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もうバレてるから偽らなくていいよ
しおりを挟む「それは僕のセリフだけど…いいよ譲ってあげる」
僕が何を言ってるのか理解しがたい表情でこちらを見てくる深藤
僕の視野に収まった、何処かへ通り過ぎることもなく校舎壁陰に留まった影に
『そこにいるのバレバレなんだけど、それとも分かるようにしてる感じ?』
眉間にシワが寄りそうになるけどガマン。
そもそも目の前の男が一度済んだはずの別れ話を改めて、今までわざわざ相手にもしなかった僕を呼び出してまでするのかってことで、隠れきれていない彼の存在により終わりの見えない会話のゴールが見えた気がした。
あの子に聞かせる為に、こんだけ話を引っ張られてたと思うと、とても腹立たしかったけど、これ以上惨めになる日が無いのなら、当て馬にでもなんでもなってあげるよ。
もちろん、今日この時だけだけどね
少し下を向いて、今更だけど流れ作る為には伝えないとな。と小さく息を吸って
「今の君には僕がどう伝えても全て嘘に聞こえるかもしれないけど、僕は最初こそはだった…けど、本当に君の事が好きだったよ。」
ニッコリしそうになったけど、これって少し傷ついた感じで見上げた方がいいのかな?と言葉は本心でも顔を心とは裏腹に見せるのに迷いがでる。苦笑いじみた感じになってしまったが、役者じゃないから大目に見て欲しいよね。
そして、プライドが高い上に
それ分負けず嫌いな彼だからこそ
僕から終わりを告げられたのは
癪だったんだろう。
そう考えるとさ、なんとなくこんなに別れ話をねばってくるのか接点が繋がった
「涼?」
君の本命と僕達の距離は、ある程度声が聞こえるような位置だし、堂々と現れもせずに、なんかやましいことでもあるわけ?って感じで、もの陰に隠れて様子を見ているといったら、こういうことでしょ。
小さくため息混じりの息を吐いて
「ほら早く、僕を振ってよ」
中々、振る言葉を言ってくれない深藤にどんだけ粘れば気が済むんだよ。と半ば苛立ちと嫌気が強まる。
まぁ、もうすぐこんな三文芝居は終わるだろうし、そんなに振りたいなら振らせてやるからさっさと本命のところに行って欲しい。
「なにを言ってるんだ?」
なんで粘るわけ、
もうさ、本当にいい加減にして欲しいよね
まさか、僕がこの一分一秒でも早く過ぎ去りたいような状況を気づいてないとでも思ってるのだろうか。
やれやれ困った奴だと距離を詰めて上半身だけ少し深藤の耳元まで寄せて小声で
「本命が見てるんでしょ。早く僕を振って本命の所に行ってあげなよ」
きっと向こうは、わかりきった結果といえど深藤に1秒でも早く自分のところに戻ってきてほしいと思う。 …僕ならの話だけどね。
すぐに体を後ろに離し視界に入った深藤は、そんな驚く?ってぐらいに目を見開いていた
「なに…いってん、だ」
「え、さすがに何度も言わせないで欲しいんだけど。」
ん?もしかして、これって本命近くにいること気づいちゃいけなかった感じの流れだった感じだったのかな。
いやでもあれは、此処に居ますって静かに主張してるように視界に入ってるのに、無理があるよね。
ってか、本当さっきから同じ言葉しか返答が無いんだけど、もしかして台本か何がある感じ?それに書いてるセリフ言わないと次に進まない的なやつとかだとしたら、あの、僕もらってないんだけど。
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