイグイくる。
もちろん相手のことが嫌いなわけではないし、用事があるわけでもない。
むしろ、いつも仲良くしてくれているフレンドがどんな人なのか興味がある。
一度会ってみたいという気持ちは大きい。
しかし、私のような引き籠もりが会ったら相手は落胆してしまい、今までのように一緒にゲームをすることはなくなってしまうのではないか。
臆病な心がざわついている。
そんな私の心を読みきっているのか、断るも押し続けられ、ついには根負けして誘いに応じることにしたのだ。

休日誰かと会うなんて何時以来だろう。
家と会社の往復、たまに家を出たかと思えば近所のスーパーへ買い物。
特にリア友がいるわけでもないので、スーパーへ行く時は上下ジャージのスッピンが当たり前になっていた。
なので、オフ会に行くという返事をしてから気付いた。
出掛ける服はどうしよう。
さすがにスーパーと同じジャージ姿で行くのはまずい。
そして約束した日は次の休みなので服を買いに行く暇がない。
急いでクローゼットを荒らし、良さそうな服を見繕う。
見繕った服を鏡の前で合わせてみては、もっと可愛らしい方がいいのかと思い別の服を合わせる。
これはあざとすぎるのでは、とまた別の服を合わせる。
今度は色合いがダメなのでは、なんてことを何度繰り返したかわからない。けど、ようやくしっくりとくる姿が鏡に映っている。
この服で行こう。
決まってからも期待と不安が入り混じる気持ちを抱えながら日々を過ごして今日を迎えた。

朝、五月蝿く鳴る目覚ましをとめ、いつもより早起きして準備をはじめる。
休みの前の晩は夜更かししてゲームするのがお決まりの私は、昨日も同じように夜遅くまでゲームをしてしまい、なかなか眠気に勝てず布団に包まれている。
微睡んだ状態が続き意識が遠のきはじめた。
そんな時にスヌーズ機能でもう一度目覚ましが鳴る。さすがに起きないと準備する時間がなくなってしまう。
少し焦りが芽生え、脳も少しずつ覚醒しだした。
寝ぼけ眼のまま、まだ半分寝ている脳を叩き起こすためにコーヒーを準備する。
電子ケトルに水を入れてセット。
マグカップにコーヒー粉末を用意。
沸騰するのを待つ。
湯を注ぐだけの簡単なインスタントだ。
ぶくぶくと水蒸気にかわる音が鳴りはじめた。
そこで急いで電源をとめマグカップに湯を注ぐ。
マドラーで粉末が溶けきるまでかき混ぜる。
テーブルに置く。
相棒の猫耳のカバーを被せたスマートフォンを持つ。
そしてゲームアプリを起動しつつ、コーヒーを口にする。
立ち上る湯気、温かい取手、少しだけ口に含める温度、啜りながら飲むことによって強く香り、そして広がる苦味。
五感全てを刺激され、目が大きく開いてくる。
起きたらゲームのチェックは欠かせない。
ログインボーナスをもらいフレンドのコメント変化をチェック。
順にチェックしていくと、ある名前をみて指が止まる。
そう、今日はオフ会。
そう考えだすと心臓の鼓動が速くなるのを感じる。
体温も少しずつ上がってきた。
準備のために早起きしたことを再確認した私は熱いコーヒーを出来るだけ時間を素早く飲み、スマートフォンを置いて準備を始める。

事前に用意しておいた服に着替える。
そして鏡で確認。
フワッとした感じのブラウス、フレアスカート。
これでオタクのようないも臭さは感じないはずだ。

次に化粧だ。
いつもは会社に行くためマナーとして最低限の化粧しかしていない。
酷い時にはスッピンで出勤することもある。さほど手入れをしているわけでもないが、引き籠もりな事が幸いしてか、肌の綺麗さには自信がある。
何年していてもファンデーション独特の匂いは嫌になる。
そして、いつもはしないチークを少し乗せる。
乱れた髪をアイロンで挟み真っ直ぐにしていく。
微かに髪が熱せられる独特の匂いがする。
肩にかかりそうなくらいでセットもさほど時間がかからないので気に入っている。
まだ時間に余裕はあるが、行き慣れていない場所に行く時は、30分以上早めに出るように心掛けている。
忘れ物がないか確認し、お気に入りのパンプスを履いてドアを開けた。
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